第3話 アリシア、『創作』スキルを行使する

 共に生きるー。共に生きるー♪


 女神様たちのことがわかって、少し気分が明るくなったかな!

 でも、辺りが真っ暗なのは変わりなし!


 どうしたもんですかねー。

 あ、そっか!


「わたし、ライトか何か『創作』しても大丈夫ですか? この空間でわたしのスキルって普通に使えるのかなー」


 連動型アイテム収納ボックスが機能していないことは確認済み。でも普通のアイテム収納ボックスは今まで通り使えている。錬金術師・ノーアさんの異空間の時と同じ、なのかもしれないね? それだったらスキルは変わりなく使えるはずなんだけど……。


『オレは暗くてもすべて見えているが、光がないとお前は見えていないのだったな。失念していたよ。いいぜ。試しにスキル行使してみたらどうだ?』


 ええっ、わりと軽いノリ!

 なんかほら……異空間だからMP消費がどうとか、制約を受けたりとか、魔力放出したら相手に位置を探られて攻撃されるとか、いろいろ考えることありません⁉


『敵側からのアプローチがあればこの状況を打開できるかもしれないからな。逆に派手に暴れるのも良いかもしれないぞ』


 ううーん。そういう考え方もありますかねー。

 じゃあ、ライトとほかに何か適当に創っていきますよ? いいですね? 何か起きたら対処お願いします!


『ああ、周囲の警戒は任せておけ』


 じゃあ行きます!

 と言っても、ライトライト……どんなのがいいんだろう。ガスランタン? アルコールランプ? それとも電球かな……LEDライト? ああそうか。ライトサーベルに発光機能をつけちゃおう♪ きっとそれが一番かわいい♡


 深緑のライトサーベルもかわいいけれど、辺りを照らす真っ白な光もいいよね!

 100~1000ルクスくらいの光量があればいいかなあ。


 いや、待って。

 せっかくなら太陽拳が使えるほうが良いよね! ね⁉


 よし、最大1000万ルクスくらいかな? それくらい出れば、ざっと太陽の100倍の明るさだし、きっと目くらましくらいにはなるよねー。


『それは……人の網膜が焼けてしまうのではないか……?』


 そう、ですかね? 焼けちゃうかな?

 用法用量には注意しまーす。


『それならいいんだが……』


 なんでそんなに乗り気じゃないんですかー? だって太陽拳ですよ? どんな強敵にも最後まで使えるアレですよ⁉


『そうなのか……』


 スークル様、ノリが悪ーい。

 わたしの前世の記憶を確認して、一緒に太陽拳しましょうよー。


『あ、ああ。今度な……とりあえずこの空間を脱出してからなら、いくらでも遊んでやるから……』


 わーい♡ 女神様ってみんなやさしくて好き♡


『しかしお前はその、ライトサーベルを光らせると、周りが見えるようになるのか?』


 そうですよー。よーし、ライトサーベルの改造できました!

 うーん。スキルを使ってみても、体におかしなところはないかなー。MPの自然回復もある。特に問題なさそうです!


 あー、ようやくスークル様の美しいお顔が見えました! あれ、でも魂ちゃんたちがまぶしそうにしてる……。ごめんね、もうちょっと光量を落とすね。


『人は不便なものだな。せっかく「創作」スキルという良いものが使えるのなら、自分の目を創り変えたらいいだろうに』


 え、あー……それね、考えたことはあります…よ? でもちょっと怖くて、まだ踏ん切りがつかないでいるというか……。せめて『創作Lv2』になってから、万全を期してですね……。


『意外と慎重派なのだな』


 だってーーーーーーー!

 他人のならいくらでも勢いで行けますけど……自分の改造は失敗したら怖いじゃないですかー!


『わりとひどいことを言っているのに気づいているか?』


 えっへっへ♡

 たぶんね、1回でも自分の体に手を入れたら、もう止まらなくなるっていうか……人じゃなくなっちゃったらやだなーって。


『そういうものか……オレにはよくわからない感覚だ』


 そりゃあスークル様は女神様ですもの。

 わたしは人で、まだまだ成長過程の10歳で、これから体も大きくなるし……いつか年老いて死ぬ。それが人なんですよね……。


『人か……。お前はノーアと会ったんだろう?』


 はい……。

 

『そうか』


 ノーアさん……。

 

『決めるのはお前自身だ』


 スークル様は「何を」とはおっしゃられない。

 でもわかっています。


 わたし自身が決めなければいけないこと。


『賢者の石』


 不老不死。

 そして概念、法則、常識の枠から外れ、あらゆる願望を叶えることのできる奇跡の存在。


 わたしは……そうなりたいのかな。


 まだわからない。


『すぐに結論を出す必要はないさ。お前はまだ若い。もっと多くの人と関わり、それから結論を出したらいい』


 はい。そう、ですね……。

 わたしがこの世界に来てしたかったことって何だったっけ……。

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