第11話 任務完了はまだ遠く
さて、スカープライノーサウスの部屋に再び戻ってきたわけだが、三体まとめて切り取るのはサイズの関係上至難の業である。
そもそも一体のみだとして、入れ込むことも難しいだろう。
また、向こうからの攻撃は確実に受けられないため、隠密かつ速攻が絶対条件であることも相まって、正攻法ではまず間違いなく不可能に近いだろう。
この部屋の扉をくぐってすぐは壁があり、前に出ない限りは見つからない位置であることから、隠密は不可能ではないが、僕の頭の中ではその隠密は必要がない行為である。
この指令が今までの仮定通り全て計画的に動いているとして、手段を考えた時、ぱっと思いつくのはまだ使用していない能力の使い所がくるということだろう。
そう、今現在使用していない能力で、かつこの場で使うのはもちろん…
ふぅ。深呼吸をする。そして櫻良のポーションを飲み干す。
「複製 サルトエスカロン」
踏み台はしっかりと何個も用意しておこう。
そしてこの身の安全を今まで確保してくれていた壁に背を向け、飛び出た。
「復元!サルトエスカロン!」
その瞬間、スカープライノーサウス三体ともに見つかった。
凄まじい勢いでこちらに向かってきている。
すぐさまサルトエスカロンに乗り、精一杯の力で空へと
しっかり注目されているおかげで上手くいきそうだ。
すかさず、「フラッシュ!」
三体ともの目をターゲットに、そう叫び、フラッシュでの妨害能力を有効化した。
手に入れた能力を使うこと前提に計画されているならばこれが有効だと考えるのが妥当だろう?
だからこれに賭けたのだ。
この怯んだ隙を当然逃すはずはない。
そのままの高度から、さらに、「復元!サルトエスカロン!」
予め準備していた踏み台をさらに乗り継ぐ。
今まさに、再び自身がカメラになったかのように、鮮明にスカープライノーサウスらが目に映る。そして、同じようにカメラにもその全貌がくっきりと写る。
このまま…カシャッ。
そこにはもう、ただただ広い空間が存在するのみであった。
「ようやく終わった…」
廊下へ行き、ポーション作りに精を出している様子の櫻良と合流し、休憩がてら、早速まだ使っていなかった図鑑登録機能を使ってみているが、これは写真を見るだけのギャラリーとは違い、切り取った対象のステータスなどが見られるというかなりの便利機能だった。
「ねぇお兄ちゃん、アリエボから指令達成ー!…みたいな通知来ないの?」
「…来ていないな。雇い主さーん?」
『私は雇い主ではない。それと、まだ終わっていないぞ。』
「「え…??」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます