暴君幼女は愛されたい! テキトーにLUK≪幸運≫に全振りしたら、ステータス壊れちゃいました~女神様からもらったチートスキル『構造把握』『創作』を使って、玉の輿でハーレムな無双ライフ……スローライフを♪
第74話 アリシア、ナタヌとスレッドリーを応援する
第74話 アリシア、ナタヌとスレッドリーを応援する
≪挑戦者は2名。ほかのみなさんはよろしいですか~?≫
メルティお姉様、ラダリィ、ラッシュさんは黙って頷くのみ。
2人以外に出場者はいない。
もちろんわたしも出る気はないよ?
≪1stステージの最初のエリアですからね。簡単ですよね~。誰でも飛べちゃいますよね~。それでは、ナタヌさんから挑戦していただきましょう! それでは意気込みをお聞かせください!≫
エヴァちゃんは、いつの間にか手にしていたハンドマイクをナタヌの口元に近づける。インタビューアーの雰囲気かな?
「はい! アリシアさん、見ていてください! このジャンプ、アリシアさんに捧げます! 私、このステージがクリアできたら結婚するんだ……」
ナタヌ、気合十分。
でもそれ、ファイナルステージとか、もっと終盤で言うセリフだよ。あとね、フラグ的なやつだから、あまり口にしないほうが良いからね。
まさかと思うけど、勢いあまって落ちたりしないでね。
≪もちろん結婚なんて絶対に許しませんが、ナタヌさん、はりきってスタート!≫
「うぉ~! ミィシェリア様、私に力を~!」
ナタヌが助走をつけてから、1枚目の板へジャンプ。
右足で1枚目の板に着地。その勢いを反動にし、すぐに反対側の次の板へ。
左、右、左と4枚の板を軽快なリズムで踏み切ってあっという間にゴール!
≪おめでとうございます! 5段飛び、見事クリアです!≫
「おおー! ナタヌすごーい! かっこいいよー!」
手を叩いて、指笛を鳴らして褒め称える。
当たり前だけど、危なげなくクリアできたね。さすがにこんな序盤で結婚宣言はフラグにならないか。
「ありがとうございます! 緊張しましたけど、アリシアさんのために飛びました!」
「見てた見てたー! ナタヌならやってくれると思ってたよー!」
と盛り上がっているわたしをよそに、メルティお姉様やラダリィは、「ふぅ」と小さくため息をついて、どちらかというと安堵の表情を見せていた。
いやいや、こんな短い距離のジャンプで下に落ちる人なんていないでしょ。子どもの遊び程度の距離ですよ? たかだが5mほどですから、わたしなら板を使わずにジャンプしても余裕で向こう岸まで行けるくらい?
≪それでは次は、いよいよスレッドリー殿下の挑戦です。何か辞世の句などはありますか?≫
死ぬこと前提……。
「アリシアのために飛ぶ。ナタヌよりも高く!」
そう言ってから、スレッドリーは天高く人差し指を掲げる。
それは競技が違うんだよねー。ちゃんとルール理解しているのかな。ホントに落ちるんじゃないかって不安になってくるんですけど。
≪ではさっそくスタート……の前に、板が汚れているみたいなので、清掃を行います。しばらくお待ちください≫
周りに控えていたエヴァちゃんの子端末たちが、布を取り出し、何やらスプレーを吹きかけてから4枚の板をていねいに吹き上げていく。安全面に配慮して管理が行き届いているね。あっという間にピカピカだ。光が反射してきれい! すばらしいね!
≪はい。お待たせしました。それではスレッドリー殿下、はりきってスタートです!≫
「おう! いくぞ!」
クラウチングスタートから、スレッドリーが猛然とダッシュ。
1枚目の板に向かって飛翔する。
「見ていろ、アリシア~~~~!」
気合だけはすごい。
1枚目の板へとジャンプし、右足で着地――した瞬間。
スレッドリーは足を滑らして体勢を崩す。
右足で板を踏み切ったまま次の板に移ることなく、そのまま下の灼熱温泉地獄へと落ちてしまった。
「アバババババ……バババ……ババ……バ……」
沈みゆくスレッドリーと一瞬だけ目が合う。
「えっ⁉」
あまりに一瞬の出来事過ぎて動けなかった。
あっという間に吸い込まれるようにして、スレッドリーの体は灼熱温泉地獄の中へと消えていった。
「え……ウソでしょ……」
マジで溶けた……の?
マグマ……。え、マジぃ?
「えええエヴァちゃん⁉」
≪あ~っと、これはいけません! なんと1stステージ、5段飛びエリアで最初の犠牲者が出てしまいました~! この国にとって大変な損失です! スレッドリー殿下、フォーエバー!≫
いや、フォーエバーじゃシャレにならないからね⁉
マジで溶けたの⁉
なんかそれっぽい色の温泉とかでもなく⁉
≪煮えたぎる約1000度のマグマの前にスレッドリー殿下はなす術もなく……。悲しい限りです……≫
ハンカチで目元を拭う……そぶりを見せるエヴァちゃん。
えっ……こういう場合って、どうなるんだっけ⁉
体が原形をとどめていないどころか、一切残っていないのに復活ってできる?
ねぇ、スーちゃん! スレッドリーはそっちに行ってる⁉
『なんだ? またやらかしたのか?』
スーちゃんからの応答があった。
ねぇ、今スレッドリーがマグマに飲み込まれて……助けてあげて!
『うん? 今のところこちらには来ていないな……。しかしマグマで溶けたのだろう? 体が残っていない状態だと送り返しても戻り先がない……。非常に残念だがオレには打つ手がないぞ……』
そんな……。
こんなお遊びでホントに死んで……。そっちに行ってないってどういうこと?
『死んだことを理解できずに魂が彷徨っているか、あるいは……』
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