第27話 アリシア、スレッドリーに悪態をつく

 もう、無駄話は良いから、みんなさっさとドレスの販売予想個数を言いなさい!


「私は35着で」


≪私は40着でお願いします≫


 ラダリィの予測は35着。お給金は金貨1枚銀貨30枚。

 エヴァちゃんは40着で、お給金はわたしの魔力、と。


「それじゃあわたしは……ちょっと多めに見て、55着にしておこうかな! あとほかには……スレッドリーくらいは仲間に入れておこうか」


≪おや? アリシアはスレッドリー殿下とデートしたいんですか?≫


 うっせっ! そういう雑な茶化しはいらないからね。

 倒れて寝ているラッシュさんと、グレンダン夫婦以外は参加で良いでしょ! 他意はないから!


「スレッドリー、ちょっとこっちに来てー」


 レインお姉様のトークを妨げないように、小声で呼び寄せる。


「ん、なんだ? トラブルか?」


 険しい表情を見せつつ近寄ってくるスレッドリー。みんなで笑いながら出迎える。


「違う違う。そういうのじゃなくて楽しい話かな。夜会の終わりにレインお姉様デザインのドレスが販売開始されるでしょ。みんなでそれの販売予測数当てをしているのよ」


「販売予測か。なるほどな」


 リストに書かれたみんなの予測個数を見て、スレッドリーが納得したように頷く。


「1番近い数を当てた人が、アリシアさんと1日デートする権利を得るんですよ!」


 興奮気味のナタヌ。

 敵に塩を送ってしまう。


「なんだと! 俺も参加して良いのか?」


「うん、まあそれで呼んだんだし?」


「アリシアは俺とデートしたいのか⁉」


「……違うけど?」


「違うのか……」


 そこで露骨にテンション下げるのやめて?

 別に積極的にデートしたいわけじゃなくて、もしスレッドリーが優勝したらデートしてあげてもいいわよってこと! わかった⁉


「ならば俺は……80着だ!」


「うぉー、大きく出たわね……。ホントに良いの? みんなの予測とだいぶずれているけど」


 1番近くてわたしの55着だけど。


「姉上には太い客がいる。さっき公爵閣下から聞いたんだ。きっとその方が大量に注文してくださるはずだ」


「何その情報! 1人だけずるい!」


「ずるいと言われてもだな……」


「アリシア、情報は手に入れた者勝ちです。殿下は何も卑怯な真似はされていないのではないでしょうか」


 ラダリィの正論。

 なんだかんだ言っても、ラダリィはスレッドリーの味方かー!


「うぅー、そうだけどさー。……まあいいよ。ヤンスと仲良くしていたスレッドリーの作戦勝ち……いや、でもまだわからないからね? 別にそのお客様がドレスを何着買うか聞いたわけじゃないんでしょ?」


「それは聞いてないな。これくらい売れたらいいな、という俺の希望だ」


「OK。わかりました。スレッドリー80着、と。それと、月のお給金はいくら? なんかみんな書いてるからついでに教えて」


「月のお給金? そんなものはないが?」


「王子だから王宮で働いている扱いってわけじゃないってことね。じゃあ、スレッドリーのお給金は0、と」


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ナタヌ    50着 金貨1枚/月

ラダリィ   35着 金貨1枚銀貨30枚/月

エヴァ    40着 アリシアの魔力/無限

アリシア   55着 金貨5枚/月

スレッドリー 80着 なし

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「ですが殿下。陛下より直々に活動費のようなものを支給されておりませんでしたか?」


 と、ラダリィが思い出したように問いかける。

 活動費が支給されているの?


「ああ、あれか。あれがお給金というものなのだな。たしかにもらっているぞ」


 スレッドリーが頷く。


「ちなみにその活動費は月にどれくらい?」


「金貨10枚だな。足りなければ大臣に言う。そうすると追加でいただけることになっているぞ」


 こいつ……金持ちのボンボンか! ボンボンだったわ!

 そういえば昔出逢った時も、ものすごい大金を使って隷属の腕輪を手に入れようとしていたっけ。


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ナタヌ    50着 金貨1枚/月

ラダリィ   35着 金貨1枚銀貨30枚/月

エヴァ    40着 アリシアの魔力/無限

アリシア   55着 金貨5枚/月

スレッドリー 80着 金貨10枚/月

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 ふーん、別に良いもんねー。

 わたしは街道の石から無限に金を取り出して精錬できるし、実際は月に金貨100枚相当くらいは余裕で手に入れてるもんね!


≪負け惜しみ≫


 負け惜しみじゃないもん!

 別で特許料もいっぱい入ってくるし、わたしのほうが圧倒的に資産家だもん!


 王子がなんだっ!

 けっ!

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