第79話 ハイキング

 梅雨の晴れ間の透き通るような青空を堪能しに、俺たちはコーザスの街からほど近い丘にハイキングに来ていた。

 ここは休日ともなれば、街の人も大勢、行楽に訪れるらしい。

 四方を囲む山並みも美しいが、山から吹き降ろすかわいた風が、肌に心地いい。

 晴れた空と相まって、梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばしてくれるようだ。


 今日は商売組を残して半分ぐらいが来ている。

 いつもと違うのは撫子と一緒に花子も連れてきたところかな。

 見晴らしのいいところに弁当を広げて、のんびりやっている。


「はー、清々しいねえ。街の鬱屈とは無縁だねえ」


 草の上に大の字に寝転んで、エレンがしみじみとつぶやく。

 街だからといって鬱屈してるのはエレンだけだと思うがな。

 エレンのボスである盗賊ギルドの大幹部とかいう大盗賊が街にいるらしいと聞いて、エレンはこのところ鬱々としていた。

 もっとも見た限り、鬱々してる自分をネタにして楽しんでる感じだったので、多分それほど気にしてはいないんだろう。

 いや、むしろ塔がぶっ壊れたせいで、街に残ってる冒険者のほうがストレスを溜めてるかもな。

 昨日も酒場で派手な喧嘩があったと言っていたし。

 うちはまあ、そこまで真剣に冒険商売をしてるわけじゃないので、塔が駄目なら駄目でこうしてのんびり遊べるわけだけど。

 フルンたちも花子を追いかけて元気に走り回っている。

 みんな元気だねえ。

 俺もガキの頃、両親をなくして祖母に引き取られてからは、こうやって田舎の原っぱで遊んでたなあ。

 たしか、仲の良い近所の……誰だったっけ、あの子。

 いつも決まって何人かで遊んで、俺は引っ張り回されてたなあ。

 あの頃の友達って今も田舎にいるのかな。

 学校に上がってからは少し離れた学校に通いだしたので、そちらの友達は大人になってからも、たまに会ったりはするんだけど、それ以前のことはあまり覚えてないんだよなあ。

 まあ、小さかったしな。

 とにかく、よく遊んでたもんだ。

 ガキのうちは遊ぶに限る。


 一方のセスは、まだ悩んでいるようだ。

 今も少し離れた木の下で座禅を組んでいる。

 例の忍者のことを考えているんだろう。


 あのあと、街を探しまわってみたが、殴られ屋はどこにも店を出していなかった。

 せっかくナンパする気で行ったのに!

 忍者とか日本人の俺でも見たこと無いのに、まさか異世界にいるとは。

 まあ、スクミズ同様、忍者もたぶんそこまで忍者ってわけじゃないんだろうが。


「ふんぎゃっ!」


 変な声がしたので見てみると、フルンが花子に乗ろうとして振り落とされていた。

 俺の横で寝ていた撫子が驚いて飛び起きる。


「むぅ、シュピちゃんは乗せてくれるのに、花子は乗せてくれない!」

「花子は乗せ慣れていないから」


 花子をなだめながらウクレが言うと、


「うーん、だめかな?」

「駄目じゃないけど、鞍もないし、お互いに練習しないと」

「でも、ウクレは乗れるでしょ?」

「う、うん」

「教えて! 練習する!」

「それはいいけど、先にシュピテンラーゲで練習したほうがいいと思う」

「そっかー、よし、シュピちゃんのとこいこう」


 そう言って二人で駈け出した。

 近くで見ていたアフリエールとリプルも慌てて追いかける。

 それを見て、撫子も追いかけて駈け出した。

 かなり足が速いな。

 生まれてすぐに、よくもあんなに走れるもんだなあ。

 今日の撫子はフルンのお下がりのちょっとダボついた服を着ている。

 服ぐらい着てくれるようになって、良かったよ。

 言葉はまだわからないようだが、割と素直に言うことを聞く。

 賢いもんだ。


 子どもたちが駆けていった先では、オルエンが愛馬のシュピテンラーゲを颯爽と駆っていた。

 相変わらずかっこいいな、オルエンは。

 俺もあんなふうに馬に乗ってみたいが、ちょっとダメだ。

 股がこうね、大変なことになるからね。


 遠目に皆が順番に馬に乗っているところを眺めるうちに、時間はだらだらと過ぎていく。

 そろそろ、帰るかねえ。


 その時、ふいにどこかで、どーんと言う地響きが起こる。

 また、爆発か?


