第22話 アリシア、試作品のグッズをお披露目する

 とまあ、そんな感じで『第1回・レインお姉様のアイドルグッズ制作会議』は盛り上がりを見せ、なんとなく作るグッズの方向性が決まったのでした。


「じゃあ、一旦話をまとめますね。えっと――」


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シチュエーション:ライブ(夜会)

目的:ライブ(夜会)で盛り上がる。一体感を演出する。

全体方針:そのライブ(夜会)限定で購入できる。

【確定】グッズ:

・うちわ

・ペンライト

・レインお姉様デザインの小物

※ライブ(夜会)のナンバリング等を入れて、コレクション性を高める。



シチュエーション:日常

目的:プロモーション活動。布教活動。

全体方針:普段使いできる。ファンであることをアピールできる。ご当地感を出す。

【確定】グッズ:

・チャーム

・ポスター

・レインお姉様デザインのドレス



シチュエーション:バスツアー

目的:コアなファンとの交流。

全体方針:バスツアー参加者のみが手に入れられる特別感を得られる。

【保留】グッズ:

・Tシャツ

・タオル

※レインお姉様も含め、全員がお揃いの衣装で行動する。バスツアーの費用内で全員配布。

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「こんな感じですねー。バスツアーの案はすぐに実行が難しいので一旦寝かせるとして、それ以外のグッズ制作は急いで進めないとですねー。次の夜会の時には何かしら販売したい!」


 わたしたちが滞在しているうちにファンの人たちの反応を見たいもんね。

 なんか楽しみになってきたぞー!


「ドレスや小物のデザインはしたことがないの。どうしたら良いのかしらね……」


 レインお姉様がとっても不安そう。


「大丈夫ですよー。デザインの詳細についてはちゃんと相談に乗りますから、別途詰めましょう。次の夜会の時に完成していなくてもいいですし。『こういうのを考えていますよ』っていう発表を小出しにするだけでも期待感を煽れそう」


 ファンの人たちはレインお姉様が考えたデザインってだけで喜ぶでしょうから、市販されているようなクオリティのデザインを考えなくてもいいんですよー。思いついたままで、レインお姉様らしさを出していけばそれで大丈夫!


「思いついたまま? 私が好きなものを描くとしたら……ソンちゃんの似顔絵かしら?」


「おいらっすか⁉ おいらはすごくうれしいでやんすが……みんなは喜ぶのかどうか……」


 ヤンスのくせに、なんて常識的な反応を!

 ぶっ飛んでいるようで意外と常識人なの……そんなわけないよね。あのヤンスだもん。


「レインお姉様……。その似顔絵は夜会のコーナーか何かで披露しましょうか……。小物のデザインなら、その夜会のテーマに沿ったもの、もしくは恒久的なテーマであるところの『グレンダン』に関係する何かが良いと思いますよ」


 たとえば――と、事前に用意しておいた試作品をいくつか、みんなの前にお披露目してみせる。


「アリシア、これは……?」


 最初に食いついたのはラダリィ。

 チャームを手に取って光にかざして見ている。


「おー、さすがラダリィさん、お目が高い! それはね、ここ『グレンダン』の名物、石炭を磨いてアクセサリーにしたものだよー。きれいでしょ」


 表面を光沢が出るまで磨いただけー。

 形が不ぞろいなのもご愛嬌ってね。


「きれいね……。石炭がこんなふうになるものなの……」


「その辺に落ちているゴミみたいなものでも、ちゃんと手をかけてあげればこの通りですよー。あ、ちゃんとレインお姉様のグッズだってことで、ロゴも入れてみました。ロゴは仮デザインだから、ちゃんと話し合って決めましょうね」


 ほかのグッズにも正式なロゴを入れていかないと。


「アリシアさんすごい……。私、このグッズほしいです」


「ありがと、ナタヌ。ファンのみなさんにもそう思ってもらえるといいなー」


 レインお姉様のこと、そして『グレンダン』の街を盛り上げてくれる後援会みたいになれば最高だよねー。


「こっちは何でやんすか?」


 と、ヤンスが手に取ったのは――。


「それはペンライトだよ。光る魔道具って言えばわかるかな。棒の真ん中ら辺にあるボタンを1回押してみて」


「これでやんすか? うわっ、赤く光ったでやんす!」


 ヤンスがスイッチを押すと、ペンライトが真っ赤に光り輝きだした。


「もう1回押してみてー」


 今度は赤い光が点滅。


「もう1回押してー」


 これで光が消える。


「どう、きれいでしょ?」


「すごいでやんす……」


「これはね、夜会でレインお姉様を応援する時に光らせて振るのよ。勝手にわたしのイメージで、赤にしちゃいましたけど、レインお姉様は好きな色ってありますか?」


「私、赤が1番好きよ♡」


 レインお姉様がペンライトを手に取ると、光らせて振りだした。


「それは良かったです♪ それは手のひらから微量の魔力を吸い取って蓄積する仕組みにしているので、握っている間はずっと光らせられますよ。レインお姉様が踊ったり、ローラーシューズショーをされる時に、ファンの方に振ってもらうイメージです」


 まああれだよ。

 ライトサーベルとほとんど同じ仕組みだから創るのは簡単でした。振動してなんでも斬れる機能ははずしてあるから光るだけね?

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