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 のぞみはめぐみの写真が見たいと思った。あるいはたぶんだけど、描いていると思うめぐみの絵が見たいと思った。めぐみの顔が見たかった。自分に似ているのかどうかの確認がしてみたかった。

 のぞみが「めぐみさんの絵ってしずくさんは描いたんですか?」と聞けば「描いたよ」としずくはきっと答えると思うし、「その絵を見せてくれませんか?」と聞けば「いいよ。感想聞かせて」と言って見せてくれると思った。(ほぼ間違いのない予測だと思う)

 でも聞けなかった。

 怖かったから。自分の顔がめぐみの顔と似ていることが怖かったから。聞けなかった。絶対に聞いてはいけないと思った。しずくは答えをはぐらかしてはいたけれど、のぞみの予想ではきっと自分の顔とめぐみの顔は似ているはずだと思った。それも形だけでなく、雰囲気、醸し出す空気、あるいは性格、匂い、そして魂の形やそのゆらめき、そのゆらめきが作り出す影までもが、画家であるしずくの目から見てもとてもよく似ているのだとそう思った。

 ベーコンが焼きあがったので、しずくは冷蔵庫から豆腐を出してお皿の上に盛り付けた。

 これで簡単な食事の準備は全部終わった。

「じゃあ、食べようか。いただきます」と椅子に座ってしずくは言った。

「はい。いただきます」と反対側の椅子に座ってのぞみは言った。

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