第9話 ツカワレルモノ

櫻良のいる廊下に戻り、先ほど疑問に思ったことを聞く。

「櫻良、趣味ウェポンの能力はどれくらい自分で把握してる?」

「今は、私の作った料理に回復能力があることだけしかわからないんだよね…」

ピコーン。

アリエボに通知が届いた。

『もし君が櫻良のことを"一蓮托生パートナー登録"するのであれば、このアリエボを介して能力の開示をすることを可能することはできる。』

なるほどな。相変わらず都合のいいようにできている。

「"一蓮托生パートナー登録"」

心象空間に魂だけ移動した感覚を覚えた。

櫻良の過去,個性,想い,その他全ての人生を背負う、そんな色彩。

その瞬間から紛れもなく、櫻良と僕は一体化したと確信した。

__ん?あの記憶って…


_戻ってきた。現実に魂が。

「_お兄ちゃん。私たち、繋がったんだよね。きっと。そんな気がするの。」

「あぁ。僕にも分かったよ。ありがとう。」

そして、元々の用事を思い出す。

「えっと…色々あるな…」

おそらく経験値稼ぎと題して色んなことをしていたからだろう。

その中で使えそうなものがないか探ってみる。

あった!これだ!

"精製(身体能力強化量[小])"

「今、櫻良の趣味ウェポンは強化系のポーションを作れるらしい。

感覚でなんとかやってみてほしいんだ。今から使いたいのは跳躍力だから、なんとなくでやってみてくれないか?」

「わかった!もうあの部屋に入るの?」

「いや、僕はまだ別の準備がある。それまでに跳躍力増加ポーションをお願いしたい。」

…といい終える前にはもう作業に取り掛かってしまっていた。

櫻良はこういうところがある。まあこんなところも自慢の妹だ。


さて_探すもの探さなきゃな。

僕の予想では、この建物のどこかにサルトエスカロンがいるはずだ。

そう考えた理由は、この指令の真の目的が趣味ウェポンの能力の拡張であると仮定した場合、安全な方法であのスカープライノーサウスをカメラ内に収めることができるように設計されているはずだからだ。

サルトエスカロンの弾性力と、櫻良の跳躍力上昇能力を掛け合わせることができれば、おそらくまとめて3体とも収められるのではないか、そう考えたというわけだ。

今は櫻良を信じて探すしかない。


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サルトエスカロンについて

"跳ねる踏み台"のような魔敵イニミコスです。

その柔軟性から、しばしば討伐の依頼が出回る厄介な魔敵イニミコスとして知られています。

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