第81話 来客

 その日も朝から雨でやることがなく、グダグダ過ごしていたら、もう日が傾いていた。

 それでもやることがないので、馬車の中からダラダラと降り続く小雨を眺めながら、晩御飯は何かなー、などと取り留めもなく考えていると、フルンが両手に荷物を抱えてやってきた。

 どうやら探索用の荷物をチェックするらしい。


「テントは狭いからこっちでやるの」


 といって自分のザックの中身を広げる。

 容量で言えば十リットルぐらいの小さな布製ザックには、松明が二本、包帯が一巻き、血止めの油、丸薬をまとめた油紙の包、携帯食のビスケット、火の精霊石で出来た小さな火口箱、真鍮のジョッキ、そして少し擦り切れた手ぬぐいがみっしりと詰まっている。

 その横には綺麗に折りたたんだ皮の水筒も並べてある。


「ちゃんとチェックしとかないと駄目だもんね」

「そうだな、いざというときに生死を分けるからなあ」

「でも、包帯の巻き方とかすぐ忘れちゃう」

「難しいよな、あれ」

「うん」


 一つ一つ手にとって確認しているフルンを見ていると気になってきたので、俺も荷物を確認しよう。

 平時の備えってやつだ。

 俺の鞄はたすき掛けにするタイプだ。

 中身は似たようなものだが、松明の代わりに、携帯用のランタンが入っている。

 小型軽量で、ちょっと意匠もこらしてある逸品だ。

 精霊石のランタンってやつは、はじめ魔法の力か何かでずっと光っているのかと思っていたが、やはりそう都合のいいものではなく、消耗品らしい。

 これは一センチ角のキューブ状の精霊石を詰めてやると、丸一日光るようになっている。

 火の精霊石は光だけでなく熱も出すので、煮炊きにも使えるそうだが、薪を使うのはコストの問題だ。

 その代わり、火種もいらないし液体燃料よりもたぶんコスパは高い。

 濡れてても燃えるので、雪山での進軍時など軍隊では欠かせないらしい。

 そういえば燃料油というものは見ないな。

 料理用の油は普段からよく使ってるけど、燃料としては使わないようだ。

 まあ、精霊石のような便利なものがあれば、需要がないんだろう。

 石油でも掘り出せば別なんだろうけど。


 他のメンツの荷物はというと、前衛のセスやオルエンの場合、ただのズタ袋を肩に下げ、戦闘の際は無造作に放り投げる。

 財宝を見つけた時は、その袋にそのまま突っ込む。

 エレンは鞄はもたず、いくつあるのかわからないほどたくさんついているポケットに色々詰まっている。

 このポケットは綿を詰めて分厚く作ってあり、物音が立たないようにしてあるそうだ。

 メイフルは腰に四つ程くくりつけた麻袋に小分けに入れている。

 デュースはゆったりとしたローブのたもとに御札などを放り込んであるらしい。

 あとはまあ、似たり寄ったりだ。


 はぐれても大丈夫なように、銘々が最低限の荷物を持っているが、それとは別に、お弁当やら毛布やらを詰めた大きなかばんも持ち歩く。

