第246話 26階層本格再探査2
夕食をたらふく食べ、デザートにさっぱりとミカンを食べたら本当にお腹いっぱいになってしまった。
ハチミツで汚れたフィオナの手と顔を拭いてやり、片付けを終えた俺は毛布とバスタオル類をタマちゃんに出してもらって就寝の準備をした。
縦に半分に折った毛布を床に敷いて枕代わりのバスタオルを丸めて置いたら、フィオナは疲れていたようですぐバスタオル枕の隅に横になって目を閉じてしまった。
俺も横になり、寝ている間についてはタマちゃんに任せて毛布を掛けて、目の上にタオルをのっけて目を閉じたらいつの間にか眠ってしまっていた。
目が覚めて時計を見たら、午前4時半だった。7/22(水)
ちょっと早いが起き出して濡らしたタオルで顔を拭いてさっぱりしたところで朝の用意を始めた。フィオナはまだぐっすり眠っている。かわいいなー。
「タマちゃん、寝てる間何もなかった?」
「何もありませんでした」
朝食は何にしようか迷ったけれども少なくともお湯を沸かした方がいいのでコンロとヤカンをタマちゃんに出してもらってヤカンに水を入れて火にかけておいた。
結局、面倒なことをしたくなかったので朝はおむすびで済ますことにした。
インスタントの味噌汁をコップに入れお湯を注ぎ、緑茶のティーバッグをもうひとつのコップに入れて、お湯が少し冷めたおころでティーバッグにお湯を注いでしばらく待って「いただきます」
タマちゃんにはおむすびパックのラップを取ってやり渡しておいた。
ようやく起き出したフィオナはまだ食欲がなさそうで、枕ベッドの上で伸びをしたりしていた。
おむすびパック2つを食べてお腹いっぱいになったところで味噌汁を飲み干し、食後のデザートできんつばをひとつ緑茶で頂いた。おいしゅうございました。
後片付けをして時計を見たらまだ5時前だった。
だからと言って何もすることもないので、武器を装備してリュックを背負い肩に止まったフィオナレーダーを起動して2日目の探索を開始した。
9時あたりに一度水分補給したくらいであとはびっちり走り続け、午前中72個の核と魔法盤を手に入れていた。
単調作業が続いたせいか、気持ちの上で少し疲れが出てしまった。スタミナの魔法をかけてみたところ、ずいぶん回復した。肉体だけでなく精神にも有効だったようだ。
先ほど撃破した爬虫類スケルトンの残骸が散らばっていない石室の隅で、装備を解いた俺は昼食の準備に取り掛かった。
今日の昼食は焼きそばを作ることにした。焼きそばを作ったことなどカップ焼きそばしかないのだが、袋の説明を見ながら作れば何とかなるだろう。
ということでまな板を用意して、その上に焼きそばの麺とソースの入った袋、カルビ1パック。野菜炒め用カット野菜1袋を並べてみた。
カット野菜の中身はキャベツ、タマネギ、ピーマン、もやし、ニンジンだった。体に良さそうな組み合わせじゃないか? 知らんけど。
パックに入っていたカルビ肉は焼きそばで食べるには大きい感じだったので包丁で半分にしておいた。使うのも半パックで良さそうだ。
スキレットをコンロの上に置いて火をつけた。
油は用意していなかったものの、焦げることもないだろうと思いカルビを並べていき裏側に火が通ったところでひっくり返し、適当にカット野菜をスキレットに突っ込んで蓋をしてしばらく待った。
ジュージュー音が大きくなったところでスキレットの蓋を取って、スキレットの真ん中あたりをトングで空けてそこに焼きそばの玉を入れた。
水を30シーシー焼きそばの玉にかけろと書いてあったので目分量で水を垂らしてやった。
ジューといい音がする。
計量カップは用意した方がよかったかもしれないが、俺の目分量が早々外れることはないはずなので何とかなるだろう。少々水気が多くて麺が伸びたとしても俺ならおいしくいただける!
トングで固まっていた麺をほどこうとするのだが結構強く固まっていてなかなか麺がほぐれない。意外と面倒だ。
それでも根気よく動かしていたら麺も緩んで、ほかの具材とまぶすことができた。
こんなところだろうと火を止めて付いていた粉末のソースを振りかけて再度トングでかき混ぜて出来上がり。
皿にとっても良かったがスキレットから直接箸で焼きそばを食べることにした。
「「いただきます」」「ふぉふぉふぉーふゅ」
タマちゃんには今回もおむすびだ。今回のツアーでは骨しか現れていないのでちょっとかわいそうだが我慢してもらおう。
フィオナはハチミツで満足している。
焼きそばの味だが、野菜が少々多かったようでソース味が薄まった気がしないでもない。しかし、カルビ肉が焼きそばにこれほどマッチするとは思わなかった。新しい発見と言えばそうなのだが、値段的なことを考えると豚肉で十分だったかもしれない。
昼食のデザートは梨をむくことにした。
梨を左手に持って右手に持ったナイフでくるくるを皮をむいていく。
最後にまな板の上で割ってやり、両側に残った皮をむいて真ん中の酸っぱい部分を落として出来上がり。
フィオナには小さく切ってやり小皿に何個か置いてやり、残りを俺とタマちゃんで分け合った。
梨を食べたら完全リフレッシュしてしまった。スタミナの魔法よりこっちの方が効くようだ。
今度新館に行ったらいつでも食べられるように皮をむいた果物をパックに入れてもらおう。そしたらいつでも完全リフレッシュだ。
30分ほどの昼休憩を終え、装備を整えて午後からの探索を開始した。俺自身はマッピングすることなく突き進んでいるだけだが、それでも依然としてゲートキーパーというか階段は現れない。
自衛隊の場合は少なくともマッピングし、全ての部屋をしらみつぶしで探索を続けていたのだろうから次の階層を見つけられなかったことは当然だろう。マッピングに誤りがあれば遭難確実なわけだしな。
午後からも午前中同様飛ばしていき、午後8時に最後の爬虫類スケルトンを破って最終的に午後から68個の核と同数の魔法盤を手に入れその日の探査は終了した。
この日の夕食はにぎり寿司のパックにすることにし、タマちゃんに握りを1パック出してもらってまな板の上に置き、小皿に醤油とワサビを用意してからヤカンでお茶を沸かしお湯が沸くのを待った。
まだかなまだかなー。
なかなかお湯が沸かない。
これまで何も考えることなくウォーターの魔術で水を作っていたのだが、出てくる水の温度は少し冷たいくらいで飲む分には何も問題ない。
アイス云々魔術も使える俺なら水を凍らすんじゃなくて逆に温めるのも可能じゃないか?
フィオナもいるし試しに即席ではあるがホットウォーターなる魔術を試してみた。
量を絞ってホットウォーター!
指先から少し離れたところからお湯が湯気を残しながら床に滴った。やればできるじゃないか。これでまたダンジョンライフが快適になる。
ウォーターで作り出した水はどう考えてもカルシウムなんかは含まれていないだろうから完全な軟水のハズ。お茶を飲むのに軟水がいいのか硬水がいいのか分からないが俺の舌にかかれば区別の必要はないだろう。
お湯が沸きしばらく冷ましてから緑茶パックを入れたコップに湯を注ぎ、にぎり寿司のパックの蓋を開ける。
にぎり寿司のパックなんかはちゃんと持ち運ばないと片側に寄ってしまって見た目も悪くおいしさ半減なのだが、タマちゃんに預けたこのにぎり寿司のパックは全然そんなことがない。
つまりはタマちゃんの体内の謎空間は加速度からも超越しているということなのだろう。
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