第245話 26階層本格再探査1
[まえがき]
ここからは第3部的な何かになります。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
昼食までそうやってゲームで遊んだ俺はシュレア屋敷でミアと昼食を食べた。
シュレア屋敷での昼食はオムライスだった。こういうのもいいものだ。
少し休憩してからうちに帰った俺は、銀行に行ったりして所用を済ませ、本屋に行って将棋の本とトランプの本を買ってシュレア屋敷に届けておいた。
これで俺が指導しなくても将棋で遊べるようになるだろう。
うちに帰った俺はフィオナの監督指導の下、夏休みの宿題を夕方までに終わらせてしまった。俺はこの夏休みの間、完全に自由だ。
翌日。
「行ってきまーす」
『行ってらっしゃい。帰ってくるのは土曜の夕方のだったわよね?』
「うん。それじゃあ」
玄関を出た俺は専用個室に跳んで武器を装備し、冒険者証をカードリーダーにかざして26階層の渦の部屋に転移した。
初日の今日は昼休憩を挟んで午後8時まで頑張るつもりだ。
今回のツアーで変わったことと言うと、さすがに4泊5日のツアーの間途中下着を一度くらい替えた方がいいだろうと思い下着をひとそろいタマちゃんに収納してもらったことだ。
渦の部屋の中は何も変わったこともなく、そこで立ったままタマちゃんに手渡してもらったサンドイッチと調理パンを食べ、最後にペットボトルの緑茶をごくりと飲んでフィオナ探知機を作動させた。
この部屋には扉はひとつしかないので最初はフィオナ探知機の出番はないのだがフィオナは律儀にその扉を目指して飛んでいき俺が追い付いたら肩に止まってニッコリする。
最初の部屋の中は空っぽだった。そのあとすぐに次の部屋に目指して小走りに駆けていく。
次の部屋もからっぽでその次の部屋に爬虫類スケルトンが立っていた。
出会い頭のストーンバレットで首を吹き飛ばし、床に倒れ込んでバラバラになった骸骨から核を回収したあと銀の宝箱から魔法盤を回収した。
以下26階層探索フローチャート。
1、フィオナの指し示す扉を開ける。
ゲートキーパーがいない or ゲートキーパーがいる。
ゲートキーパーがいない場合2へ。
ゲートキーパーがいた場合ゲートキーパーを撃破する。終了。(そこから先のことはそこで考える)
2、爬虫類スケルトンがいない or 爬虫類スケルトンがいる。
爬虫類スケルトンがいない場合、1に戻る。
爬虫類スケルトンがいた場合、爬虫類スケルトンを撃破してタマちゃんが核と魔法盤を回収し1に戻る。
ものすごく簡単なフローチャートだ。
昼食までの午前中約5時間、俺は途中緑茶を飲んだくらいでぶっ通しで進んでいった。
撃破した爬虫類スケルトンは48体。同数の核と魔法盤を手に入れている。
午前中最後の部屋の隅で、装備を下ろして昼食の準備に取り掛かった。
まずは作業台代わりにまな板を床の上に置いておく。
次にカセットコンロを2つならべ、ボンベをセットする。
水を入れたヤカンを片方のカセットコンロの上にかけてお湯が沸くのを待つ。
もうひとつのカセットコンロの上には水を入れたダッチオーブンとか言う名まえの洋風鍋を置き、中にパックご飯ふたつとレトルトカレーを入れてから蓋をしてコンロに火をつけた。
湯が沸く間に食器類を準備して、カップにティーバッグを入れておく。
今回レモンを用意していなかったので、レモンティーは飲めないが、特に問題はない。
フィオナにはハチミツをちゃんと用意してやる。
フィオナも勝手にハチミツの皿に手を突っ込むようなことはせずおとなしくお皿の前で座っている。
レトルトパックは鍋が沸騰してからそのまま5分温めた方が良さそうだったので、先にカップにお湯を注いで紅茶を用意して、まったりしながら待つことしばし。
コンロの火を落としてダッチオーブンの蓋をトングで開けて台代わりに置いているまな板の上に置いた。
