第4話 僕の朝
朝、目が覚めると子供たちの声が聞こえる。小学生の通学の時間だ。僕も、かつてはこの子達と同じ道を同じくらいの時間に通った。いや、みんなと一緒ではなかった。1人でよく行ってた。班で行くのが嫌で仕方なかった気がする。そう言えば、班長になるのも嫌だった。みんなをまとめるとかそういう人を引っ張るような役割が苦手だったからだ。ともすれば、わざと1人で通ってたのかもしれない。6年生が自分含めて2人だけだったから、まだ副班長の方がいいと思って。
そんなことを思い返しては、ちくりと胸が痛くなった。卑怯な自分に思えて。そして、今も変わらず自分よりひと回り以上も下の子達が社会に習慣的に行動しているのに、自分は家に籠ったままだ。その時だけ悩むのだ。苦しむのだ。でも、時間が経つにつれ、眠気がまさり、それだけ疲れているのだと、自分に都合よく言い訳する。その時は、合理化できるのだ。
だが、キツネは毎回ブドウの取れぬ言い訳をするわけでもない。きっといつかは自分の爪を使い、蔓を掴んで登り、ブドウを勝ち得るのだ。僕には掴もうとする意志もない。ただ、堕落していくだけだった。
朝が過ぎ、昼が訪れ、それでも僕は眠り続ける。午後の3時前くらいにようやく起き、髪を少しかき、閉じたままのカーテンを今更のように開ける。陽の光が朝より浅い。それでも、それくらいが僕には心地よい。
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