「うん? 森のほうだね。なんだろう、大砲みたいな音だったけど」


 とエレン。


「大砲? 物騒だな、大丈夫か?」

「ちょっと様子を見てくるよ。一応、皆を集めといて」

「そうしよう」


 素早く走り去るエレンを見送ってから、オルエンたちを呼び戻そうと振り返ると、すでにこちらに向かっていた。


「森の……向こう、キユツプ湖の側……に、騎士団の……出城が有ります。そこの……演習では?」


 とオルエンは言う。

 まあ、なにか物騒な事があるような噂も聞いてないしな。


 十分足らずで戻ったエレンの話では、森の向こうで騎士団と街の警吏っぽい連中が訓練をしていたそうだ。

 赤竜騎士団の団旗がいくつもかかっていたというので、例の視察か何かの一環だろう。

 エレンの見た限り、エツレヤアンでの見知った顔は見えなかったそうだ。


 なんにせよ、そろそろ帰り支度の頃合いだろう。

 遠く南の海側の空に、雨雲が見える。

 まだ時間に余裕はあるが、どうせ素直には帰らないだろうし、早めに言っとかんとな。


「えー、まだ明るいよ?」


 とフルンがやはり駄々をこねたので、片付けながら、しばし延長する。

 フルンはいい子なんだけど、わがままを言っても大丈夫な時はきっちり甘えてくるからな。

 こういうところはエレンに仕込まれたのだろうか。


「ジュースのもう、ジュース! ほんとに冷えてるかなー?」


 とフルンが持ってきた木箱を開けると、中には酒瓶に詰めたレモネードが入っている。

 こいつは先日、クーラーを作りそこねた際に思いついて、簡単なクーラーボックスを作ってみたのだ。

 小さなみかん箱程度の木箱を綿でくるみ、さらに内側をタールで防水する。

 そこに氷を入れてやれば、キンキンに冷えたジュースが飲めるという寸法だ。


「つめたい! おいしい!」


 と喜んで飲んでいる。

 ふむ、うまくいってるようだな。


「魔法で冷やしつづけなくても、いつでも冷たいんですね。こんな簡単な仕組みなのに……」


 と氷を作った当人であるエンテルが感心している。

 まあ、発明なんて、出てくるまでは誰も思いつかないのに、いざ考えだされるとすごく簡単だったりもするからなあ。

 とくにこの世界は魔法や精霊石で冷やすという手段が早くからあった分、冷たさを保持するという発想がなかったのかもしれない。


「これなら、私の作れる程度の氷でも、十分に保存ができますね」

「そうだな、肉とか凍ったまま保存しておけば結構保つし」

「メイフルも大発明だと驚いていましたね」

「あいつならそのうちうまく金にするかもな」


 性能にも問題がないようなので、馬車に据え置くものとか、探索の時に持ち歩けるものとか、改めて色々作ってみよう。

 そうやって時間を過ごしてから帰路につく。


 丘を下って街道に出ると、ちょうど街に戻る騎士団の一行と出くわした。

 周りの連中にあわせて、俺たちも脇によけてやり過ごす。


 やがて先頭が近づいてくる。

 やはり騎士団ってのは立派なもんだ。

 甲冑を着た騎兵がずらりと並ぶと、実に壮観だ。

 ああいうカッコイイ鎧も着てみたいなあ。

 重くて歩けないけど。


 その先頭には、一際立派な騎士がいた。

 あれが、なんとかという新しい団長なのかな?