 結構重いが、これはいつもレーンと紅が担いでいる。

 戦士や盗賊は常に身軽にしておく必要があるし、魔導師は概ね非力だ。

 もちろん、俺も非力だ。

 結果的にレーンと紅が荷物持ちとなる。

 こんなかんじで、いつも探索に出ているわけだ。


 ひと通り確認して詰め直したところに、アンがやってきた。

 晩飯かな、と思ったら来客らしい。

 珍しいな。

 出てみると、質素な麻のチュニックを身につけた町家の娘がいた。

 もっとも質素なのは服だけで、首から上はゴージャスな貴族の風格があふれている。

 オルエンの友人で赤竜騎士団団長である、えーと名前はたしかエンディミュウムだったか。


「ごきげんよう、紳士様。遊びに来ちゃった」

「これはこれは、エンディミュウム様。むさくるしいところですが」

「そんな堅苦しい呼び方はおよしになって、エディでいいわ。オルエンがそう呼んでくれるのに、主人のあなたが呼んでくれない理由はないでしょう」

「そうかな。じゃあ、ようこそエディ。俺のこともクリュウと呼んでくれ」

「おじゃまします、クリュウ」


 どうやらお目付け役であるドルンの目を盗んで遊びに来たらしい。

 よくやるよ。

 オルエンは慣れているのか何も言わない。

 たぶん、いつもこうなのだろう。

 まあ、あの騎士団の団長だしな。


「しかし、供もつけずにいいのかい?」


 それでも一応、聞いておく。


「まあ、クリュウまで私を子供扱いするのね、嫌だわ。それよりも、晩御飯を食べずに忍んできたのよ。その美味しそうなシチューを、ごちそうしてもらうわけにはいきません?」


 と今できたばかりの夕食の鍋を指さす。


「そりゃもう、喜んで。うちの料理はどれもうまいよ。お城の料理とはまるで違うだろうが」

「見習い時代は、オルエンと同じ、騎士の作る無骨な料理を食べてたもの。お城のクリームべったりの甘い料理より、油の滴るお肉のほうが好みだわ」


 そういう彼女を焚き火の前に案内する。

 ディナーのテーブルなんて無いので、仕方あるまい。


「こちらにどうぞ」

「あら、素敵。こういうのがいいのよねえ」


 と、そこでモアノアが青い顔をして、俺の裾を引っ張った。


「ご、ごすじん様、お姫様におらの料理なんてくわせて大丈夫だか?」

「大丈夫だって、うまいから。ほら、皿を用意してくれ」

「わ、わかっただ」


 おどおどと支度をするモアノア。


「ふふ、かわいい従者を揃えていらっしゃるのね。バダムが入れ込むのもわかるわ。オルエンは良い主人を得たのね」

「ありがとう……ございます」


 と照れるオルエン。

 その顔を楽しそうに見つめながら、エディは出されたスープに口をつける。


「おいしい! ああ、これよこれ、こういうのを食べたかったの。ちゃんと塩気の効いたスープの美味しいこと。どうして宮廷の料理人はまったりと脂っこいものばかり作るのかしら」


