第42話 アリシア、レインお姉様の衣装に1人興奮する

「それで何⁉ ずっとぜんぜん関係ないこと話していたけど、ヤンスとスレッドリーがドレスを着て倒れてたのって、結局エヴァちゃんの仕業だったの⁉」


≪そうで~す! 私がお2人に薬を嗅がせてドレスに着替えさせた犯人で~す! イエ~イ!≫


 無表情のままダブルピースしてるんじゃないよ……。

 今までの話は何だったのさ……。


≪ミステリーっぽくするのもおもしろいかな~って、私なりの演出です≫


 ぜんぜんおもしろくないんですけど……。

 わたしが辱めを受けただけなんですけど⁉


「ソン、意外と俺たちもドレスが似合うってことがわかって良かったな」


「そうでやんすね、ドリー! レインと一緒に踊るのも悪くないでやんす」


 ドレスを褒め合っているキモい男たち……。


「2人とも……冗談は顔だけにしておきなさいよ。いますぐドレスを脱いで煮沸消毒しなさい。もし再びドレスに袖を通したりしたら……」


 いけないいけない☆

 つい淑女っぽくない呪いの言葉を吐くところだったわー。


「『もし再びドレスに袖を通したりしたら、顔面をボコボコに殴って、両手両足の爪を剥がし、腱という腱を断ち切ってやるんだからね』とアリシアは申しております」


「いやいや、ラダリィ……。さすがにそこまでは言わないって……」


「アリシアさん、さすが暴君少女です! お仕置きが容赦ないです! 私も見習わなきゃ!」


 ナタヌ……ラダリィの冗談を真に受けて、絶対そんな猟奇的なことはしちゃダメだよ……。


「殿下、閣下。お早くこちらへ」


 ラッシュさんがわたしの目から隠すようにして、2人を連れて部屋から出ていく。


 いや、ホントにそんなひどいことはしないよ?

 そもそもドレス着せたのエヴァちゃんだし……。


≪おもしろくなってきましたね≫


 いや、ぜんぜん。

 なんかいろいろサプライズを仕掛けなくていいからね? お願いだから普通におとなしくしていてよ……。


≪普通におとなしく……?≫


 なぜそこで首を傾げるの……。

 

≪私はおとなしい索敵・防衛システムのエヴァ。さっきレインさんをお部屋にお送りした時に、ステージ用の新しい衣装をご用意しておきました≫


 また勝手に……。


≪隅から隅までレインさんのサイズを測り、ぴったりの衣装を用意しましたよ。コンセプトは……きっとアリシアにも喜んでもらえると思います。そろそろレインさんが到着なさります≫


 ホントにぃ?

 またふざけてひどいドレスを着せたりしてないよね……。


「みんな~! おはよう~! 昨日はお酒を飲み過ぎて、つい寝坊しちゃったわ♡」


 と、エヴァちゃんの予測通り。

 レインお姉様が張りのある声で挨拶をしながら入ってくる。


「おはようございます。二日酔いは大丈夫ですか……って、お姉様! そのお姿は⁉」


 ままままマジですか⁉

 そそそそそそそれは紛れもなくアイドル衣装!


「あ、これ? ちょっと恥ずかしいけれど、かわいいでしょ♡ さっきエヴァちゃんが着せてくれたのよ~♡ 二日酔いに効くポーションもいただいたから、元気元気~♪」


 前世の記憶にある定番の、超ミニスカートの学生服風衣装!


 アニメでしか見たことのない乳袋!

 膝上30cmで生足バーン!


 エッッッッッッ!


「レインさんとてもかわいい……かわいい……」


 ナタヌが吸い寄せられるように、フラフラとレインお姉様のもとへ。

 浮気⁉ ナタヌさん浮気なの⁉

 

「お嬢様、とてもよくお似合いです」


 ラダリィも絶賛だ。

 

 かわいい? 似合う?

 あれ……エロくない⁉

 エロスを感じているのはわたしだけ……?

 だって、ムチムチして真っ白な太ももが……ヤバくない?

 ノースリーブからにょっきり出た二の腕が……ヤバくない?

 胸のラインをこれでもかってくらい強調したデザインが……ヤバくない?


 エロの塊でしょ……。


≪アリシアの心は歪んでいます。アイドルにエロスを感じるのはご法度です≫


 ええ……。

 おかしいのはわたしのほうなの……。


 人妻がこんな格好して人前で踊ったら、わいせつ何とかで逮捕されない?


≪逮捕されるべきなのはアリシアのほうでは≫


 なんでよっ!


≪もしアリシアのように感じているファンの方がいたら、重点的にチェックし、犯罪を未然に防がなければいけませんね。ひさしぶりに特別反省室を活用する時が来たようです≫


 いや……特別反省室に監禁して洗脳するのはやめて……。

 みんな不幸になるからそれだけはお願いね。

 

 あっ!

 下にアンスコは穿かせてあげてよ!

 生パンはダメでしょ!

 あれ見せて踊っていたら犯罪だって!


≪わかりました……。ですがアリシアからおっさん臭がします≫


 ねぇ、ホントにわたしがおかしいの⁉


≪ラダリィさん、ナタヌさん、お2人の衣装もご用意していますから、こちらに着替えてきてください。もちろん私も同じものを着ます。次のステージは4人で踊りましょう≫


 なん……だって⁉

 エヴァちゃんグッジョブ!


 すごく……捗ります!

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