第19話 忘れられない初盆準備に
島の盆が とうとうやって来た。
叔母の葬式で
葬儀屋さんに聞かれた例のブツ。
『灯篭はどうされます?』
その理由がここにきて理解出来る。
島の盆飾りは7月かららしく、
初盆の餓鬼棚が早くも飾られる。
この『餓鬼棚』自体は、
なんとなく幼い記憶にあったから
躾とはたいしたもんだと思う。
本来は家の庭に先祖を迎える
餓鬼棚を、木とか藁製で
手作りする。
盆飾りで他の地方でも見る、
餓鬼棚はあるけど
殆ど家の仏壇の横とかに設置では
ないだろうか?
島ではもっとアミニズムちっく。
木材で脚長の台座を
ワイルドに作ったものに、
家を乗せる。
藁のムシロとかで
とにかく原始的な風貌なのだ。
ちょと古代の伊勢神宮とか、
高床式建築っぽい餓鬼棚になる。
そこに島では普通だけど、
他所では見ない供物を飾る。
それが
洗い米と胡瓜と那須の角切りを
混ぜたモノ。
名前あるのかなあ?
なにせ、島の墓とか、神様とこに
お供えしてるのは全部コレ。
そこに初盆だと、
回り灯籠とは別に、
例の提げ灯篭を飾るらしい。
それがデカイのだ。
全長は人の身長はある!!
仙台の七夕飾りみたいだ。
で!
これを7月から飾って、
盆になると菩提寺に持って行って
『おじゅっさん』に法要して
もらうと解った!!
うちは葬儀屋さんから、
おじゅっさんに直接
灯籠を配送してもらう事に
葬儀の後で決まっていたから、
残念ながら
島の家には灯籠はない。
あー、近所の飾りを見て
思い出した次第。
葬式の時にはピンと来なくて
解らなかったなー。
で!!餓鬼棚の家が
初盆の時には!あの白木位牌が
入った家を使うのだ!と?!!
「お姉ぇ、あの家さ、お墓に
置きっぱだよね。どーすんの?」
葬式の後に、
おじゅっさんから渡された家。
使い方がわからなかった
あの白木位牌の家。
他の本土に住む親族が
墓に置いてたから真似したけど、
「駄目じゃん!!」
「じゃあ、墓から持ってくる?」
「持ってこよう!」
まあ、
道理としては間違ってない。
お墓から叔母を迎えた家を、
盆に連れて帰るって、
体!!になる?
急いで墓から家を持ち帰る汗。
「お姉ぇ、マジ大丈夫かな、
昔オバアに、墓のもんは
持って帰るなって言われたよ。」
「知ってる、、」
だって背に腹は代えられない、、
なんとか
記憶を辿り、餓鬼棚を用意。
祖母が亡くなった時の飾りを
思い出す。
けれど流石に外には作れず
家の中に作る事にしておいた。
本当は餓鬼棚の四隅に
笹か竹を立てて、
白紙飾りの縄を貼るのだが割愛。
なんとか体裁は整えて、
島の家で初盆兼、
DIY御披露目会をすることに。
とにかく
仕出し屋さんもない中で、
自分達で精進料理も手作り。
本土から食材を送って、
近所の何でも屋みたいな
店で買い物する。
かつて家庭科の教師だった叔母。
しかーし!
被服教師だったから、
料理が破壊的な元マドンナだった。
叔母の素麺なんて!
食べれたもんじゃないのだ!!
だから記憶に残る祖母の料理を
妹と再現する。
7月からバラバラと来る親戚を
オモテナシする初盆は、
島の海開きと共に
スタートした!!
島の海開きはまた独特だ。
氏神神社の奥に社があって、
そこに男衆がお札を貰う。
それを頭にくくりつけて、
海に泳ぎに出るのだ。
謎な海開きだ。
そして『水掛祭り』がある。
最初にやってくる親戚は、
釣りを楽しみにしつつも、
この『水掛祭り』を目当てに
まずは本土から
渡ってくる。
『いっぱい釣ってから、そっち
顔を出すから、刺身皿を用意して
待っててー。期待しててよー。』
と電話してくるから、
そのつもりで待っておく。
ところが
まてど暮らせど、従姉夫婦が
やってこない。
結局
水掛祭りの直前に、
空っぽのクーラーボックスと
謎のビニール袋だけを
ぶら下げて
従姉夫婦は島の家の玄関に
現れた。
やや青い顔をして、、
何が、あった?
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