第126話 26階層4、クロ板狩。


「それじゃあ、わたしは専用個室に物を置いてからダンジョンに跳んでいきます」

「はい。それではお気をつけて。

 今日はお手間をおかけして申し訳ありませんでした」

「いえいえ。

 あの専用個室、実に使い勝手が良いので助かってます。

 それではわたしは失礼します。

 そうだ! 行く前にちょっと相談したいことがあるんですが?」


「何でしょう?」

「昨日黒い板を手に入れるためモンスターをたおしたんですが、そのモンスターはどれも同じ丸盾と剣を持ってたんです。

 昨日は丸盾と剣をひとつずつ買い取り所の係りの人に渡して買い取り評価してもらうことになっているんですが、実は丸盾と剣が大量にあるんです。それと黒い板が入っていた銀色の箱も同じ数だけ」

「はあ、なんとなくですが分かりました。

 専用個室の中に置いていただければセンターで引き取ってもらいます」

「今日これから置いておくのでよろしくお願いします」

「了解です」

「それじゃあ」

「今日はありがとうございました」


 俺はリュックを手に持って専用個室に転移で戻った。



 河村さんにゲートキーパー撃破のことと黒い板の話をして、最後に大量の盾と剣と宝箱の買い取りお願いした俺は、専用個室に戻り装備を整えた。


 忘れないうちにカードリーダーに順番に冒険者証をタッチして、タマちゃんに預かってもらっていた銀色の宝箱と丸盾と剣を個室の床に積んでいった。


 結構ある。宝箱は46個、盾と剣はそれぞれ45個。

 大した金額にはならないだろうが、不用品が売れるならそれに越したことはない。


 最後にリュックを背負って、腕時計を見たら時刻は8時30分。

 今日も頑張っていくぞー!


 昨日最後にいた場所は自分でもどこにいたのか位置がつかめていなかったので、予想通り転移では跳んで行けなかった。

 仕方ないので、25階層からの階段下の石室を目指したら、問題なく跳んで行けた。


 昨日はフィオナに途中までナビゲートされてゲートキーパーを目指したものの途中から黒い板狙いになったのだが、今日は最初から黒い板狙いだ。

 なので何も考えずどんどん扉を開けて行くことにした。


 階段下から最初の部屋はハズレ。

 その部屋を突き切って正面の部屋の扉を開けたら、爬虫類スケルトンがいた。

 ストーンバレットを放ったらスケルトンは反応できず、石つぶてはスケルトンの胸を砕いた。

 その衝撃のせいかどうかはわからないが本体は床に倒れて盛大に砕けてしまった。


 こういった乾きもの****には打撃系が有効だな。

 ストーンバレットはこいつをたおすためのサービスだったに違いない。


 銀色の宝箱を拾って蓋が開くよう念じ、展開された宝箱の中から黒い板を回収した。

 その黒い板を鑑定したところ、水を作る魔法だった。

 無難なところだ。


 開いた宝箱の組み立てを念じ、元の形に戻ったところで黒い板と一緒にタマちゃんに預けた。


 どんどん行こう。


 次の部屋はハズレ。

 ハズレ、ハズレ、アタリ!


 ここでもストーンバレットの一撃で爬虫類スケルトンをたおし諸々もろもろを回収した。

 ここで手に入れた黒い板はケガを治す魔法だった。

 これは一番ニーズが高いんじゃないか?



 午前中3時間半のスケルトン狩で27個の核と黒い板と銀色の宝箱を手に入れた。

 もちろん丸盾と幅広の剣も27個ずつだ。


 30分の昼休憩を挟み、午後5時までみっちり頑張った。

 午後からの成果は40個の核と黒い板と銀色の宝箱。

 それに同じ数の丸盾と幅広の剣を手に入れた。


 明かりの魔法×11

 水を作る魔法×13

 炎の矢を撃ちだす魔法×5

 石のつぶてを撃ちだす魔法×5

 罠を解除する魔法×4

 解毒する魔法×3

 ケガを治す魔法×7

 疲れをいやす魔法×7

 力を増す魔法×3

 素早さを増す魔法×3

 宝箱を開ける魔法×3

 罠を見つける魔法×3



 ダンジョンでの仕事を切り上げた俺は荷物を積んでいない空いた床を意識して専用個室に戻ったところ、積み上げていた宝箱などは片付けられていた。


 リュックを下ろして武器をロッカーに片付け、核入り段ボール箱とスポーツバッグをタマちゃんに出してもらってから係の人を呼び出すボタンを押した。


 いつものように2分ほどで係の人が部屋に入ってきた。

「振り込まれているはずですが、昨日のゲートキーパーの核の買い取り値段は1億円と1億2000万円でした。あと丸盾1個、3万円と剣1本20万円で買い取らせていただきました」

 ゲートキーパーの核は結構高い。逆に丸盾はかなり上質だと思っていたのだが、そこまで高くなかった。

 丸盾を使っている冒険者少ないものな。


「ありがとうございます。

 それじゃあ、今日持ってきた分お願いします」


 まずは段ボール箱の中から24階層で手に入れていた核をトレイに移していった。

 24階層の核812個=4億31万円。


「今日も相変わらずですね」

「もう少しあります」


 次は26階層の分。

 スポーツバッグの中から今日の26階層での核をトレイに置いた。

 67個で4388万円


 これで累計買い取り額は68億9163万7000円+4億31万円+4388万円+2億2000万円+23万円=75億5605万7000円となった。


 買い取りが終わったあと、部屋の中に丸盾と剣と銀色の宝箱を置いておくので買い取りお願いしますと頼んでおいた。

「了解しました。価格設定は終わっているので明日の朝にはその分が振り込まれると思います。

 それでは失礼します」


 係の人が部屋を出て行ったあとせっせと丸盾と剣と宝箱を部屋の中に積み上げていった。


 忘れずにカードリーダーに冒険者証をかざしてうちに着いたら5時半だった。


 父さんが風呂から出たところだったので、俺は部屋着に着替えてすぐに風呂に入った。

 風呂から上がったら夕食まで時間があったので、父さんの肩をもみながら、試しに『疲れをいやす魔法』を使ってみた。


「一郎。この前肩をもんでもらった時は肩こりが治ったんだが、今日は疲れが吹き飛んだぞ。

 どうなってるんだ?」

「カタモミについていろいろ研究してるからね」

「冒険者のことは分からないが、マッサージ師とかになればはやりそうだなというか、確実にはやるぞ」

 そりゃあヒールの魔術とか、疲れをいやす魔法をかけるマッサージ師ならお客さんは中毒になると思う。


 夕食後、片付けの終わった母さんが風呂に入って上がってきたので、母さんの肩ももんで『疲れをいやす魔法』を使った。


 10年若返ったと母さんから大絶賛された。

 弟か妹かできてしまうのかとかふと思った。

 今日は早めに寝るとしよう。




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