第3話
テラside
とある日
ケイトさんは1人の男性と一緒にうちの店へとやってきた。
ケイトさんより少し年上だろうか?
ガッチリとした体つきのイケメンだった。
K「テラさんこんにちは!」
T「こんにちは。」
K「ジニさん、この店がいつも俺がジニさんのために買って帰るジニさんの大好きなプリンのお店ですよ!」
J「へぇ…ここなんだ…」
そう言ってケイトさんにジニさんと呼ばれる男性は店内を見渡すと、珍しくヨナもキッチンから出てきた。
ケイトさんがいつも買って帰るプリン…
私はてっきり彼女とかそういう子と一緒に食べてるんだと思っていたが、この人と食べてたんだ…
そう思うと何故かホッとして頬が緩んでいる自分がいた。
K「ジニさんはこのプリンが大好物なんですよ?」
ケイトさんはそう言って嬉しそうに私に言った。
T「そうなんですね?ありがとうございます!実はそのプリンはヨナこだわりのプリンなんです。良かったねヨナ!」
私はいつの間にか横にいたヨナの肩を叩く。
J「キミがこのプリン作ったの?」
Y「まぁ…」
J「そっか。じゃ今日はこのプリン全部買う!」
Y「えっ!?全部!?買い占めはウチお断りなんで。」
店としては全部買ってくれたら売り上げ的に嬉しいはずなのに、少しでも多くの人にこのこだわりのプリンを届けたいと思っているユキは素直すぎる反応と言葉でそう言った。
J「んふふふwそうだよねwごめんごめん冗談。じゃ、今日は2つください。また、プリン買いに来るね?」
ヨナはそう注文を受けプリンを入れる準備をし私はケイトさんの注文を受けた。
K「今日のおすすめはなんですか?」
T「今日はシュークリームです。」
K「じゃ、シュークリーム2つください。ジニさんのと一緒に入れてもらって大丈夫です。俺たち一緒に食べるんで。」
T「仲良しなんですね?」
K「ん〜まぁ普通ですかねw」
私とケイトさんがそう話をしているとヨナはジニさんから積極的に話しかけれていて、接客業にも関わらずそれをクールに対応しているヨナに思わず苦笑いをする。
なのに何故かジニさんは悪い気はしてないようで、永遠に楽しそうに世間話をヨナにしていた。
K「なんだかあの2人気が合うみたいですね?」
T「確かにwそうかもしれませんねw」
私たちがそう言って笑っているとヨナはそれに気づき、ジニさんを交わしてケイトさんにケーキの箱を渡した。
Y「いつもありがとうございます。」
K「ど…どうも…」
ケイトさんがケーキの箱を受け取るとヨナはキッチンの方へと消えて行った。
T「なんかすいません…ヨナ人見知りでいつもあんな感じなんで店先にはいつもは出てこないんですけど…」
私はそんなヨナを見兼ねてジニさんに謝った。
J「全然!なんか話できて楽しかったし。今度は俺1人でもここに来させてもらうね?」
あんなに冷たい接客を受けたというのにジニさんはそう言ってニコニコとし、ジニさんはそれから言葉通りケイトさんよりも多く週に2回はうちの店に顔を出すようになった。
それからもケイトは変わらず週に1回はうちの店に来ていた。
あれから少し変わったのはケイトはテイクアウトではなく、カフェスペースでお茶をして帰るようになり、いつの間にか私もヨナもケイトをお客様としてではなく、親しい呼び方で気軽に話せるような間柄となった。
Y「ケイト?これ試作品で作ったんだけど食べる?」
K「食べます!!けどいいんですか?ジニさんじゃなくて?」
Y「あの人にはこれ持って帰ってやって。」
ヨナがそう言ってジニさんの分の試作品をケイトに預け、ケイトの分の試作品を前に出してあげるとケイトはいつもペロリと食べる。
あれから色んな話をした私たちはケイトが私たちより2つ下と聞いて確かに顔はまだあどけないが、この筋肉質な身体は到底、年下には見えないな…と私は内心思っていた。
T「ほんとケイトは食いしん坊だね〜」
K「お姉様達の作るケーキが美味しいからですよ。」
ケイトはそう言いながら口いっぱいにケーキを頬張って幸せそうに食べていた。
T「そういえばさ?ケイトって仕事は何してんの?」
いつも、ケイトはうちの店に来るときビシッとしたスーツ姿でくる。
しかし、そのスーツ姿は普通のサラリーマンというには少し雰囲気が違っていて、私はいつも真面目そうなケイトがどんな仕事をしているのか不思議でしかたなかった。
K「うーん。フリーランスです。なんでも屋ですね。」
T「なんでも屋?」
Y「へぇ〜なんでも屋か〜じゃそのなんでも屋さんに仕事をお願いしようかな?」
ヨナはケイトの答えに楽しそうな顔をしてそう言った。
K「なんなりとどうぞ?」
Y「店先の壁が黒板みたいになってるでしょ?あそこに今週のおすすめケーキの絵を描いてくれない?」
K「あぁ…あの窓の横ですね?」
Y「そうそう。脚立乗って描くのが大変でさ?私たち高所恐怖症だし〜」
K「高所恐怖症なのになんで付けたんですかw」
Y「テラの趣味だよ。」
T「だってカッコいいじゃん。」
K「見た目重視w」
Y「とりあえず…あの倉庫に脚立あるから。」
K「了解です。」
T「私も手伝う!」
そうして、私はケイトがケーキを食べ終えると倉庫から脚立を取り出し店の外へと向かった。
つづく
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