 フランクなお姫様だな。

 あの騎士団らしくはあるが。

 そんな調子でしばしの会話を楽しむ。


「……そうそう、だからバダムに言ってやったのよ、私の青春はどうしてくれるのって」

「バダムも年なんだから、いたわってやらんと」

「まあ、ハニー、あなたって優しいのね。その優しさの半分でも私に向けてくださるかしら」

「もちろんさ、ダーリン。俺の言葉が君の苦しみを少しでも癒せるなら、喜んでこの身を捧げるよ」

「うれしいわ、ハニー」

「俺もだよ、ダーリン」


 とまあ、この調子である。

 打ち解けたを通り越して、悪乗りがすぎるな。

 だいぶ酔ってるようだ、お互いに。


「さて、皆が騒ぎ出す前に帰るわ。迷惑じゃなかったかしら、ハニー」

「俺も楽しかったよ、ダーリン。オルエン、送って差し上げろ」


 別れ際にエディが差し出した手にそっとくちづけると、再び光りだす。

 人間でも光ったりするんだな。

 詳しく聞きたいところだが、紳士たるもの、本人が話さないものをわざわざ聞き出すような野暮はしないもんだ。

 今にも消え入りそうな僅かな光だが、今度はそれをそのままにたもとにしまう。


「今夜はこのぬくもりを抱いて眠るわ、ハニー」

「嬉しいな、俺の心はいつでも君のそばにいるよ」

「ありがとう、じゃあおやすみなさい」


 オルエンに紅もつけて、お姫様を送らせる。

 エディはとびっきりの笑顔で会釈すると帰っていった。


「しかしまあ、ずいぶん馴染みやすいお姫様だったな。貴族にも色々あるもんだ」


 と、うっかり口にすると、奥でチェスを打っていたプールとエクが振り向いて声を上げる。


「妾が馴染みにくいようではないか」

「私めも、どこか距離を感じさせるところがございましたでしょうか」

「いやいや、そうじゃなくて、そういやお前たちもお姫様だったな、すでに忘れてたよ」

「ふん、それは褒められたと思っておくとしよう」

「そうでございますわね」


 そういや、バダム翁にかぎらずボルボルの野郎も、あれで馴染みやすいタイプだったな。

 たまたま、俺の周りに馴染みやすい連中が多いだけなんだろうか。

 それも一種の相性か。




 その日の夜更け。

 尿意を催して目が覚める。

 いちいちトイレで目が覚めるとか、俺も老けたなあ、などと思いつつ馬車から出ると、焚き火の側で紅とエレン、それにセスが見張りをしていた。


「おや旦那、怖い夢でも見たのかい?」

「まあね、チビるかと思った」

「だったら、漏らす前にトイレだね」


 盗賊のエレンがランタンを手にして立ち上がる。

 トイレはキャンプスペースの端に設置されている。

 前にも思ったが、ほんとこの国はトイレがしっかり完備してるよなあ。

 小さい村でも公衆トイレがある。

 通りで酔っぱらいのゲロは見かけても立ちションしてる人はあまり見た覚えがない。

 あまり疫病などが無いのも、そのせいかもしれない。

 日本で住んでたアパートは近くに小さな工場があったんだけど、そこはトイレがないのか、いつも路地の溝に立ちションしてたからなあ。

 道路は赤錆で真っ赤だったし。

 という話を上司にしたら、どこの昭和だよと突っ込まれてしまった。

 会社もそんなに離れていなかったのに、事務所のあった小奇麗な駅前と、俺の住んでた住宅街では川一本隔てただけで景色が随分ちがったもんだ。

 もちろん、そうした街中の格差みたいなのはこの街でも時折感じるけど、所詮、短期間の滞在で見えるものなんてしれてるだろう。

 旅もいいけど、腰を落ち着けてそうしたところまでじっくり味わいたい気もするな。

 この試練の旅も、そろそろ後半戦だろうし、ぼちぼちそうしたことも考えておくべきか。


 用を足してトイレから出ると、月が随分と明るい。


「綺麗なもんだなあ」


 思わず声に出るが、返事がない。

 あれ、エレンは?

 あいつも用足しか?

 と思って探したら、トイレの角に立っていた。


「どうした、返事ぐらい……」


 側によると様子がおかしい。

 あらぬ方向を見たまま固まってる。


 なんじゃこりゃ!?


 慌てて揺さぶるが、完全に固まっている。

 いや、エレンだけじゃなく、近くにいた別のキャンプの連中も固まっている。

 まるで時間が止まったみたいに……。

 雑音さえ聞こえない。

 そもそも、人の気配がしない。

 エレンが動かせないので、慌てて一人でキャンプまで戻ると、紅とセスがいた。

 いたがやはり動かない。

 まるで人形のように固まっている。

 いや、紅は人形だけど。

 何だこりゃ?


