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 そのことをしずくに聞いてみるとしずくは「確かに今、僕の描いている絵の中にいる君は新しい君だと思う。でもそれは昨日までの君がいなくなってしまったわけじゃない。新しい君も昨日までの君も君であることには変わらない。君は君だよ。どんなに姿が変化したとしてもこの世界の中に君は一人だけしかいない。今まで生きてきたそのすべての経験や記憶、変化した形を含めて君と言う存在は今ここに生きているんだよ」とのぞみに言った。

「しずくさんは髪の長い私と短い私ならどっちの私が好きですか?」とのぞみは言った。

「どっちの君も素敵だよ」としずくはのぞみの予想通りの言葉を言った。

 髪をばっさり切ったかと言うわけじゃないんだけど、のぞみはなんだかいろんなことがすっかりしたような気がした。

 頭の中のもやもやとかなんとなく感じていた体の疲れのようなものが一気に取れたような気がしたのだ。

 そういえばこんなに髪を短くしたのはいついらいだろう? とのぞみは思った。

 のぞみは子供のときからずっと髪を伸ばしていた。たぶん小学生の低学年くらいの年齢まで戻らないと、今くらいの髪の短い自分はどこにもいないと思った。

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