その後順に中身を取り出し、深皿にご飯を盛って最後にカレーをかけて出来上がり。
タマちゃんにはおむすびセットふたつ用意してラップを取っておいた。
「「いただきます」」「ふぉふぉふぉーふぁ」
カレーは激辛を買った関係か確かに辛そうな匂いがする。
スプーンでカレー部分をちょっとだけすくって口に入れたところ、確かに辛かったがそれほど辛いわけではなかった。
これならおいしく食べられる。
パクパクパク。カレーライスをあっという間に食べてしまった。
少し足りない感じがしたが、腹8分目で抑えることも必要だ。
ちょっとカレーの量に対してご飯が多かったというか、ご飯の量に対してカレーが少なかったがカレーはことのほかおいしかった。
もちろんうちで食べるカレーが一番だが、こういった場所で食べるというとことで味が3割増しになるような気がする。
食後のデザートに何か食べようかと思ったが初日の今日はやめておいた。
カレー関係の食器はタマちゃんにきれいにしてもらいそのまま収納してもらった。
紅茶をまったり飲み終えて、フィオナの手と顔を鍋のお湯で濡らしたタオルで拭いてやり、最後の後片付けを終えた。
腹8分目とか言ってはみたものの、この調子だと今日の上りを予定している夜の8時までにはお腹が空きそうだったので、適当なところで間食しよう。
午後に入ってからも26階層の探索は単調なだけで面白味はまるでない。
3時過ぎに一度軽い休憩を取りサンドイッチを食べてリフレッシュした。
そこから8時まで水分補給をしたくらいでほぼ休みなく石室を踏破していった。
もちろん初日でゲートキーパーないし下り階段を見つけることはできなかった。
先ほど本日最後の爬虫類スケルトンを撃破した石室の隅の方で荷物を下ろして、夕食の準備にとりかかった。
初日の夕食はステーキにすることにして、用意を始めた。
今回用意した肉は厚みのある赤身の牛肉で熟成牛肉とパックに書いてある。
肉をまな板の上に広げて塩コショウを振り、裏返してもう一度塩コショウ。
肉をスキレットとかいう厚手のフライパンに入れて、空いたところにカット野菜を入れておいた。後は火を付ければいいだけにして他の準備を進める。
今回はレトルトのトマト仕立てのキノコのスープというのを試してみることにした。
ダッチオーブンに水を入れてレトルトスープを入れて蓋をしからカセットコンロにのっけて火を点ける。
ダッチオーブンが煮立ったあたりでもうひとつのコンロに肉と野菜を入れたスキレットをのっけて火を点けた。
肉がジュージューいい始めたところでしばらく置いて、それから蓋を開けてトングでひっくり返し、また蓋をしてしばらく待つ。
スキレットの蓋を取ったらいい匂いが立ち上った。ステーキの入っていたパックについていたバターをステーキの上に置いてステーキソースをかけたらまたまたいい匂いが広がった。
これはたまらない!
熱々のスープを取り出してコップに注いで、タマちゃんにはおむすび、フィオナにはハチミツだ。
「「いただきます」」「ふぉふぉふぉーふぁ」
ナイフをステーキ肉に突き立てたら何の抵抗もなくナイフが突き立ち切れ目から肉汁があふれてきた。
ナイフを数回動かしただけで簡単に一口大になったステーキを口に運ぶ。
旨い!
これが熟成肉というやつなのか。軟らかい。癖がない。脂身があるわけではないのに舌の上で溶けていく!
これは癖になるな。贅沢への第一歩なのかもしれない。確か結構な値段だったものな。
肉を数口食べた俺は、火の通ったニンジン、タマネギ、キャベツ、カボチャを肉汁とステーキソースに絡めて順に口に入れた。
どの野菜も甘い!
トマト仕立てのスープも思った以上に味が濃厚で1日走り回った後で口にするスープとして最高だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます