火山地帯に着くと、ちと熱い。

さっさと氷魔法で熱を下げる。

「涼しい…火山なのにどうなってるんだ?」

ロジャーは急に涼しくなったのを不思議がりながらも、熱さから逃れられて安堵している。

俺はこの世界では、パーティに気付かれないような速度で魔法を出せる事に気付き、ようやくこそこそ隠れないで魔法が使えるようになった。

昨晩研究をした賜物だ。

火山を前に何処に行けばいいのか、みんなはその辺を探索し始めた。

俺も探索してる振りをして、火山に少しずつ火魔法を送ってみた。

少しすると、ダメージの回復が叶い、晴れて神化した赤い髪の女が現れた。

俺は喋らなくて済む念話で女に話すよう告げた。

『貴方が私を?』

『ああ。詳しくはリタリアかシルヴァに聞いてくれ。』

『お礼に私を捧げ…。』

『この世界に力を送ってくれ。捧げるならそっちだ。』

『…わかりました。イザナと申します。』

イザナは名乗ったが、俺の名前は聞かなかった。

既にリタリア達と連絡が取れたのだろう。

パーティメンバーは、急に火山が活性化してビビりだしている。

「まだ何もしていないのに、火山が力を取り戻すなんて…。」

ロジャーが信じられないという風に言いながらも、パーティを撤退させるように動く。

ロジャーの指導力は本物ようだ。



火山地帯を出ると、次は何処へ行けばと相談が始まる。

俺はみんなの話を聞きながら、後はと思考する。

今までの属性から、残るは土だと思う。

土……何かが引っ掛かった。

「大地を回復する必要があるわよね?あの毒の沼地に…。」

ネネが言い掛けた言葉で思い出した。

俺は既に毒の沼地を正常化していた。

余りにテンプレだったから淡々とこなしてしまっていたのだった。

みんなは場所を知っていそうだったから、黙っていても目的地に行けそうだ。



「毒の沼地が無い!?」

ネネは自分が言い出した場所だから、宛てが外れたと思ったようで、必死に辺りを見回す。

俺は今まで通り、既にそこに居た女に念話で語りかけ、リタリア達に連絡を取ってこれからの事を聞くように伝える。

『確かに貴方が私を救いました。私の名はエイレン。急いで行かれてしまったので、声を掛けてはいけないのだとばかり…。』

『過ぎた事はいい。それよりもラスボスの居場所だが…。』

『らすぼす…?今皆が力を使います。貴方方を彼女の元に転送します。』

ラスボスの潜伏先がわかったのか、まあ詳しい事はどうでもいい。

漸く楽に行ける…。

エイレンの言う通り程なくして、転送の光が俺とパーティメンバーを包む。

エイレンが見えないみんなは何が起こっているかわからず、驚いていた。

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