第7話―争乱―

とあるホテルをチェックインする。

手続きが終わり渡された鍵を握ってエレベーターに乗りだす。

日々の忙殺を追っていた織田信長は借りた部屋に入ると倒れるようにベットに飛び込む。


「つ、疲れた……いくら俺が前社長じゃないからって離れる事ないじゃんか!?

頼りないのか。そうか頼りないんだな」


信長は社長に継承してからすぐ困難に直面した。

それなりの株を有してもまだ若き社長について行こうとする統率力で維持するだけの能力は足りていなかった。

すぐ近くには清須城カンパニーに抱えているだけではなく正式な後継者は弟の織田信勝の声も上がっている。更にこれだけではなく今川との対立。


「……父さん。

すまない、貴方の結んだ和睦を壊してしまった。

でも俺のしゅうとめである斎藤道三はなかなか頼りになる味方にいないのを大切にすると思って仲良くしようとするためにしたんだ」


織田信長がトップになってからは織田信秀との和睦を破棄した。このことによって今川とは対立となる形になる。


「それに傍を支える秘書の帰蝶がいるから関係性を優先は当然だ。

妻がいるからもある」


主君を追放したり毒殺などしてきた斎藤道三は悪名が高い。されど騙し合いとなる交渉の場には末恐ろしい実力を持つ。

信長にも破棄した選択に斎藤道三に気配りした理由は織田家と今川家を和睦させることに成功させた

仲介役が六角定頼ろっかくさだよりは関与しているからであるが破棄して先程を述べた理由は推測の域になる。

これが正しいという動機ではないがこういう心理をしていても高いはずだと存じる。


「もう遅いし、寝るか」


信長は一人ホテルで眠りに落ちるのだった。

それからも頑張ってきた信長。ここで寝耳に水の話が飛び込んできた。

以前に織田家と今川家を和睦に尽力していた山口教継やまぐちのりつぐが今川の会社へと寝返る形で転職した。


「託した鳴海城なるみじょうカンパニーごと今川に渡されたか。仕方ない。ここで打って出るか」


信長は社員をおよそ800人を連れて裏切り者を倒さんと出発した。

この動きに今川から重役の岡部元信らを送られ守りを固めると山口教継の息子である山口教吉やまぐちのりよしは1300ほど社員を連れて出迎えに発つのだった。

両軍は赤塚あかつかで睨み合う。

これを後に赤塚の戦いと呼ばれる小競り合いになり

織田信長が社長に就任して初めて社長としての仕事となる。


「聞け山口教吉。父のもとで働きながら俺が継ぐと裏切るとはその軽率な判断には呆れる。

ここで倒す」


「ふん。やれるならやってみろ。この大うつけが」


宣戦布告に対して挑発ともとれる威勢を込められた返しに信長は歯ぎしり。

両者が戦おうとするのは……カードゲームだった。


「全員参加のカードゲーム大会で山口教吉ここで朽ち果てるがいい」


「くくっ、そうかな?そうなるかな信長ァーー!」


この戦いの結果を先に説明すると引き分け。

序盤は矢をそれぞれ放ち合う矢戦それから槍戦でゲリラ戦となり損耗が増えて人質や馬の交換して兵を引き上げたのが赤塚の戦いである。

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