第39話 アリシア、ナタヌが登場し若干押される
「ちょっと待った~! 私のいない場で良い感じに話を進めないでください! ナタヌ、裁判に参加します!」
えっ、ナタヌ⁉
いつからいたの⁉
なんとなく話がまとまりかけていたところに密約の当事者が登場!
あー、こっそりやってきて、ヤンスたちにこそこそ事情を聴いていたのね⁉
うーん、ややこしくならなきゃ良いけど……。
「私だけの除け者ですか! いっつもそうですね! 最後にこのパーティーに加わったから、私のことは仲間とは認めていただけていないんですか⁉」
被告人席にいるスレッドリーの正面に立ち、腕組みをする。
ナタヌさん、けっこうお怒り気味のご様子ね。
「いや……そういうつもりはなく……」
最初っから押されっぱなしのスレッドリーが冷や汗を流しながら後ずさる。
まぁ、最後に加わったのはエヴァちゃんなんだけど、ナタヌはもう忘れているのかな。
≪私はナタヌさんに嫌われているのでしょうか≫
きっとそうじゃない? 好かれる要素はないもんね?
わたしを取り合うライバルだし? ロボだし? いっつもナタヌラッシュ食らってるじゃない?
≪ナタヌさんはロボがお嫌いなんですね……。早く人間にしてください≫
本質はそこじゃないと思うけどなー。
ナタヌのことをからかって遊ぶのをやめたら?
≪前向きに検討をします≫
はい、検討して実行しないやつー。
「密約ですかそうですか! 私はパーティーに入って日が浅い新参者ですからね! 殿下はいつもそうです! アリシアさんと幼馴染みなのを良いことに雰囲気作っちゃって! もうっ!」
わたしとスレッドリーが幼馴染み?
ぜんぜん違うけど?
「ナタヌ、それは勘違いで幼馴染み――」
「アリシアさん、止めないでください! 今日はとことん言わせてもらいます!」
え、あ、だから幼馴染みっていうのは勘違いって訂正を……ダメだ、ぜんぜん話を聞いてもらえない……。やっぱりナタヌが暴走し出すと、簡単には止められない……。
と、ラダリィが軽くわたしの肩を叩いてくる。
めっちゃやさしい笑顔……。
「良い機会です。ナタヌ様にも思うところがあるのでしょう。お2人には腹を割って話をしていただき、真の仲間として、そしてライバルとして競っていただくのが良いかと」
えー、これってそういう、なんかちょっと良い感じ風の流れなの?
ナタヌもスレッドリーも似た者同士で、かなり思い込みが激しいからそんな単純にうまくいくかなー。
≪2人ではなく3人で競いたいです≫
いや、今はちょっと……。これ以上ややこしくなると収拾がつかなくなりそうだから、ごめんだけどエヴァちゃんはおとなしくしていてくれる?
≪それはトーナメント戦のシード選手ということでよろしいでしょうか?≫
ぜんぜん違うけど、まあそんな感じで!
≪ふっ、雑魚どもが争うがいい。勝ち上がってきた者を対戦相手と認め、ほんの少しだけ胸を貸してやるとしようか≫
急に強キャラ感出して……それ、何ムーブですか……?
≪アリシアさんは知らないんですか? シード権を持っている者こそが圧倒的な力を持つ優勝候補。そしてそのまま優勝候補が優勝する。おもしろおかしくストーリー展開させるための番狂わせなど必要ないのですよ≫
はぁ、知りませんけど……。
あとトーナメント方式じゃないから。あなたはロボなんだから、普通にみんなと仲良くして?
≪では特別招待枠選手ということでよろしいでしょうか?≫
さっきからなんでバトルモノの登場人物みたいになってるの……。
もうなんでも良いからおとなしくしていて……。
今は、ナタヌvsスレッドリーの戦いを見守らないと。
舌戦が続く。
一方的にナタヌが押す展開だけど。
「殿下は自分が男だからって調子に乗っていますね! 私が女だから、どこか見下しているんでしょう⁉」
「そんなことは……」
「いいえ、見下しています! 私にはわかります! アリシアさんと子どもが作れるのは自分だけだと思っているんでしょう⁉」
こ、子ども⁉
ナタヌさん、それは話が飛躍しすぎですよ⁉
「私だって本気を出せばアリシアさんと子供を作れますからね! 舐めないでくださいよ!」
「舐めてなど……。しかしいったいどうやってだ……?」
え、うん。
それは普通にわたしも聞きたいところなんですけど。
プリーストにそんなスキルあったっけ?
「私が本気の本気なら、きっとミィシェリア様が何とかしてくださいます! 100億万回お祈りしたら私の願いを叶えてくれます!」
ここにきて、まさかの女神様頼みー⁉
ミィちゃん、あなたの遣わしてきたナタヌさんがこんなこと言ってますけどー?
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