第286話 バーベキュー用意。研究開発


 アニメ日本昔話を3時までみたところで、休憩時間となった。

 ヴァイスがワゴンを押してソファーとセットになっているリビングテーブルの上にお茶の用意をしてくれた。お茶菓子はショートケーキだった。

 もうなんでもアリだな。

 もちろんタマちゃんにもお茶とショートケーキが用意されていて、スポーツバッグから出てきてショートケーキを食べてお茶を飲んだ。タマちゃんの場合、飲、食、どちらも吸収だけどな。

 フィオナにはハチミツが用意されていた。



 おやつを食べながら円盤を見ていてもよかったが、一応切れ目だったし、あまり長い時間モニターを見ていたら目も疲れるので、目を休めるためにも停止しておいた。


 おやつを食べ終わったところで、俺はそろそろ撤収することにした。

「ソフィア、機械のことは電気作業員の誰かに聞けばわかると思う。

 円盤プレーヤーのコントローラーの使い方だけ教えておくよ」

 そう言ってソフィアに簡単に円盤プレーヤーのコントローラーの使い方を教え、説明書がテレビ台の引き出しに入っていることも教えておいた。



「それじゃあ俺は帰るから。アキナちゃんにもそろそろ迎えがくる時間だろうから、アキナちゃんの迎えが来たら今日はお終いにしような。一緒に見た方が楽しいからな」

「わかったー。イチロー、さよならー」「イチローさん、さようなら」「「マスター、お疲れさまでした」」


 スポーツバッグにタマちゃんが入って、フィオナが俺の右肩に止まったところで俺はうちの玄関前に転移した。


「ただいまー」

『お帰りなさい』



 翌日。

 今日は忘れないうちにと思ってバーベキューの食材を用意することにした。

 おとなしめの普段着を着てタマちゃんとフィオナを連れて朝7時にシュレア屋敷に転移した俺は、朝食をそこで食べた。

 少し休憩して電気作業員Aを呼んできてもらい、彼を連れて商業ギルド近くに転移して、そこから商店街に向かった。


 フィオナは俺の右肩の定位置。タマちゃんは手に下げたスポーツバッグの中だ。


 商店街では肉屋では皮をはいで頭と内臓と、足の先としっぽの先を取ったトカゲの半身を電気作業員Aを通じて買った。結構大きくて7人で食べても、これだけでも腹いっぱいになりそうな量だった。

 これから買う食材も一緒だが新館で焼肉できる大きさに切り分けてもらおう。

 牛肉などはどう考えても日本産の方がおいしいはずなのでここではトカゲだけにしておいた。


 次に肉屋の隣の魚屋で大蜘蛛と大サソリを買った。

 大蜘蛛の胴体はあまりおいしくないそうで足だけを8本。

 大サソリは大サソリと言ってもそれほど大きくはなく長さは30センチちょっとくらい。内臓のある胴体は短くしっぽがかなり太いので、見ようによってはロブスターだ。大サソリは3匹丸のまま買った。ちなみに大サソリのしっぽの先は落としてあった。危ないものな。

 買った物は全部スポーツバッグの中のタマちゃんに預かってもらっているので傷む心配はない。

 変わった食材はこんなものかな。これなら浜田も納得するだろう。


 シュレアでの買い物を終えた俺は、電気作業員Aを屋敷に連れ帰って、いつものホームセンターの屋上に転移した。

 そこから1階の食料品売り場に下りてカートを押して野菜売り場に回ってコーンとパプリカそしてオクラとシイタケをカートに入れた。

 次に回ったのは肉屋で、焼肉関係の肉をこれでもかというほどカートに突っ込んで、並んでいた焼肉のたれも数種類3本ずつカートに入れた。

 そして、魚屋。

 殻付きのホタテとサザエそれに殻付きのカキを売っていたのでそれもカートに入れた。




 次は飲み物。

 コーラと炭酸入りオレンジジュースと炭酸入りリンゴジュース、そして炭酸水をそれなりの量カートに入れた。池の前でバーベキューするわけなので果物は食べ放題だし治癒の水は飲み放題なんだからそんなに飲み物類は要らなかったかもしれない。


 最後に思いついてバターと醤油を買っておいた。

 

 しばらくレジに並んで精算を済ませた俺は、カートを押してエレベーターに乗り屋上駐車場に向かった。


 屋上駐車場でカートを押しながら少しずつカートの中身をスポーツバッグの中に移して、あっという間にカートは空になった。


 カートをカート置き場に戻した俺は新館の書斎に転移し、机の上の呼び鈴を鳴らしてアインを呼んだ。


「マスター。どういったご用でしょう?」

 20秒後に部屋に入ってきたアインに、トカゲ肉の処理を頼んだ。

「肉を買ってきたんだけど、焼き肉用に適当にスライスしてもらいたいんだ。

 この肉なんだけど」

 俺はタマちゃんから渡された大トカゲの半身をアインに渡した。

「骨はどうしましょうか?」

「全部取ってくれていい」

「了解しました。10分ほどでマスターにお渡しできると思います。

 ドラゴンとヒドラの肉も用意できますがいかがします?」

「そうだな。それも焼肉にするから適当に用意してくれれば助かる」

「了解しました」


 アインは大トカゲの半身を手にして一礼してから部屋から出て行った。

 後ろ姿のアインが持った大トカゲのしっぽが揺れていたのが、実にシュールだった。


 トカゲ肉の処理が終わるのを待っていたら、10分後にアインが小箱3つ抱えて帰ってきた。


「いただいた肉は五ミリほどのスライスにしてきました。ドラゴン、ヒドラについても同じです。まずこれがトカゲ肉、そしてこの箱がドラゴン、そしてこの箱がヒドラになっています」

「ありがとう」

 受け取った小箱のフタを開けたら、白身の肉のスライスがぎっしり詰まっていた。

 フタをしてタマちゃんに預かってもらった。


 バーベキューの準備はこれで大体のところ終わってしまった。後は当日の天気だが、こればかりは仕方ない。

 もし雨が降るようなら、26階層の渦のある部屋に飛んで行ってもいい。あそこなら広いから炭を燃やしても一酸化炭素中毒にならないだろう。


 あと椅子とか用意した方がいいか?

 でもタマちゃんが自分で作れるといいっていたから、必要ならその場で作った方がいいな。



 それはそうと先ほどアインから受け取った小箱だが、見た目の材質は木にニスを塗った感じだった。

 こういったものは今の日本だとプラスチック製品が主流だ。プラスチックに限らず化学素材を導入したらいろいろなものの製造が楽になるような気がする。

「アイン。電気関係の本を渡しただけで発電機が作れたけれど、化学ばけがく関係の本を渡したらいろんな化学素材から製品が作れるようになるかな?」

「可能と断言できませんが、マスターからいただいたコアが多数ありますので高性能自動人形の製造は可能です。その高性能自動人形に化学を学ばせれば実験室レベルの化学素材の製造は可能と思います。大規模な化学素材の製造を目指すならば、機械装置関係のノウハウが必要になると思います。その素材を使った製品の製造について問題はありません」

「分かった。化学ばけがくに限らず科学関係の資料と工学関係の資料を集めてみるよ」

「はい」


 研究開発、技術開発スタッフを用意できるのなら、研究開発を進めて技術を習得していけばいずれいろんなものが作れるようになる。旧館を研究所にしてもいいし、ここもかなりスペースがあるからここでもいい。

 将来的には、飛行機は無理でも動力船が作れるかも?

 そうなったら、この世界の海の探検もできるようになる。夢が膨らむなー。


 今日は動力船関係の本を注文してみるか。


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