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 新しくレコーディングした新曲をのぞみはしずくの家に持って行って、しずくに聞いてもらった。しずくは「歌のことはよくわからない」と言っていたのだけど、のぞみはどうしてもしずくの感想が聞きたかった。

 しずくの家にある音響機器でのぞみはしずくと一緒にソファに座りながら新曲を聞いた。(のぞみはテストでも受けるみたいに緊張していた)

 曲が終わってのぞみは「どうでしたか?」と恐る恐るしずくに聞いてみた。

 するとしずくは「すごくいいね」とのぞみに言った。

 そのしずくの表情と声と雰囲気からのぞみはそれがしずくの嘘の言葉ではないことがわかった。(それがわかるくらいにはのぞみは長い時間、しずくと一緒の生活を続けていた)

「この曲は強くなろうとしている自分を歌った曲なんです。強い自分。戦う自分。走り続ける自分。そんな自分を精一杯の力で、歌って表現した曲なんです」とのぞみは言った。

「初めて君と出会ったときから、僕は君のことをとても強い女の子だなって思っていた」としずくは言った。

「え?」と言ってのぞみは驚いた。

 なぜならのぞみとしずくが初めて出会ったとき、のぞみはその人生で一番力を失っていたときだったからだ。(それが物事の本質を見抜こうとする画家のしずくにわからないわけないと思った)

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