第191話 連休の終わり

[まえがき]

フォロー、☆、♡、コメント、誤字報告、そしてレビューにギフト。ありがとうございます。

あと100話は続きますのでよろしくお願いします。(2024年4月4日現在290話辺りを書いています)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 ミアと一緒に昼食を食べたあと、食後のデザートに出された桃を食べたらお腹いっぱいになった。


「ごちそうさま」

「ごちそうさまでした」


 一緒に食堂を出て、階段を上ったところでミアと別れ俺は書斎に戻った。

 ちゃんとアインは核を持っていったようで机の上に核は残っていなかった。


 食事する前は午後からも28階層に核を採りに行こうかと思っていたのだが、お腹がいっぱいになってしまったので、今日は連休最終日のことでもありゆっくりすることにした。


 ということで机の椅子にふんぞり返って座っていたらアインがやってきた。


『これまでいただいたコアのうちひとつはソフィアに使い、他に5体の機能強化を終えています。さきほどの40個で引き続き自動人形の機能強化を行ないます』

「そいつはよかった。5体とも日本語が話せるんだよな」

『はい。

 発声機能付与と日本語習得、その他に運動機能を強化しています。

 コアのリソースにはまだ余裕がありますのでなにか追加機能等で指示などありますか?』

「そうだなー。

 機能強化はそれくらいでいいけど、新たに2体、ミアくらいの大きさの自動人形を作ってくれないか?

 ミアの勉強仲間兼遊び相手にしたいんだ。

 もちろんミアの国の言葉も話せる必要がある。それとちゃんと顔の造作は作ってくれよ」

『了解しました』

「できればその2体は、ミアの成長に合わせて大きくしていきたんだが、それも可能かな?」

『2、3カ月ごとに大きさを変える程度でよいと思いますので問題はありません』

「じゃあ、それで頼む」

『用途から考えて名まえがあった方がいいと思います』

「それもそうだな」

『マスター、命名お願いします』

「名まえふたつか。どちらも女の子の名まえだしなー。

 うーん。

  カリンとレンカにするか」

 特に意味もなく思い付いただけの名まえなんだが、悪い感じはしない。

『了解しました』


『マスター、新館までの道路建設ですが3日後に完成します。

 道路が完成し次第、新館の建設に取り掛かります』

「分かった。

 俺はここで少し休んだら俺の本当のうちに帰る。

 今度ここに来るのは4日後になる。そんなところだ」

『了解しました』


 アインが一礼して部屋を出ていった。

 俺は何だか眠くなってきたので目覚まし時計はないけれど、俺の体内時計を信じて隣の寝室のベッドで3時まで寝ることにした。


 寝室の中も掃除が行き届いて実に気持ちがいい。

 靴を脱いでベッドに横になった。

 以前ベッドを手で押した時はフカフカだったが、こうして横になってみるとフカフカフカだ。

 しかもシーツの肌触りが最高だ。

 これはいい。

 半地下要塞のハンモックもいいが、こっちの方がはるかに上だな。

 俺の部屋の質実剛健ベッドと比べるべくもない。


 フィオナは俺が寝る前から枕の端で横になっていた。フィオナは枕を見ただけでふかふかだと分かったんだろうな。何せフィオナは今やフェアリー・クイーンだし。


 今回の連休中、全然勉強などしていなかったので、うちに帰って夜になったら少し勉強でもしておこう。


 などと考えていたら眠っていた。



 夢など見ることなくスッキリ目が覚めた。

 時計を見たら3時ジャスト。

 俺の体内時計恐るべし。

 俺がヒューマンプラスであることが影響したのかも? あり得るな。

 ベッドから起き上がって靴を履いていたらフィオナも目覚めて俺の肩に止まった。


 そろそろうちに帰るとするか。


 書斎に戻ったらアインがいたので、そろそろ帰ると告げた。

 俺は焦げてしまった防刃ジャケットを着て装備を整えリュックを担ぎ、アインが一礼する中、ダンジョンセンターの専用個室に転移した。

 武器をロッカーにしまってからカードリーダーに冒険者証をかざし、うちの玄関前に転移した。


 そしたら、ちょうど門の向こうに結菜が歩いているのが見えた。

 

 結菜の方は俺がいきなり現れたことには気づいていないようだ。

 そう言えば去年新人戦で勝って全国大会に行くとか言っていたような気がするが、あれってどうなったんだろう?


 声をかけて聞いてもよかったが、聞く必要もないし地雷の可能性もあるのでそのまま玄関に入ろう思って後ろを向いたら、向うから俺に声をかけてきた。

「あら、一郎じゃない。久しぶり」

「久しぶり」

「その格好を見ると、連休最終日の今日もダンジョンに行ってきたんだ」


 そう言った結菜は学校の制服にスポーツバッグを持って、ラケット入れを肩から掛けていた。

「まあな。

 お前もこの連休テニスしてたんだろ?」

「いちおうね。

 どうしたのその上着? 炭になってるように見えるけど」

「ちょっと焦がしてしまった。表地だけで中は何ともない」

「それってアイロンじゃないよね。

 ダンジョンの中に火なんてあるの?」

「ダンジョンの中にもいろいろあるんだよ。

 そんじゃ、頑張れよ」

「一郎、それだけ?」

「ほかに何があるんだよ?」

「別に」

「なんだよ。それじゃあな」

「じゃあね」


 結菜との意味のない立ち話を終えて玄関の扉を開け大きな声で「ただいまー」と言ったら、居間の方から『お帰りー』『お帰りなさーい』と、父さんと母さんの声が聞こえてきた。


 2階の部屋の戻った俺は荷物を置いて防具を脱いで普段着に着替えた。

 防刃ジャケットの替えは1つあるけれど今度ダンジョンに行くときダンジョンワーカーに寄って新しいのを買おう。


 俺が着替えている間にフィオナは自分のふかふかベッドの上に座って、タマちゃんは段ボール箱で四角く広がって寛いだ。


 6枚羽になったフィオナを見たら、母さんは驚くだろうな。

 でも4枚羽になった時別に何とも言ってなかったから今回も驚かないか。フィオナの可愛さが変わったわけじゃないんだし。


 タマちゃんは金色になってからずーっと見た目は変わらないけれども金色になったとたんにゴールドグラトニースライムだったってことはないだろうから、知らぬ間に何度か進化してたんだろう。


 しばらくフィオナとタマちゃんを見ていた俺は机に向かい、連休中一度も開いていなかった教科書を出して復習を始めた。


 ヒューマンプラスの恩恵か、忘れているようなことは何もなかった。

 このままいけばプラスの数が増えて++プラプラになってしまいそうだし、みっつくらいまで増えた先は完全な人外になりそうだ。

 中身が人外でもいいと言えばいいのだが、外見が人外だとものすごく困る。そうなったらあっちの館に住むしかない。


 などと教科書を眺めながら考えていたら父さんが風呂から出たから入るよう母さんの声が下から聞こえてきた。


 着替えを持って1階に下り、脱衣所で裸になって軽く体を洗った後湯舟に浸かった。

 ついてきていたフィオナは俺の頭の上に止まっている。


「ふー。生き返る。

 今回の連休は中身が濃かったけれど終わってみればあっという間だった」


 明日から木、金、土の3日間学校だ。

 アインには4日後の日曜に館に顔を出すと言って帰ってきたが、土曜には道路もでき上るというし、土曜日、学校が終わってからでも様子を見に行ってみるか。

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