第18話 初盆まで聞くは坂系アイドルラジオだよ~

初盆には

島の家財産管理を託してくれた、

親戚達をDIY完成させて

迎えたい。


わたしにとって、

春の嫁入りならぬ、

家具入れ込み計画の肝だ。


そうなれば4月~7月といった、

大体3ヶ月での

ビフォーアフターを

見事に完遂せねばならない。


一気に通販した家具は一軒分で、

50万円程になった。

かなり安く上げたと思う。


「結局コンセプトは、

 バリモダンってカンジ?

頑張ったよねぇ、お姉え。」


妹は呑気な感想をのべるけど、

インテリアの割には価格を抑える

バリモダンを

全面押し出して

かなり頑張った!!


1ヶ月に2回島に通い、

夜に島へ渡って家に着けば、

途中で買った駅弁を食べて、

徹夜で壁を塗る。


しかも1人!!


段ボールが運ばれただけの家は

鬼寂しい!!


「いろいろ話を聞いたら、

 ますますうら寂しいよね。」


それでも、

だんだんDIYが進むと、

明るく仕上がるからそうでも

なくなったけど

最初はテレビも無くて、

スマホのラジオをガンガンに

鳴らしていた。


どんだけ 某アイドルラジオ番組を

聞いたか!!

だって通信具合なのか、

それしか入らんのです!!


夜通し

『☆セゾン~◯はセゾン~♪』


毎週聞いていた。


で!島ルーティン。


朝イチから、

庭の枝を電動ノコギリで落とす。


朝じゃないといけない訳が

そこにはある。


庭木にアシナガバチの縄張りが

出来てるからなのです!!

田舎の虫問題あるある。


Am◯zonで養蜂防護衣を

ポチっ購入したヤツを着込んで、

真っ白星人よろしく

電動ノコギリを肩に背負ったら、

なんだか

ニュースで見た某国の

コロナ消毒隊員みたいで

新聞配達のイケメンに

ドン引きされる始末。


ちなみに

新聞や郵便はバイクで配達。

狭い急な坂道ばかりの

集落を、

ロードバイク並みに

乗り上げしてくるから、

どこかヤンチャなイケメン

だったりする(笑)


とにかく

朝まだ寝ている間に、

縄張りの庭木を刈り込む。

丸裸のツルツルてんに。


でないと、

その下にある祠のお世話が

出来ないのでございます!!


で、!!


朝ごはんを浜にあるライフ

(某有名スーパーみたいな顔をして

地図にあるので騙されてはいけない)

「という名前」の店に買いに走り、

食べ終われば今度は近所の庭木を

手入れする!!


「おはようさんですー!毎度!

庭の枝、手入れしますよー!」


まずは

こう玄関で叫ぶ。

もくしは、島の家の玄関木を

電動ノコギリで落としていると、

ご近所さんが顔を出すから、

ついでとばかりに、

ご近所さんの手入れを

かってでる。


挙げ句!


「よければ片付けとかしますー。」


とお隣さんが、

倉庫にしている場所へ顔を出す。

勿論、お寺でラジオ体操を

しているとこに顔も出す。


そうこうしていると昼になり、

島民が溜まる、

お好み焼き屋さんで

お昼ごはんにする。


髪を切る日なら例の美容室に

行って、

そうでなければ

ここからDIYを夕方までして、

途中で墓掃除に、海散策。

途中で会う島民に、


「先生〜っとこの姪ちゃんかあ。」


と世間話を聞いて、魚をもらう。


夜には本土に戻る。


おわかりだろうか?

島ルーティンの殆どが、

ご近所への顔出しと、

御用聞き。


田舎で住むなら、

間違いなく近所付き合いは

必要なんです!!すごく!!

でも新鮮魚とか

島で貰うようになって、

本当に美味しいと分かるように

なる。


「タコって、

 こんなに美味しいの?!」

  

てな目からウロコ状態。


しかも、


「お嬢〜。お嬢〜。」


玄関ドアを開けて、

もしくは庭までやって来る

ご近所さん達の高年齢化の

お陰で、

メンタルとしては20代に

若返った感じ。

なんせどこでも

「おじょうちゃん」

扱いなのだから。


集落のちょっとした

アイドルになるのも夢じゃない!!

(↑図々しいもなっていく。)


この中で島の家のDIYを3ヶ月で

完成させたのは奇跡だった。


とにかく、

それが期限内に、

資金内で、

見栄えする状態で、

かつ

元のノスタルジーもある

ニュー島の家に

出来たのは、


「初盆に親戚を呼ぶ」


この思いがあったからだと思う。


ただ、全部のDIYはやり切らず、

興味を持った従兄姉達が、

参加出来る余地も

残しておいたのは

言うまでもない。


こうして、

初盆をいよいよ島で迎える。





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