第4話―大うつけ―

列強に囲まれながらも抗い続けてきた織田信虎。

そんな英雄は病死を遂げると混乱が広がる。

どちらが次の社長に継ぐか巷は噂していた。

織田信長は英傑であると周囲が認知されていない。それもそのはずだった。


「いやぁー、これだけ騒ぐと楽しいものだな」


奇抜で派手な服装。

町中を独歩するは織田信長。


「そうスね信長様。いきなり叫んで驚かせてしまえば暴行罪になるのにさすがス」


腰巾着だろうか。連れて歩く仲間の一人が肯定。


「にしても焼き味噌の干し柿はサイコー」


「よくそんな不味そうな組み合わせを食べるスね」


「……ねぇキミ?俺をバカにしてない。

しているよね。ねぇ、どうして応えんの」


不良のような格好をして出回っていたがそのファッションセンスは不良のようなセンス絶望的とはかけ離れた一味ちがったもの。

髪を茶を立てる時に回す道具のような茶筅髷ちゃせんまげ

着用されるのは浴衣ゆかた。それを斜め半分を素肌を晒すなどしておりボトムズは、くるぶしまでの丈。

アクセサリーをたくさん付け、朱色の刀。


「肩をもたれて歩かないでスよ。

下品と思われるスよ」


「いいんだよ。饅頭まんじゅうウメェ」


奇抜な格好していた時期の信長は下品な振る舞いが目立っていた。人に寄りかかりながら歩いたりまたは肩にもたれて歩いていたと記されている。

そして現代では珍しくも下品とも扱わない食べ歩きもしていた。昔は食べ歩くことを下品としていた。

信長はうりや栗と柿など人目をはばからず食べていたのだ。

かてて加えると干し柿と焼き味噌は信長の好物。

さらに追加情報に甘党も超好物。


「あれが社長の息子か。

あんな超バカなんて信虎さんもあれでは成仏もできぬな」


地元の人達はゴロツキみたいな信長を見ては呆れ果てて陰でそんなことを言っていた。

この乱暴な振る舞いから織田信長は発達障害者ではないかと研究者もいる。


(織田信虎が亡くなれば継承問題が起きる。

ここ愛知県の西をトップなのが斯波義統しばよしむね)


話を少し逸れてしまうが斯波義統は、尾張国の守護の地位にいる支配者。


(その部下で子会社の社長が織田達勝、その息子が今は信友のぶともが就いたか。

この部下で子会社を作って社長として任命したのが俺の父である織田信秀であるな)


なので織田信長は斯波義統の陪臣ばいしんになる。

陪臣は部下の部下という定義で斯波義統からしたら下級武士のように認知であったかもしれない。

――数日後。

信長はスーツを着ずにラフな格好をして葬式に来ていた。周りはどよめく。

場所は萬松寺ばんしょうじ


「ずいぶんと立派だな。

僧侶は300人いるか」


「左様ですな信長様」


信長は家老を連れて参列していた。

寺に入ると格好を見てどよめき具合が増す。

仏前の前まで行くと足を止める。

なにを思ったのか信長は抹香まっこうをつかむとそれを位牌いはいに投げつけるのであった。


「「なっ!?」」


「……」


信長は無言で駆け去っていく。この所業に対して周囲の反応は無礼な行いに激怒した。


「この、大馬鹿者がぁぁぁぁぁぁッ!!」


福岡で旅をする僧侶が信長の一部始終を見てこう呟いた。


「あれこそ当主にふさわしい振る舞いだ」


「おまえ……なに言っているんだ?」


これに反して信長の弟にあたる織田信勝おだのぶかつは折り目を正しい。

作法や礼をかなったものであるため次の後継者は弟しかいない。

古くから仕えている社員は織田信勝に支持が増えていくのであった。

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