「こんばんは黒澤さん」


 突然声をかけられて、驚いて振り返ると判子ちゃんだった。

 でも、なんだか雰囲気が違う。

 というか着てる服が違う。

 日本でいつも着てた制服だ。


「私のインスタンスを迎えに来ました。お世話になったようですね」

「え、なに、寝てたんじゃないの? その服は? じゃなくて、そもそもなにこれ、判子ちゃんがやったの?」

「ええ、寝てましたよ。リンクが切れてどうしようもないので寝てました。それが先ほど回復したようなので、こうして出向いたわけです」

「何のことかわからんけど、何のこと?」

「私はまだ寝ているようですね、ちょっと起こしてきましょう」


 俺の質問には答えずに、判子ちゃんが小さいテントに歩み寄ると、中から判子ちゃんが躍り出てきた。


「うわ、なんで時間が止まって……って私!? あれ、どこの私? 迎えに来てくれたの?」

「バイパスも用意せずに何をやっているのです」

「あわわ、ご、ごめん、ちょっとほら、ねえ」

「ねえ、じゃありません。まったく、こんなに干渉して。あとで困るのはあなたでしょう」

「だ、だって……でもわりとこの娘たち良い子で……ハレンチだけど」

「そんなことはわかっています」

「あれ、あなたいつの私? 同期取れないんだけど」

「あとで話します。一旦、ライズしますよ」

「え、ここの監視は?」

「今はだめです。これ以上、エネアルに借りを作るつもりはありません」

「****!? あの女がこの世界に来てるの? あれ、まだ検閲が……あなた、ほんとに私?」

「いいからあとにしてください」


 そこまで話して、制服判子ちゃんがこちらを振り返る。


「私がお世話になりました。いずれお礼はしますが、今日のところはこれで」


 もう一人の判子ちゃんが慌てながら、


「あ、お世話になりました。料理美味しかったです。フルンにすごろくの続きはまた今度って言っといて。でもたぶん私のことは忘れると思うけど……」

「え、あ、うん」


 わけがわからないまま、適当に返事する俺。


「さあ、タイムリミットです。干渉をキャンセルするときにフォス波が発生します。孤立波であるあなたには影響が出ないでしょうが、あなたの従者はまだ影響を受けるでしょう。一応、忠告しておきます」

「なんだかわからんけど、わかった」

「黒澤さんは、いつもそうですね」


 そういって、今まで見たことのない顔で、ふっと笑う。

 判子ちゃんも結構かわいいな。


 と思った瞬間、


「では、また……近いうちに」


 ふたりともすっと消えた。

 同時に、周りの雑音が戻る。

 気が付くと、焚き火の側には紅とセスもいた。


「む、ご主人様、いつ戻られたのです?」


 セスが驚いている。

 ついでエレンも慌てて戻ってきた。


「ちょっと旦那、急にいなくなるからびっくりするじゃないか」

「すまんすまん、ちょっとボーっとしてて」


 適当にやり過ごしながら小さいテントを覗くが、やはり判子ちゃんはいない。

 エレンやセスに尋ねてみるが、はたして判子ちゃんのことを覚えていなかった。

 まったく、どういうことだ?


「マスター、少しよろしいですか?」


 と紅が口を開く。


「どうした、もしかしてお前は覚えてるのか?」

「はい」

「おお、ほんとか」

「昨日、行き倒れで転がり込んできた少女のことですね」

「そうそう、その判子ちゃん」

「ええ、そんな人いた?」

「私も知りませんが……」


 エレンとセスはいぶかしがる。


「そのことはさておき、先ほどマスターが突然出現したように見えた時に、微弱なフォス波を検知しました」

「フォス波?」


 そういえばさっき制服判子ちゃんもなんかそんなことを言ってたな


「フォス波とは、時間軸の歪みが時間方向に伝搬するときに観測されるといわれる現象です。私が稼働してから実際に検知したのは初めてです」

「良くわからんが、それがあるとどうなんだ?」

「私の知る範囲では、フォス波は理論上の産物でした。よってこれによる効果は想像の域を出ませんが……時間の停止、あるいは過去の改変などが考えられます」

「ほほう」

「もし、ご主人様の言うその女性をセスやエレンが忘れているのだとしたら、彼女が存在したという過去を改変したのかもしれません」

「過去の改変! なんかかっこいいな」

「ただその仮説だと、私やマスターが覚えているという理由もわかりません」

「あ、そうか、記憶を変えたんじゃなくて、過去を変えたんなら、俺たちの記憶だってなかったことになるよな」

「はい」


 それ以前に過去を変えるとか、まじめに検討するようなアイデアなのか?

 タイムマシンとかだろうか。

 異世界に行けるなら、過去に行けてもおかしくないかな?

