第13話 疑惑の眼差

「今回の指令はアリエボから目的地が確認できるみたいだな。」

「他の部屋にも入ってみたいけど、何されるかわからないからねー…」

そんな会話を織り交ぜながら先程の廊下から少し歩いていると、情報資料室という場所にたどり着いた。

この部屋はまさしくアリエボのような画面がたくさん空中に広がっている。

プロジェクターで投影した画像みたいだが、少し違うとも取れるようなものだ。

ここに書かれている情報に関してだが、どれもこの施設や雇い主(仮)、アリエボについてだった。

ただ、基本的にうわべだけで、詳しい情報はまだ解禁されていないようだ。

この部屋の情報を軽く整理してみるとする。


まずは、この施設は我々の住むナウィーミィリア王国の地下にある、5階層で構成された研究所であること。ただ、その目的や研究対象については不明である。

一方で、人物に関して分かったこととして。

まず、毎度毎度関わってくれている人は、三千島 冬華みちしま とうかさんというらしい。

この施設の総合管理人兼最高責任者らしい。

そりゃ相応の威厳があるわけだ。

また、アリエボを開発した人物でもあるとのこと。

そして、アリエボについてだが、これは現段階では連絡用ツールとして使われている電子端末だそうで、能力の向上等は特にないとのこと。

また、このアリエボはこの施設の中で2割程度の人が埋め込んでいるということも。

ただ、本来わからないはずの能力の詳細がわかるなど、便利要素があったり、実際に先ほど体験したが、一蓮托生パートナー登録などの補助機能が他にもあるらしい。

これは今後必要になった際、おそらく冬華さんの方から紹介してくれるだろう。


ざっと、今回の指令で得た情報はこんなもんだ。

「冬華さーん?今回の指令はこれで完了でいいですか?」

『あぁ。構わない。先程言っていたように、櫻良の能力整理のために一度戻るか?』

「そうさせてもらおうかな。櫻良、ひとまず牢に戻ろうか。」

「…お兄ちゃん、ひとつ冬華さんに聞きたいことがあるの。」

櫻良が珍しく、顔をしかめている。

「ん?どうした?何か引っかかったことでもあったか?」

「_冬華さん、なぜお兄ちゃんにアリエボを埋め込んだんですか?」

『…それはいったいどういう意味_』

「聞いてそのままの意味ですよ!この施設の中でも少数であるのに、わざわざ外部の人間に埋め込む理由がなければそうしないはずですよね!?」

「櫻良、落ち着いて。」

「___。理由は今は答えられないんですよね。少し勢いづきすぎました。すみません。」

『確かに、今理由を伝えるわけにはいかない。ただ、理由があるという事実、それから、伝えられるようになったら必ず説明すると約束しよう。』

「…ありがとうございます。」

「_櫻良、戻ろっか。」

「うん!」

櫻良の顔が少し、ほんの少しだけ普段通りに近づいたような気がした。

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