 面が隠れているが、オルエンと同じぐらいの背格好だろうか。

 甲冑なので何とも言えんが、多分俺よりは少し高いかも。

 びしっとして、貫禄も気品もある。

 俺はどっちもないからなあ。


 などと考えながら団長の姿を眺めていたら、ふいに目があった、気がする。

 団長はさっと手を上げると、隊列が止まる。

 ついでふわりと風に舞うように馬から降りると、鎧をガチャガチャと鳴り響かせながら、こっちに走ってきた。

 うわ、あの鉄の塊が走ると、ちょっと怖い。

 激突されそうになって慌てて身をかがめると、そのまま隣を走りぬけ、後ろでフルンを乗せたシュピテンラーゲをひいていたオルエンに抱きついた。


「オルエン! 久しぶり! 元気だった?」


 ソプラノの美しい声で、そうまくしたてた騎士がヘルメットを脱ぎ捨てると、中からは美しいブロンドがこぼれ落ちる。

 あ、すごい美人だ。

 男じゃなかったのか、油断したぜ。


「エディも……おかわりなく」

「あはは、あなたは変わったわねー、うん、ちゃんと従者の顔になってる。うわー、ほんと久しぶり。みてみて、私団長よ? 笑っちゃうわよねー、あはははは、私が団長だって。それがもうさー」

