第19話 想定外の発現
「そんなの…そんなの、伝承上の神様とか、
今にも泣きそうな、
どこか物寂しそうな、
奥底には煮えたぎるような、憤怒《ふんど》も感じられて。
だからではないが、僕は櫻良を抱きしめた。
ただ自分がそうしたかったという我儘でもある。
御託を並べているようで頭が上がらない。
いや、それが理由ではないのかもしれない。
なぜか瞼が重くなってきた。
「(冬華…さん…)」
意識を手放した。
☆
「お兄ちゃん!?」
身体の力が抜けきってる。息はある。でも衰弱しきってる。
正直、冬華さんは信用しきってない。
向こうが隠してること、多すぎるんだもん。
にーには人を簡単に信じすぎなんだ。
…やっぱり、あのとき見たにーには、にーにじゃない。絶対。
私が間違えるはずないもん。たぶん今の衰弱はその影響。
今のにーにを助けるためには、"調理"での体力回復が必要。これには液体が適してる。
でも手持ちには携帯用のクッキーのみ。材料を取りにいく時間も惜しい。今の私にできることは…
…"精製"?
"精製"は、無から有を作り出す力だってわかってる。これだったら…
「"精製"!」 幸運のポーションを作った。
「"鑑定"」 このポーションの効果量は+5。
やっぱり思った通り、目に見えないステータスの強化もできる!
これを飲んで…っと。この状態で
「"精製"」 幸運のポーションができたけど、この効果量はっと…
「"鑑定"」 効果量+20!
運が上がると効果量が上がるってのは推論通り!
こっそり入手してた能力、にーにが色々してた間に発現したこの"鑑定"。
まだ完全には分かってないけど、少なくとも
この状態で、「"精製""精製""精製""精製"…」
幸運のポーション10本、これを
「"調理"!」
"調理"はそれまでにかかった労力分回復量が上がる。
「"鑑定"!」 回復量16280!?
私自身の運がちょっと上がったのと、幸運+20を10本でこんなオーバーヒールになっちゃうのか…
とりあえずにーにに飲ませて…っと。
「ん…」
「お兄ちゃん、まだ寝てていいよ。」
そう冗談で言ったつもりだった。
「たぶん、そうなる、と思う。」
ん?あれだけオーバーヒールな回復があっても回復しきれてない?
ものは試しだよね、「"鑑定"」
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