第23話 アリシア、チーム分けをして、グッズ制作を開始する

 というわけで、5日後に開催される夜会『レイン=グレンダン♡スペシャルパーティーナイトvol.1』に向けて、グッズ制作を本格化することになりまして。


「チーム分けはこうしましょう」


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グッズ制作チーム

・ナタヌ

・ラッシュ

・エヴァ


ロゴデザインチーム

・ラダリィ

・スレッドリー

・エヴァ


レインお姉様のデザインするドレス&小物検討チーム

・レイン

・ステンソン

・エヴァ


全体の制作進行・夜会当日の進行表作成チーム

・アリシア

・エヴァ

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≪私が全チームに配属されていますが≫


「そうね、エヴァちゃんがみんなのサポートをしてちょうだい。ロボだし、大丈夫よね?」


 今回の短期決戦を乗り切るには、全チーム並行に動くしかないわけ。素人のわたしたちが並行に動いても成果を出すためには、完璧なエヴァちゃんのサポートが必須。この意味わかる?


≪人間ども、高貴な私という存在にひれ伏しなさい≫


 わかっているようなわかっていないような……。端末を増やして良いから、とにかくよろしくね?


≪Yes, my lady.≫


 助かるわ♡


「はい、じゃあ、ほかに質問がある人ー? 作業内容はエヴァちゃんの指示に従ってね。わたしもたまに各チームを見て回るから安心してー」


「わわわ私、グッズ制作なんてしたことないんですけど、大丈夫でしょうか⁉」


 あわあわナタヌ登場。

 目がグルグルして頭から煙が……。焦るの早いなー。まだ制作に取り掛かってもいないのにー。


「そうそう、最初に説明しておかなきゃだね。グッズ制作チームだけはちょっと特殊な役割だからねー。ロゴ以外のデザインはさっきレインお姉様のOKが出たから、あとは作るだけなのよ」


「作るだけと言われても!」


「私もグッズの細工は経験がなく、どう進めたら良いのか不安です……」


 と、ラッシュさん。

 めずらしく弱気。


「いいえ! 2人ならやれます! なぜ2人をグッズ制作チームに選んだのか! その理由は!」


「「理由は?」」


 ナタヌとラッシュさんの声がきれいにハモる。

 仲良いね。


「この中で魔力保有量が多い1位、2位だからです!」


 ただし、わたし(とエヴァちゃん)を除く。


「魔力量、ですか?」


 小首を傾げるナタヌ。


「そう、魔力量! MPのことだよ。グッズは量産したいので、あらかじめわたしのほうでグッズ制作用の魔道具を開発しておきました! たとえば『うちわ』を制作する魔道具なら、ここから材料となる木とインクになる顔料を入れたら、あとは膨大な魔力を注ぎ込み続けるだけ!」


「試しにやってみせるね」


 試作品用の材料だから、そんなに多くは作れないけどー。

 骨組みになる竹と、その上に貼りつける紙になる木、そしてレインお姉様の似顔絵と、『レイン様LOVE♡』の文字を描くための顔料。あとは飾り付け用のふわふわの羽根を入れてー。

 

「これらを全部、この材料投入口から入れると、ここに各材料の在庫メーターが表示されるようになっているので、足りない材料の表示が出たら随時追加すること」


 あとは、ただ魔力を注ぎ込む!

 限界まで注いで、MP回復ポーションを飲む!

 そして魔力を注ぎ込む!

 材料を足す!

 魔力を注ぎ込む!

 そうすると、勝手にグッズが生産されていくってわけー。


「ね、2人にぴったりのお仕事でしょ♡」


「こ、これなら私にも何とか……」


「私もやれそうです」


 うんうん。2人ならできるって信じてるよー。なんていったって、我がチームきっての脳筋キャラトップ2だもんね♡


≪アリシアを除く≫


 おおん? 今誰かなんか言ったかー? しばかれたいヤツはいるかー?

 いない。空耳だね。ヨシ!


「じゃあ材料の手配はエヴァちゃんにお願いするね。市場を回ったり、このお城にあるものを分けてもらったりして、全グッズの材料を集めてください」


≪Yes, my lady.≫


 まあ、顔料をいきなり調達するのは難しいと思うので、そこだけは『創作』でなんとかしてほしいな。あとの材料はできるだけ『創作』せずに、ここ『グレンダン』で調達してほしいの。ご当地感を出したいからねー。


≪かしこまりました。意図は理解できましたのでお任せください。エヴァ5001~5050号に材料調達をさせます≫


 良き良き♡



「じゃあ、ほかのチームもそれぞれ動いていきましょう! 今回の『レイン=グレンダン♡スペシャルパーティーナイトvol.1』をみんなで成功させるぞー」


 おーーー!



 というわけで、エヴァちゃんのサポート、そして厳しい監督の下、各チームは順調に仕事を進めていくのでした。



≪それがまさか、あんな大事件に発展するとは……≫


 いや、勝手に不穏なナレーション入れないで⁉ 今のところ何も起きてないからね⁉


≪このまま夜会が無事成功してしまうと盛り上がりに欠けるので、私のほうで2、3ハプニングを演出しておきます≫


 マジでそういうのいらないからね⁉

 5日しかないし、ロゴとかレインお姉様デザインのグッズの制作にもけっこう時間かかるだろうし。順調に進めないとヤバいからね?


≪でも1エピソードに1殿下死亡イベントがないと、アリシアも物足りないのではないですか?≫


 そういう刺激は求めていないんですが……。

 ほら見て。スレッドリーだってやる気になってるじゃないの。ロゴのアイディアいっぱい出してる。ラダリィだって感心してるじゃない。そっとしておいてあげて?


≪次回、ロゴに刺されてスレッドリー殿下が逝く。絶対見てくれよな≫


 ロゴに刺されてって何……⁉

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