暴君幼女は愛されたい! テキトーにLUK≪幸運≫に全振りしたら、ステータス壊れちゃいました~女神様からもらったチートスキル『構造把握』『創作』を使って、玉の輿でハーレムな無双ライフ……スローライフを♪
第20話 アリシア、王様の思い付きに振り回される
第20話 アリシア、王様の思い付きに振り回される
「だからもうっ! どうしてこうなったーーー⁉」
叫ばずにはいられなかった……。
なんでわたしが叫んでるかって?
王宮でまたパーティーですってよ!
王様にちょっと異世界料理を食べさせるって約束しただけだったのに、「大規模パーティーを催すことにしたから、料理よろしくね」ってさ! ノリが軽いんだから!
王様がね、スレッドリーから「俺もアリシアの料理食べたい」って相談された時に、急に思いついたらしくて、王宮で働く人たちを慰労するパーティーにしたいって……。王族もラダリィたちメイドさんや執事さんや……宮廷料理人のみなさんにも……。
その人数規模のパーティーなのに、またわたし1人で料理するの⁉
と、なぜだかうれしそうな顔をして、走り寄ってくるスレッドリー。
「アリシア! 姉上たちも来てくださるそうだ! ローラーシューズショーの日程も調整してくださるらしいぞ。なんのことだろう?」
「つまり、王宮のみなさんだけじゃなくて、公爵様たちもいらっしゃるのね……」
勘弁してほしいわ……。お姉様たちちょっと圧が強いんだもん……。それに1カ月後って言っていたローラーシューズショーもパーティーと同時開催するってこと⁉ ソフィーさんにも調整入れなきゃ。めっちゃ大ごとになってきちゃったよ……。
「しかし残念ながら、南部に遠征中の兄上たちは参加できそうにないな……」
「お兄様? 第1王子の?」
まだお会いしたことがなかったけれど、遠征中だったのね。
「ああ。スミナルド兄は、見聞を広めるために、地方を回っている最中なんだ。今は南部地域を訪問しているらしい」
「へぇー。第1王子ともなると大変なのね」
「弟たちも同行しているからな」
「そうなんだ? スレッドリーは何でついていかなかったの?」
もしかして……使えないから?
「前回の西部地域遠征の際にはついていったぞ。今回は弟たちに譲ったまでだ」
「そっか。それなら安心ね?」
危ない危ない。
さすがにそこまで邪魔者扱いされているわけじゃないよね……。
「アリシアの手料理、楽しみだな~。邪魔しちゃ悪いから、俺、いくよ」
と、スレッドリーはスキップしながら去ってった。
「ちょっと! まだ今から準備するわけじゃないよー?」
行っちゃった。
さすがにいくら人数が多いからって、今から準備するわけ……まあ、アイテム収納ボックスに入れておけば別に今から作っておいてもいいのかな。
いやいや、そんなことより、ローラーシューズショーの調整!
また急いで『ガーランド』に戻らなきゃ!
* * *
「というわけなんですよ……」
今日も今日とてわたしは急いで『魔力・波乗り式ジェットスキー改☆馬車客車一体型・ステルス機能付与ver』に乗り込み、4時間ほどで『ガーランド』に戻ってきましたよ、と。また世界を縮めてしまったよ。
「なにがというわけで、なのよ……」
ソフィーさんがため息をつく。
「だってぇー」
わたしに決定権があると思いますか? 王様ですよ、王様! 王様の命令は絶対って!
「ショーは1カ月後という話ではなかったかしら?」
「陛下が急にパーティーをしようって思いついたんですって……。それにお姉様方が便乗した感じでして……」
あの人たちを止めるのは無理ですよ……。
「ま、王族の方々のご命令じゃ、仕方ないわよね……。それで日取りは決まっているのかしら?」
「2週間後らしいですね。できればチームドラゴンのみんなには早めに王宮に来てもらって練習したほうが良いかなと」
わたしもエリオットたちの今の実力を確認しておきたいし。
「メンバーは3人で良いのかしら? それとも新人ちゃんたちも連れていく予定?」
「うーん。わたし、新人さんとは面識ないですし、とりあえず3人だけで良いかなと? あー、と、音響の機械なんかも借りていきたいなーと」
「もちろんOKよん。でも3人がいないんじゃ、その間はお店のほうのショーは中止ね」
「そっか……。お店に影響出ちゃいますね……」
売上とか、信用とか……。
「そこはこっちで何とかするわよん。王様にお呼ばれしているなんて名誉なことですからね。精一杯宣伝に活用させてもらうわ♡」
「すみません。それでお願いします……」
まああと、報酬的なものも分捕ってきますから!
「しかし、こんな短期間で王宮のパーティーを2回も取り仕切るなんて、アリシアも出世したわね♪」
ソフィーさんがうれしそうにわたしの背中を2度、叩いてくる。
ひさしぶりに受けた七色オークの平手は……少しやさしくなったかも。
「出世ってそんな……」
「実際そうでしょ? この間のロイスの結婚披露パーティーの時には、主役そっちのけで、アリシアのうわさで持ち切りだったわよ」
「わたしのうわさって……?」
それは初耳なんですけど。
何、もしかして「天才美少女料理人現る」的な? いやーん、困っちゃう♡
「スレッドリー殿下の想い人なんですってね♡」
「げっ……」
そっちのうわさ……。
「殿下がうれしそうにされていたのも真実味が出てきたわね~。この間は深刻そうな顔をして『好きか嫌いかわからない』みたいな話をしていたのに、もう身内感が出ちゃってるじゃないの~」
「いや、ホントに付き合いも何も……」
5年半前に、1回街で会っただけなので……。
「婚約発表間近なのかしら? もしかして、次のパーティーで正式に?」
興味津々。
大きな目をくりくりさせながら、わたしの顔を覗き込んでくる。
「いやいやいや。正式も何も……。お付き合いもしてませんし、そんな予定もありませんし……。ただの友人なんですよ」
「ふ~~~~~ん」
「何ですかー⁉」
その含みのある感じはー!
「それで、勝ち目はあるの?」
「勝ち目、とは……?」
「恋愛は惚れられたほうが勝ちだって話はしたわよね?」
「はい……」
「それで、アリシアは真剣に向き合ったのかしら? そして、殿下の想いに勝ち続けられるのかしら?」
わたしはその質問に即答できなかった。
真剣に向き合っているつもり……。
でも、想いに応えられるのか、ずっと一緒にいられるのかはまだわからない……。
「そう、それがアリシアの答えなのね」
「えっ、まだわたし何も……」
「いいえ、ちゃんと答えていたわよ。前の時とは違って、真剣に殿下のことで悩んでいた。それが答えでしょ」
温かい目。
ソフィーさんの包み込むようなやさしさを感じた。
「でもまだ答えは……」
「悩んでいればそれでいいのよ。殿下はアリシアに熱を上げているんだから、その間アリシアはずっと悩んでいればいいの」
「そう、なんですかね……」
「そうよ。恋愛は愛されているほうが勝ちなんだから♪」
うん……。
わたし、ちゃんと考え続けますね……。
まだ結論は出せそうにないけど。
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