第31話 アリシア、チビエヴァちゃんをなでなでする

 エヴァちゃん、奥の手を出すわよ! チビエヴァの出番!


≪なるほど、委細承知。いけ、チビエヴァシリーズ!≫


 エヴァちゃんが頭上から右手を振り下ろすと、手のひらから眩いばかりの光が溢れ出す。その光の中から現れたのは、わたしのひざ丈くらいの大きさの小さなエヴァちゃんだ。光の中からどんどん登場して列をなしていく。あっという間にマーちゃんとレインお姉様を取り囲むように円になった。その数なんと20人! 髪型や目つき、鼻の形なんかも1人1人違いますからねー。あ、1人だけ男の娘のエヴァちゃんが混じってますけど、わかりますかー?


「さてさてー。これから始まるのはー、チビエヴァちゃんと、カードゲーム対決ですよー!」


 わー、どんどんパチパチパチ! ペンライトブンブン、と。

 盛り上がっていこう!

 スレッドリー、ヤンス、もっと盛り上げてよ!


「どうですかー? チビエヴァちゃん、めちゃんこかわいいでしょー?」


 チビエヴァちゃんたちは、ここぞとばかりにお目目をキラキラさせて、お2人にかわいさをアピール!

 本体とは違って、純粋無垢でかわゆいから、思わずなでなでしちゃいたくなりますよねー♡ なでなでなでなでなでなで♡


≪本体の私も純真無垢なのでなでなでしても良いですよ≫


 無理やり割り込んで、頭を近づけてこないのー。

 何? 嫉妬してるの?


「めちゃんこかわいいの! こんな子たちをどこに隠しておったのじゃ?」


 さっそくマーちゃんが食いついてくる。

 このチビエヴァちゃんシリーズこそが、ちっちゃいもの好きのマーちゃんへの特効攻撃なのだ! そして、レインお姉様も同じ特性を持っていることは、『構造把握』で確認済み♡


「かわいいわ♡ ドリーちゃんも小さな頃はこれくらいかわいかったのよ♡」


 1人のチビエヴァちゃんを抱き上げて頬擦りしている。どうやらお気に召したみたい! やったね!


「姉上……。俺の幼少期はこんなに愛らしくは……」


 スレッドリーが困惑気味にチビエヴァちゃんの頭を撫でる。

 まあそうね……。どう考えても生意気なクソガキだったはずだし、こんな時代はなさそう……。ブラコンのお姉様フィルターってやつね……。


「ところでアーちゃん。カードゲーム対決とはなんじゃ? 初めて聞いたの」


 はいはい、マーちゃん、チビエヴァちゃんの1人占めはダメですよ。

 両手、膝の上、頭の上にチビエヴァちゃんを抱えないでください。まだ対決前ですからね?

 

「お2人とも、チビエヴァちゃんと一緒にお酒が飲みたいですかー?」


「飲みたい♡」


「飲みたいのじゃ!」


 はい、2人とも良いお返事ですねー。


「ではー、チビエヴァちゃんと対決して勝つことができたら、そのチビエヴァちゃんをお膝に乗せて、一緒にお酒が飲める権利が手に入ると言ったらどうしますかー?」


「「なんと!」」


 前のめりになる2人。

 いいねいいね♪


「それではお2人には、チビエヴァちゃんとカードゲーム対決をしてもらいます!」


「そのカードゲーム対決ってどんなものかしら?」


「なんなのじゃ?」


「えっとですねー。チビエヴァちゃんはそれぞれカードを1枚ずつ持っていて、そのカードには1~20までのどれかの数字が書かれています。お2人にはそれぞれ1人のチビエヴァちゃんを選んでもらって、そのチビエヴァちゃんが持っているカードの数字の杯数だけ、『龍神の館』特製のスペシャルカクテルを飲んでもらいまーす。見事カードの数字分のお酒を全部飲み干せたら、そのチビエヴァちゃんをお膝に乗せて、このあとの飲み会をお楽しみいただけるサービスでーす♪」


「なんと! そんな夢のようなサービスがあるのかの! 100回参加するのじゃ!」


 100回! マーちゃん飛ばしてるー♪


「私も参加したいですわ♡」


 そうこなくっちゃ! レインお姉様も行きましょう行きましょう♪


「じゃあ、お2人ともー、どのチビエヴァちゃんと遊びたいですかー?」


 選んで選んでー♪


「遊んで~」「遊んで~」とチビエヴァちゃんたちが自分を選んでもらおうと必死にアピールを開始する。


「どの子もかわいいの」


「あらあらどうしましょう♡」


 ハズレの子なんていませんよー。

 どの子を選んでもアタリ! でも、隠し持っているカードの数字の大きさで難易度が変わってきますから、がんばって少ない数字の子を選んでくださいね。


 

 迷うこと10分少々。

 お2人ともようやくそれぞれ1人のチビエヴァちゃんを抱き上げたのだった。


「2人とも、その子で大丈夫ですかー? もう変更はできませんよ? 大丈夫ですね?」


 2人が神妙な顔つきで頷くのを確認。

 よし、ファイナルアンサー!

 それでは運命の数字を見ていきましょう!


「選ばれたチビエヴァちゃんたち、カードオープン!」

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