「エディ、人目が……あります」

「あ、いけない。いきなりオルエンが現れるからつい……、またドルンに叱られるわね」

「もう……お怒りのようで」


 そう言ったオルエンの視線の先には、中年の恰幅の良すぎる騎士が立っていた。

 バダム翁の片腕、ドルンだ。


「お戯れが過ぎますな、姫」


 と、たしなめるドルンに向かって、


「姫じゃなくて、団長とお呼びなさい、ドルン」

「失礼しました、団長」

「よろしい。それよりも、そこであっけにとられている殿方を、誰が紹介してくれるのかしら?」


 突然俺の方に話をふられた。


「これは、失礼を……。こちらが我が主、クリュウでございます」


 そう言ってオルエンが俺を紹介してくれる。


「私、赤竜騎士団団長、エンディミュウムともうします、紳士様。どうぞお見知り置きを」


 しかし、団長は女の子だったか。

 ほんと油断したよ。

 驚きを押し隠しつつ、挨拶する。


「こちらこそ、お初にお目にかかります」


 堅苦しい挨拶の仕方も多少は覚えたんだよな。

 高貴な女性に挨拶するときは、手をとって指先に軽くキスをする。

 緊張してどじらないように、慎重に、丁寧に。

 すると、今くちづけたばかりの手が、うっすらと赤く輝きだしたじゃないか。


「あら、これは困りましたね」


 そういってはにかむと、団長さんは二、三言じゅもんを唱える。

 するとすっと指先の光は収まってしまった。

 人間でも光るのか。

 でも、手だけか。


「驚かせてごめんなさい。私も少しだけ血が混じっているものだから。皆には内緒よ」


 と茶目っ気たっぷりにウインクする。

 かわいい姫さんだな。

 でも今、みんなに見られてただろう。

 ちらりとドルンの方を見ると、顔を背けていた。

 まさかそれで見ていないと言いはるつもりじゃないだろうな。


「クリュウ殿におかれましては、おかわりなく。ぶしつけながら、現在、任務の途中でして、後日改めてご挨拶に」


 とドルンはその場をしきって、団長を引きずるようにその場を去った。

 なんだったんだ、今のは。


「姫も……変わりないようで」


 とオルエンが嬉しそうにつぶやく。

 アレが普通なのか、まあいいけど。

 なんだかどっと疲れた。

 さっさと帰ろう。




 キャンプに戻ると、人だかりができていた。

 今度はなんだと思ったら、アンが飛び出してきた。


「ご主人様、大変です!」

「なんだ、どうした、誰か怪我でもしたのか?」

「いえ、そうではなくて、行き倒れが……」

「行き倒れ?」

「はい。ちょうど先ほど、店の前でバタリと。何やら見かけない出で立ちの娘で、しかもクロサワをだせ…とうわ言のように……」

「黒澤、って俺の名前じゃん」

「はい、ですから……」


 誰も名前で呼んでくれないので忘れてたけど、俺の名前は黒澤久隆くろさわひさたかなんだよな。

 クリュウはアダ名だ。

 発音しにくいらしいのでこっちで通してるけど。


「で、そいつはどこに」

「奥に寝かせております。警吏を呼ぼうかとも思ったのですが、先にご主人様にお話をと……」


 慌てて奥に駆け込む。

 ここで俺のことを黒澤と呼ぶ人間なんて一人しかいないじゃないか。

 果たして、テントの奥で寝かされていたのは、判子ちゃんだった。


 日本にいた頃、隣に住んでいた娘で、何やら自由にあちらとこちらを行き来できるらしい。

 他にも、色々と秘密があるようだが、味方でも無いようで。

 そんな彼女が、なぜかうちで行き倒れて寝ているとは。


 改めて見ると、こちら風のヨレヨレの服に、少しやつれた顔で眠っている。

 隣にはレーンがついていた。


「ご主人様、お帰りなさいませ!」

「あ、ああ、ただいま。それで彼女は……」

「大丈夫、ただの空腹です! 二、三日食べてなかったようですね。今、呪文をかけましたから、目が覚めたらおかゆでも食べさせれば良いでしょう」

「そうか」


 しかし、なんでまた彼女が。


「うぎぎ……く、くろさわさんの……ばかー、はげー、むにゃむにゃ」


 だれがハゲだ。

 少しおでこが広がったような気はしてるけど、まだまだふさふさだ!

 くそう、嫌な寝言だな。

 心配して損した。


 彼女はあんまり味方じゃなさそうなんだけど、日本にいた頃は普通に近所付き合いしてたし、なにより、どうも憎めないんだよな、この子は。


「やはり、お知り合いですか?」


 とあとからついてきたアンが尋ねる。


「ああ、ちょっとな。デュースを呼んできてくれ、あとセスも」

「かしこまりました」


 一応、用心はしとかないとな。

 呼ばれてきたデュースと、相談することにする。


「あー、あの時の彼女ですかー、どうして今頃、現れたんでしょうかー」

「わからん、そもそも行き倒れてるところからして謎だ」

「そうですねー、どうも無一文だったようですしー」

「ふぬ、まあ俺もこっちに来た時はそうだったけどな」

「しかし彼女は自由に行き来できてる感じだったのではー?」

「そういう気もするな。とりあえず、もし暴れたら容赦なくとっちめてくれ」


 とセスに命じる。


「お、気がついたようですよ!」


 看病していたレーンが言うので顔を覗きこんだら突然起き上がって頭突きされた。


「ぎゃぶっ!」

「いてぇ!」

「ななな、何事ですか! なんですかここは!」

「いっ……ひでえな、判子ちゃん」

「ああっ! 黒澤さん! 何故ここに!」

「何故って君がうちの前で行き倒れたんだろうが」

「私が? 行き倒れ? ああ、そうでした! リンクが切れてゲートが開かなくなって、ご飯の時間なのにうちに帰れなくなって、全部あなたのせいじゃないですか、許しません!」


 そう言って俺に飛びかかろうとしたところをセスに取り押さえられた。


「げぶっ! は、はなしなさい! こんなハレンチな真似をしてどうなるか」

「いや、とにかく落ち着けよ。ほら、飯もできたぞ」

「ご、ご飯?」


 モアノアが用意したおかゆを差し出す。

 ウマそうに湯気が立っている。


 ごくり、と判子ちゃんがつばを飲み込む音が聞こえた。

 相当はらぺこだったみたいだな。


「文句はあとで聞いてやるから、とりあえず先に食え」

「うぐぐ、しかしこのような干渉は……」

「昔作ってくれただろうが、そのお返しだ、気にすんな」


 と言いながら思い出した。

 昔、風邪で寝込んだ時に、判子ちゃんがおかゆを持ってきてくれたんだ。

 あれはてっきり彼女の母親の差し入れだと思っていたが……そういえば判子ちゃんの両親は見た覚えがないな。

 いや、それ以前に、あれはいつの出来事だ?

