第2話 拾われた少年
なんか体が重い。なんだ?
起き上がると少年はベッドで寝ていたことに気づく。また、彼のそばで1人の男性が寝ていた。彼は少年と手を繋ぎ、少年のお腹のあたりで寝ていたのが重さの原因だった。
誰なのだろうか、この人は。…確か神様に転移してもらって…。そもそもここはどこなのどろう。きっとこの人にお世話になったのは間違いない。
「ふぁ~。あ!起きたかい、君!」
これは驚いた。さっきまで私とは逆の方向を向いて寝ていたから、わからなかったが、とても整った顔だ。オレンジのような赤のような色の目、プラチナブロンドの髪。俳優さんみたいだ。服もまるで貴族のよう。さぞモテるんだろうな…。
「あ、はい。えっと、ここは…?」
「ここは私の家だ。私が森で狩りをして、帰ろうとしたところ、君が急に現れて倒れたんだ。そのままにして置くのは心が痛むので、勝手ながら私の家に連れ帰ったというとこだ。」
「ありがとうございます。えっと、、」
何から話すべきなんだ…。わからない。
「私はレイブ・バンディア。バンディア家の当主だ。まず君の名前から教えて貰ってもいいかい?」
「すみません。私は今までの記憶がほぼなくて名前がないです…。倒れたっていうのも前後の記憶がなくて。」
「そうなのか…。失礼なことを聞いてしまったね。でも、ずっと君というのは距離を感じるから避けたいとこだが…。」
ああ、しゅんってなってる。別にレイブさんが悪い訳じゃないのに。
「あ、あの!もしよろしければ名前をつけていただけませんか?」
こっちの世界の人に名前をつけて貰ったほうが違和感なく馴染めるよね。でも、迷惑かも。どうしよう。やっぱなかったことに…。
「私がつけてもいいのかい?」
「え、はい!是非お願いします!」
「そうだな…黒髪黒目…ブラック…ブラッド!ブラッドはどうだい?」
「ありがとうございます!ブラッド…ブラッド…いい響きですね。」
–––ステータス、名前を からブラッドに変更しました。
え?なに、この音声?ステータス…?あ!そういえば、神様がステータス表示と唱えるとスキルとかを見ることができるって言ってた。今のは、ブラッドって名前に変更されたってことかな。あとで確認しないとな。
「ブラッド?どうしたんだい?」
「あ、いえ、なんでもないです。」
レイブさんに助けてもらったはいいものの、これからどうやって生きていこうか…。
「あの、レイブ様はこのあとどうするのですか?私は何をどうしたらいいのか何もわからなくて。是非レイブ様について知りたいです。」
「ブラッド。様はいいよ、堅苦しいから。」
「え、じゃあ…えっとレイブ…さん?」
「ふふ、じゃあそれでいいよ。」
「私は辺境伯でこの地、ミラドを治めている。普段は書類仕事、狩り、時々王都に行って仕事をしているよ。妻、息子が1人いる。あとで紹介しよう。今日はとりあえずブラッドの体が心配だから、休みにしてあるよ。」
「レイブさんは貴族なんですね。私無礼を働いていませんか…?それに、忙しいのに休みを取ってもらってすみません。」
「ふふ、謙虚だね、ブラッドは。大丈夫だよ。私について知れただろう?私もブラッドのことが知りたい。ブラッドも私に教えるべきじゃないかい?」
「えっと、そうですね。話すことはあまりないんですけど…生まれたところも家族もわかりません。ここがミラドだということも初めて知りましたし、どうやってここまできたのかもわかりません。なにか特別な取り柄もないですが、レイブさんに助けてもらって、生きているので、レイブさんにはとても感謝しています。是非何かできることがあればいいのですが…。」
「そうか…。じゃあブラッドがよければ、ここで一緒に住まないか?」
「え、私は嬉しいですけど、奥様と息子様はよく思われないのではないですか?」
貴族、そして一人息子がいるんだ。面倒なことにならないのだろうか。
「そんなことはない!それより、2人はブラッドのような子供がが1人でいる方がよくないと思うはずだ。」
レイブさんはすごく紳士だな。こんなお父さんがいたらきっと幸せだろうな…。
「ありがとうございます…。」
「じゃあ、夕飯のときに2人にあってもらおうか。話は通しておくよ。それまでゆっくり休んでいなさい。」
こくりと頷いた。
レイブさんは静かに部屋から退出した。
レイブさんには助けられてばかりだ…。この恩は絶対になにかして返さないと。
まずは、自分のことを知っておかないとな。
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作者です。
皆様、読んでいただきありがとうございます。
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次回も是非読んでください。
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