(仮)あの日の僕へ
zuttomayona
序章
「不平等な現実のみが平等に与えられている」
これはヒロキのお気に入りの漫画に出てくるセリフだ。
当人はこの言葉をいたく気に入っている。なぜなら、ヒロキ自身がその現実の体現者だからだ。
現実なんてそんなものだと割り切った。誰かにとって「特別」なんてものは、ヒロキには存在しない。そんなことが続いていた。
虚しかった。
そう言えればどれほど楽だっただろう。
助けて。
そう言えればどれほど人生に気づきを得られただろう。
当人は幾度となく悔やんだ。
実際はそれを言葉に出すことはせず、行動にも表情にも出さず、ただただ心の奥に飼い続けた。不平等な現実から、そして空虚な感情から、目を背けるために。
(仮)あの日の僕へ zuttomayona @jgqr74pkae5
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