第4話
テラside
店にの前に行き、脚立を広げるとケイトはスーツのジャケットを脱ぎ、私がそれを預かると革靴だというのに身軽に脚立へ登っていき軽々と跨った。
K「今週のおすすめケーキはなんですか?」
T「今週は苺タルト。」
K「オッケー。」
ケイトに色んな色のチョークを渡すと、とても器用にそれを使い苺タルトの絵を描いていく。
私はケイトが落ちないように脚立を支えながら、その上手な絵を見つめているとケイトはそんな私を見て笑った。
K「んふふwテラさん口開いてるよw可愛いw」
T「うるさいなぁ〜お姉様を揶揄うな!」
K「ふふふw揶揄ってるつもりないんですけどねw」
ケイトは黒板に絵を描きながらそう言うと、私はそのケイトの横顔につい、見惚れてしまった。
すると、返事がなかったのを不思議に思ったケイトが私の方に視線を向け首を傾げる。
K「ん?テラさんも書いてみます?」
T「え…あぁうん!!」
そう返事をするとケイトはピョンと脚立から降りて私にチョークを渡す。
私はヨイショヨイショと脚立に登り、少し高さがある事に怯えながらチョークで絵を描いた。
K「ふふふ。テラさんの絵、斬新でいいですね?」
T「え…そう?」
ケイトは私の描いた絵を見てケラケラと笑っているが、私には可愛い絵にしか見えずなにがそんなに面白いのかイマイチ分からない。
そんなケイトを気にすることなく自分の好きなように絵を描いていると突然、強い風が吹き私は煽られるようにしてバランスを崩した。
あ…危ない…
そう思った時にはもう遅くて、自分の身体が宙を舞ってるのを感じると、ポスっと柔らかく温かい衝撃で私はギュッと閉じていた目を開けた。
K「あぶねぇ…焦った…」
すると、私の下にはケイトがいて私はケイトがクッションになってくれた事により怪我をせず済んだ。
T「え…ごめん!!ケイト怪我してない!?」
K「大丈夫ですよ。テラさんこそ怪我してません?」
T「私は大丈夫…」
ケイトは私を抱き上げるようにして立たせると、自分のスーツの方が汚れてしまっているのにも関わらず私の服を一生懸命、払い汚れを落としてくれた。
T「ほんとにごめん……」
K「大丈夫です。ほんとテラさんに怪我なくて良かった…」
ケイトはそう言ってホッとした笑顔を見せると、私の頭をポンポンと撫で、私は思わずドキッとし身体が硬直した。
K「ふぅ〜絵も完成したし!俺、今から仕事なんでもう行きますね?」
T「今から仕事…?あ…ごめんね…ありがとう。」
K「また、来週来ますね。じゃ…」
ケイトはそう言うと私に手を振りながら帰って行った。
店の営業が終わり
戸締りをしてヨナと帰ろうとしていると、ぼんやりとしていたヨナが私に1枚のカードを見せた。
T「なにこれ。」
Y「これさ…ジニさんが落として帰ったの…」
T「…?カジノ…?」
そこには有名なカジノの名前が書いてあり、あのジニさんがカジノに出入りしているなんて想像もつかない私は頭の中にクエスチョンマークが浮かぶばかり。
Y「前に来た時に財布から落として帰ってさ…慌てて拾って渡そうと思ったらカジノって見えちゃって…返しそびれたんだよね…。」
T「へぇ…ジニさんがカジノとか…意外だね?博打自体無縁って感じの真面目な雰囲気で全然イメージないんだけど。」
Y「でしょ……?ってかカジノってどんなとこなんだろ…テラ、行ったことある?」
ヨナは普段、ジニさんが来ても素っ気ない態度ばかり取ってるくせにいざ、相手が自分の思っていたイメージと違うと気になるようで私はヨナと腕を組みながら言った。
T「ヨナが行ったことないのにこの私が行ったことあるわけないでしょ?私たちも大人の女なんだし…どんなとこか覗きに行ってみますか!!」
Y「私…そういうとこ苦手……ってかそもそも入れんの?私たち…」
T「まぁ、とりあえず行くだけ行ってみよ?まだ時間も早いし?」
そうして私たちは好奇心からそのカードに書いてあるカジノの住所へと向かった。
つづく
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