第17話 受け身の作戦
「問題って今度は何があったんですか?」
「研究所内にリンプリザートが研究室に突然、大量に現れたのだ。しかもその発生原因が何も掴めていない。」
「えぇ…ずっと気が抜けないね…」
「とりあえずはそっちに行こう。櫻良、用意を頼む。」
「すまない…私は現状君たちに任せることしかできず…」
「_僕が動けば解決するならそれで充分ですよ。」
これで自分の中での疑問が確信に変わった。
これはまず間違いなく誰かが意図的に行っていることであり、別ルートに入ってしまっている。
ただ、それをいくら理解したとしても動かない選択肢は取れないし、取らない。
「…お兄ちゃん、わかってるよね?」
「あぁ。そりゃもちろん、これが罠だってことくらいわかってるよ。」
「だったら、なんで足を止めないの!?こ、怖くないの!?」
櫻良が冷静を欠くのは少し珍しい。だからこそ僕は落ち着いて答えた。
「考えがあるからね_」
研究室にたどり着いた。扉の前で櫻良に作戦を伝える。
「櫻良、防御力上昇のポーションは手持ちにいくつある?」
「えっと、2本だけど…そもそもなんで持ってることを知ってるの?」
「知ってたんじゃなくて理解してただけだよ。できることが増えたら、まっすぐにそれに全力で取り組むのが櫻良だってことわかってるだけ。」
「ほんと察しがいいお兄ちゃんだね_。他、必要なものは?」
「そうだな…櫻良かな。」
「今回は私も一緒?」
「うん。短距離戦の部分もあるからね。それじゃ、立ち回りは_」
「よし、今から入るよ。櫻良、防御力上昇飲んで。」
「(こくっ。)」
二人で研究室の扉をくぐる。リンプリザートは見た感じ、ざっと20匹。
「速刃!速刃!速刃!」
部屋の中央へ行くために邪魔な個体は速刃で対応できると考えていたが、読みは間違えていないようだ。
リンプリザートはふにゃふにゃだが、素魂量が多いわけじゃない。
つまり奴らは攻撃を避けることに徹するはずだという賭けだ。
簡単に倒せるわけではないが、
部屋中央に到着した。全員をまとめて切り取るのは不可能だろう。
なにせ個体同士が離れている。だがしかし、それも想定済みである。
そのための防御力だからな。
カシャッ…。カシャッ…。
順番に切り取り始める。
「櫻良、近くにきたら速刃で対応だぞ。」
「うん、わかってるよ。」
「もし突き放せなくてもちょっと痛いだけだからな。」
「そんな受け身な対策まで考えちゃって…たまにはやるんだから、お兄ちゃんも。」
カシャッ…。カシャッ…。カシャッ…。
「速刃!速刃速刃!」
ここまでは
ただ、一筋縄ではいかないのが世の流れというもので。
「…!!まって、お兄ちゃん!今一瞬毒の流れを感じた!おそらく毒の霧のようなものだと思う!」
「…それは想定外だ_」
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