 あのアパートに住んでから?

 学生寮?

 それとも……田舎の祖母の家?

 いや、そこまで昔なわけ無いか。

 わからん、なんか昔のことが全然思い出せないぞ。

 学校のこととか見てたTVとかは思い出せるんだけど、どうも部分的に……。


「むう、そうですか、覚えていましたか。それなら仕方ありません。おとなしく、塩を送られるとしましょう」


 判子ちゃんはそう言うと、黙っておかゆを食べ始めた。


「うぐぐ、おいしい……もぐもぐ。私がカプセルばかり食べてる間に、黒澤さんはこんな旨いものを……もぐもぐ」


 なんかうまそうに食ってる。

 まあ、人間腹さえ膨れれば平和になれるはずだ、たぶん。


「ごちそうさまでした」


 全部きれいに平らげて、頭を下げる。


「料理人の方にお礼をお願いします。大変美味しかったです」

「伝えとくよ」

「おねがいします」

「うん」

「……」

「……」

「なにも、聞かないのですか?」

「聞きたいのは山々なんだけどな、まあ、そこはそれ」

「いいでしょう、ではお話しましょう」

「うん」

「いつものように私があなたを監視していると……」

「いつも監視してんのか」

「話の腰を折らないでください」

「ごめん」

「急に私の世界に戻れなくなりました。この世界で次元干渉出来る存在は黒澤さんかハレンチなお仲間さんだけでしょうから、全部あなたのせいです。これだけいえばお分かりでしょう」

「いや、全然」

「むかーっ!」

「いや、いくらなんでもわけがわからん。次元干渉ってなんだ?」

「それは****……むう、検閲があるようですが、リンクが切れているので回避コードが見えません。ギルドの陰謀です、必ずや我がシーサが根絶やしに!」

「だから、わけがわからん!」

「なんでもわかろうというその態度がいけないのです! 自分で考えてください!」

「無茶言うなあ」

「無茶をしいているのはあなたでしょう、一体、この閉じた世界でなにを企んでいるんですか」

「べつに何も企んでないよ?」

「いいですか、閉じているということは、足りているということです。あなたは本来、一人で足りている存在だったのに、何故にこんなに女を侍らすのです。ハレンチではありませんか」

「え、そこ? いやだって、ハーレム作りたいってのは本能だろう、たぶん」

「本能などという曖昧な機能は人間にはありません」

「そういう、難しいことはわからん!」

「逆切れですか!」

「そっちのノリにつられただけだよ!」

「ぐぎぎ……、とにかく食ったからねます!」

「牛になるぞ」

「私は太らないんです! おやすみなさい!」


 そう言って頭から布団をかぶって寝てしまった。

 糞暑いのになあ。

 これ以上、話すことはないという意思表示だろうか。


 レーンに聞くと、体調は問題なさそうなので、そのまま寝かせておくことにした。

 セスに引き続き見張りを任せてテントから出ると、フルンが表で待っていた。


「ねえ、新しい従者? どんな人? なんて名前?」


 目を輝かせて食いついてくるが、あいにくと彼女は従者じゃないよ。


「えー、違うの? ニンジャもみつからないし、お姫様も光ってたのにそのまま行っちゃうしつまんない!」

「そうそう増えるもんじゃないだろう。メイフルに遊んでもらえ」

「メイフルはお仕事が忙しいもん」

「お、繁盛してるのか」


 と店のワゴンのほうを見たら、人だかりができていた。

 なるほど、さっき見た人だかりは行き倒れのせいじゃなくて、店が繁盛してたからか。

 たいしたもんだ。


 仕方ないので俺がフルンと遊んでやることにしよう。

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