 いやいや、やっぱ別もんだろう。

 UFOがいたからお化けもいるに違いない、とか言っちゃうようなもんだ。


「そういえば、判子ちゃんは、俺は孤立だからなんとかとか」

「孤立……ですか?」

「なんだろう、このぼっち野郎みたいな悪口だろうか。彼女も口が悪いからなあ」

「不明です。よろしければ、しばらく検証してみたいと思いますが」

「あ、うん、よくわからんけど頼むよ」

「かしこまりました」


 釈然としないまま朝を迎え、改めて皆に尋ねるが、誰も覚えてなかった。

 日本で判子ちゃんと遭遇したデュースだけは彼女を知っていたが、昨日うちにいたということは忘れている。

 謎すぎる。

 わからんことを考える手段もないままに悩んでもカロリーの無駄だよな。

 この件は紅に任せておこう。


 そういえば、もう一つ気になることがあるな。

 制服判子ちゃんが言ってたって名前だ。

 女神っぽい名前だよな。

 判子ちゃん、女神とも知り合いなんだろうか?


「エネアル……ですか?」


 アンやレーンに聞いてみるが、知らないようだ。


「存じませんね! そもそも女神の数は百万とも言われています。文献に残る名はそのうちの一パーセントもありません」

「なるほど」

「ただ、名前からして相当上位の女神でしょう」

「名前でわかるのか?」

「はい、よいですか、そもそも……」


 とレーンがお説教モードにはいった。


「創世の三女神、ネアル、ウル、アウルがもっとも上位の女神です。この名ですが、最後のルは古くは女神、と言う意味の文字で、すべての女神は語尾がルになっています」

「ふむ」

「現在ではそれが転じて女性、あるいは娘、と言った意味で使われています。名前の最後にルが付く人も多いですね。我が家でも何人かいます」


 そういやそうだな。

 日本語のみたいなものか。


「ですから、あまり男性には使いません。全く無いというわけでもありませんが」

「そういえば、ペイルーンのいた工房のイドゥールとかいたな」

「あの方は名前の語感からして異国の出でしょうね。あくまでこの国では少ないと言うだけなので異なる国もあるでしょう」

「そうなのか」


 正直なところ、全部異国風に聞こえるが。


「変わっているといえば、ボルボル卿でしょう。おそらくボは古代文字の人形の意で、これはホロアのホの字の異体字ですが、そういう意味です。つまり翻訳すれば、人形娘人形娘、とでもなるでしょうか。実に変態的な響きです。そんな名を自ら号しているとは、相当な好き物であると同時に、かの御仁の教養も表しているという、筋金入りの変態と言えましょう!」

「なるほど」


 俺は単に語感が変なだけかと思ってたよ。


「他人を褒めてもしかたがないので話を戻しますが……」


 褒めてんのか、それで。


「ネア、ウ、アウは古い文字ではどれも一文字で表されていました。知、力、守を意味すると言われていますが、それはおいて、文字の長さが問題です。つまり二文字の名前がもっとも上位を意味するのです。二文字の名前はこの三柱のほかにはありません」

「なるほど」

「そのエネアル、と言う名前は古代文字、アジアール文字と呼ばれていますが、これでは三文字ですから、もっとも古い女神の一柱である可能性が高いですね」

「ふむ」

「しかも、ネアルという名を含んでいますから、知の女神ネアル直系の女神なのでしょう」

「ほほう」

「ということは、我々ホロアに関係した女神である可能性もあります。ホロアはネアル様がお作りになったので」

「ふむふむ」

「名前から連想できるのは、そのぐらいでしょうか」

「なるほど」

「その、我々が忘れている……という女性が口にしたのなら、それはなにか深い意味があるのかもしれません」

「そうかな」

「どうでしょう?」

「わからん」

「わかりませんね!」


 やっぱりわからないのか。

 まあ、雑学の知識が増えただけでよしとしよう。

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