第1話 新しい出会い
4月―。暖かい陽気で桜が綺麗だった。真新しい制服に身を包んで、私は今日から女子高生デビューだ。入学式の日、母はビシッとスーツ姿をきめ、制服姿の私を見てニッコリしたと思ったら「ついこの前まで赤ちゃんだったのに…。」といきなりシンミリ?しだした。「もう!せっかくのハレの日なんだから、そんなシンミリしないでよ!早く行かないと遅れるよ!」と私が言うと母は慌てて支度し、学校行きのバスに二人で乗った。学校に着くと私は自分のクラスがどれかを確認した。クラスはAからDまでの4クラス。私はBだった。私はBクラスに向かうと、途中で上級生らしき学生が数人「さっき、作家の美咲マヤを見かけたんだよね~。」「え?マジで?入学式来てるって事は誰かの母親ってことでしょ?結婚してたんだ。」としゃべっているのが聞こえた。美咲マヤは母のペンネームだ。母の作品は高校生にも読まれてるのかと思うと、学校の図書室を早く見てみたくなった。母の本が置いてあるかは分からないけど。まずはクラスに行かないと。クラスに入ると、皆真新しい制服姿だ。同い年だから当然だけど。何人かは固まって話をしている。多分同中出身なんだろう。自分の名前が貼ってある席に着くと、隣の席の子が話しかけてきた。セミロングの髪をハーフアップに結って、くりくりの可愛い目をしている。先島佳苗と名乗ったその子は隣町から来ているそうで、絵を描くのが好きなんだって。話しやすいから、私も色々話をしているうちにすっかり友達になった。LINE交換もして、お互いの作品を見せ合おうと約束した。入学式が終わって、クラスに戻ってからはホームルームの時間。担任の大川先生は男の古文の先生、副担任の長谷川先生は女の英語の先生だ。それからは自己紹介。私も自分なりの言葉で本が好きで詩や童話を考えるのが好きだと話した。ホームルームが終わって帰りの支度をしていると、佳苗が「花ちゃんの童話ができたら、私が絵を描きたい!私達で絵本作ろうよ!」と話してきた。私も「それ良い!できたら小さい子達に聞いてもらって感想聞いてみよう。そうすれば修正するところも分かるし。」と話し、帰宅してから早速私はストーリーを考えることにした。子供の頃から温めていた想像力で考えていたストーリーがある。小学校からの帰り道、雨の日にカエルを見つけた。道にいて、車にはねられたら可哀想だと思い、学校にあるアジサイにそっと置いてあげた。あの時の私は後でカエルが何か恩返しに来るかななんて考えていた。今思えば無邪気で厚かましい考えだけど。そのカエルが主人公の童話を考えていた。小さな池に住むカエルが花屋さんを営んでいて、花を買った生き物達は不思議と幸せになる話。ストーリーを考えていたら佳苗から今まで描いたイラストや絵画がLINEで送られてきた。すごく上手で私は魅了された。佳苗に絵の感想と考えついた童話のざっくりとしたあらすじを返信すると佳苗も「何か楽しそうな話だね。絵の方は考えるよ!」と返信がきた。「じゃあ明日学校でね。」と返すと「うん。お休み〜。」と返信が来たので。私は一区切りつけてお風呂に入り、ベッドに潜り込んだ。こうして私の女子高生ライフは新しい出会いと共にスタートした。
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