第7話
テラside
ジニさんが返事をすると扉がゆっくりと開いた。
J「はい…」
「ジニさん遅くなってごめん。もうカジノの………え…なんでここに……いるの!?」
私はこの雰囲気的にジニさんはきっと少し危ないお仕事の人で、それもそこそこ幹部なんだろうなという事はさっきの人たちとの会話で分かった。
だから私は余計な人の顔は見ないのが1番いいと思って扉から目を逸らしてミルクティーを飲んでたものの…
視線を感じ、まさか…話の流れ的に私!?と思い恐る恐る視線をあげるとそこにはなんと…
ケイトが口をポカーンと開けて立っていた。
T「えぇ!?ケイト!?なんでいるの…!?」
驚いた私がそう問いかけるとケイトは気まずそうな顔をして頭をぽりぽりと搔く。
J「あ…えっとね…ケイトはここのカジノでボーイとしてバイトしてるんだよ…ね?」
K「………。」
T「バイト…だったんだ…」
J「そうそう!バイトバイト!」
ジニさんはそう言って隣に座る私の頭をポンポンと笑顔で撫でるとなぜか、ケイトの目つきが変わり、ドカドカと大きな足音を立てて中へ入ってきてジニさんのその手を私の頭から振り払った。
K「ジニさんにはヨナさんがいるじゃん…そんな軽々しくテラさんに触らないでください。」
ケイトはムスッとした顔をして私とジニさんの間に入り、ベッドで気絶してるヨナを指差しジニさんは口元を隠しながら笑った。
J「ごめんごめん。そんなつもりはないから。」
K「ってかなんで2人がジニさんの部屋にいるの?」
J「ジヌたちが車に傷をつけられたとかで2人に絡んだみたいでさ?それで、ヨナちゃんがあいつらに殴られて気絶しちゃって…今、休ませてるの。おまけに意識ないのを良いことに襲おうとしてテラちゃんは椅子に縛りつけられてて……。」
ジニさんは心配そうにヨナを見つめながらそう言った。
すると、私の耳には聞き慣れない言葉が飛び込んできて、思わず頭の中にクエスチョンマークが現れる。
K「ケジメ付けさせなきゃな…」
その聞き慣れない言葉の意味に気づいた私はギョッとし固まると、それに気づいたジニさんは慌てた。
J「ケ…ケイトそんな使い慣れない言葉なに使ってんだよハハハハハ〜(°▽°)」
K「意識のないのをいい事に襲おうとしたんだろ!?俺がいないのをいい事に好き勝手しやがって…あとで始末しておく……」
そう話すケイトがまるで別人のように見えた私が戸惑っていると、ケイトはハッとした顔をして私を見たので私は思わず目を逸らしてしまった。
身を縮こめて視線を合わせないように存在を消し……静まり返る部屋のなか耐えているとジニさんはしゃがみ、私の目を困ったような顔で覗き込んだ。
J「あ…えっと…変な話聞かせちゃってごめんね?テラちゃん……そのなんて言うか…」
T「いえ…大丈夫です……」
いくら鈍感な私でもいつもとは違う雰囲気のジニさんやケイトを見れば、私たちと住む世界の違う人なんだということくらいは何となく理解ができる。
しかし、不思議と私の中に生まれた感情は恐怖ではなくまるで隠し事をされていて悲しい…そんな気持ちになった。
J「そうだ!ヨナちゃんまだ、目を覚ましそうにないしさ!せっかく下にはカジノがあるんだしケイトがテラちゃんを案内してあげなよ!」
ジニさんが私の気持ちを察したのか、明るい声でそう言うとケイトは椅子に座る私を見つめ、手に持つグラスを取り上げるとテーブルに置いて私の手を握った。
T「え?」
K「まだ、ヨナさん起きないみたいだし行きましょう…話もあるし…。」
そう言って私の返事を聞く前に引っ張っていくケイト。
必死で後ろを振り返るとそんな私たちの様子をジニさんは笑いながら手を振って見ていた。
T「あ…ジニさん!!ヨナのことよろしくお願いします!!」
J「はいよ〜楽しんでおいで〜」
そして私はジニさんの声が聞き終わる前に木の重い扉がガチャリと閉まった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます