暴君幼女は愛されたい! テキトーにLUK≪幸運≫に全振りしたら、ステータス壊れちゃいました~女神様からもらったチートスキル『構造把握』『創作』を使って、玉の輿でハーレムな無双ライフ……スローライフを♪
第8話 アリシア、技術よりも持久力が大事だと知る
第8話 アリシア、技術よりも持久力が大事だと知る
「それで私言ってやったのよ~。あなたとはもう終わったのよ! 話しかけないでちょうだいって!」
「おお、はっきり言ってやったのじゃな。それで、相手はどうなったのじゃ?」
「それがね。泣くんですよ~。『あの愛し合った日々が忘れられない。俺を捨てないでくれ』って。男らしくないったらありゃしない」
うーむ。ソフィーさんもガンガンにお酒飲んで酔っ払っていらっしゃる……。
マーチャン様が楽しそうだからまあいいんだろうけど、VIPルームってこういうものなのかな? わたしが想像していたものとずいぶん違う……。
なんかほら、アタッシュケースに金貨がぎっしり入っていてさ、サングラスをした男が「確かに、1万枚の金貨を受け取りました。おーい、山田君、例のモノをお持ちして」「かしこまりましたー」「それではですね、そのかつらとサングラスをしていただいて、わたしたちは殺し屋の集団ということになります。わたしが先輩、みなさんが後輩です。『わたしが、おや、そんなに急いでどこに行くんだい?』と後輩のみなさんに声をかけますから、続いてお答えください」って感じのやつを想像してたんだけどなー。
「それでね。そいつったら、往来の真ん中で突然服を脱ぎだしちゃって~」
「それは傑作じゃの!」
「『こんなところでみっともないからやめなさい』って言ったら、『じゃあ最後に1回だけ』って、まさかの体目当てだったのよ~。最低な男よね♡」
「それは最低じゃの!」
いや、何の話よ……。
酔っ払いの会話やばいね。
『アリシア? こちらロイス。聞こえたら返事どうぞ。オーバー』
お、ロイスから連絡だ。
どうしたんだろ。
「こちらアリシア。聞こえてますよ。オーバー」
『良かったわ。こっちは無事ローラーシューズショーが終わったわよ。みんながんばってた! お客様も大盛り上がりで大成功だったわよ!』
ロイスのテンションが高い。
それだけうまく行ったってことかな。良かった良かった。
「報告ありがとう! うまくいったみたいで良かったわー。初回なのに見てあげられなくてごめんってみんなに謝っておいてくれる?」
『うんうん。伝えとくね。セイヤーがね「暴君幼女がいなくてももう大丈夫っす」って言ってるわ』
「ほう、そうかそうか。セイヤーはあとでわたしがどれくらい暴君かを体にわからせてやらないといけないようだね」
『あ、セイヤーが逃げたわ』
「エリオット。捕まえておきなさい。そうしたらあとで特製のプロテインをあげましょう」
『セイヤーがあっさり捕まったわ。ロープで縛られて泣いてるわ』
エリオット、よくやったね。あとでご褒美を上げよう。キミはさらなるムキムキマッチョマンを目指しなさい。
「よしよし。それで用事は無事終わったって報告だけかな?」
『基本的にはそうね。このあとどうすればいいか教えてもらえると助かるわ』
「そうね。15分くらい休んだら、次の衣装に着替えて3階にあがってきてくれる? そのままVIPルームでのショーを始めましょう」
『わかったわ。次の衣装は――これね』
「衣装見つけられた? 部屋の隅の台の上に置いてあるんだけど」
『揃いの水色の衣装ね?』
「そう、それ。あと一緒に置いてある体力回復ポーションも配って飲ませておいて」
『OK。飲ませとく~』
「あとは美少女のキスも追加でね♡」
『バカ。切るわよ。オーバー』
「はーい。またあとでー。オーバー」
VIPルームでのショーは、1階ホールのショーとは少しテイストが違う。ゆったりとした空間でおくつろぎいただくために、激しいステップやジャンプはなしにしている。
その分、連携した動きや体の表現が必要になってくるから、より難易度は高いといえるかもしれないね。
「でもまあ、あいつとは相性は悪くないのが問題なのよね……。そんなに頼まれると邪険にもできないっていうか、困っちゃったのよね~」
「それは難しい問題じゃの!」
「一度は愛した男だし……あいつ持久力がすごくて、なかなかいいのよ♡」
「それはうらやましい限りじゃの!」
「やっぱり技術よりも持久力よね~♡」
「それは一理あるの!」
いや、もうマーチャン様がただの相づちマシーンになってるじゃないの。大丈夫? 飲みすぎ? ソフィーさんは明らかに飲みすぎ! そんな状態でこのあと解体ショーできるの?
一旦ブレイクしておきますかねー。
「はーい、お話盛り上がっているところ失礼します。そろそろローラーシューズショーが始まる時刻ですので、少しセッティングを変えさせていただきますね」
控えていた天使ちゃんたちに指示を出し、テーブルやイスを隅に寄せる。マーチャン様の座るソファの前に小さなテーブルを用意して、そちらにお酒とおつまみをご用意していく。
「しっとりとお楽しみいただくお時間ですので、それに合わせてお酒のほうもシングルモルトのウィスキーをご用意いたしました」
氷を入れてロックでどうぞー。
「冷たい! これは氷かの?」
「常温で召し上がるよりもすっきりして良いかと思いまして」
「氷か~。これは良いの!」
マーチャン様のエメラルドグリーン瞳が一層輝いて見える。新しいお酒もいいけれど、普段の見慣れているお酒のおいしい飲み方を提案するほうが感動もあるのかな?
「もしよろしければこちらも。梅酒というお酒になりますが、梅を発酵させたお酒に砂糖を混ぜておりますので、非常に甘い口あたりになります」
梅酒もロックでお出ししてみる。
「これは甘いの! 飲んだことがない味じゃ。ウメ、というのは果実かの?」
「そうでございます。梅は……そうですね、この辺りでは栽培されておりませんね。それはそれはきれいな赤い花と白い花が咲くとか。花の香りもとても良く……この梅の実は南部の大陸から取り寄せたものにございます」
「それは見てみたいの! ウメか。こっちも気に入ったぞよ」
「ありがとうございます。こちら乾きもののおつまみをご用意いたしましたので、このあとのローラーシューズショーをお楽しみくださいませ」
さてさて、今度は3人の演技をそばで見守れるぞ、っと。
がんばれ、チームドラゴン!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます