第3話 アリシア、天使ちゃんたちを労う
「みなさん、昼営業、大変お疲れさまでした! なんと! 初日、販売目標達成です!」
バンザーイ!
みんな拍手拍手ー!
イエイエイエーイ♪
天使ちゃんたちも手ごたえがあったのか、いつにも増して活気づいている。
「これはホントにみなさんの努力の成果です! ガーランド伯爵の粋な計らいで営業開始から長蛇の列ができても、みなさんが必死にさばいてくれたおかげです! ホントにお疲れさまでした!」
慣れない機械を使わせたのに、がんばって対応してくれたオーダーの天使ちゃんたち。
試食を配ったり、列の整列やお客様トラブルの対応をしてくれたプロモーションの天使ちゃんたち。
まさかのストック切れになりそうなところを、しっかりペースを守って追加の料理を作ってくれた調理の天使ちゃんたち。
みんなみんなお疲れさまだよ。
「予想をはるかに超える人数のお客様が来店されて、みなさん満足そうに帰っていかれましたね。きっとお持ち帰りしていただいた料理で、さらに次のお客様を呼んでくださることでしょう」
もうね、これは平民たちの胃袋はつかんだといっても過言ではないのではないでしょーか!
「そして今日、陣中見舞いとしてきてくれたロイス嬢! なんと裏ではガーランド伯爵のネームバリューを使って号外まで配布してお店のプロモーションをしてくれていました。さらにさらにこの類まれなる美貌を使ってお客様を虜にして次の来店を約束させるという反則ギリギリの技まで! はい、みんな拍手ー!」
盛大な拍手、そして指笛。ちょっとしたお祭り騒ぎだよ!
「ちょっとアリシア? 私、ぜんぜん褒められてる気がしないのだけれど⁉」
ロイスが真っ赤になって抗議の声を上げる。
そんなロイスの態度に、天使ちゃんたちがどっと沸いた。あー、なんかお店、とっても良い雰囲気だねー。
「えー、ほめてるよー? まさに適材適所ー。ずっとロイスがお店の前に立っててくれたら、販売目標倍にできるかも?」
「それはありがたいわね♪」
ソフィーさんもホクホク顔。
「もう、みんなして私のことをからかって! 知らないんだから~」
プイと後ろを向いてしまう。耳まで赤いロイスさん。あらあら♡ かわいいお顔をこっちに見せて♪
それにしてもロイスはすっかり打ち解けたねー。このお店の天使ちゃんたちは、貴族の方と接する機会も多いけど、相手の身分で変に壁を作らないのが良いところよね。ソフィーさんも必要以上にへりくだったりしないし。ロイスのこと、受け入れづらかったらどうしようって心配はいらなかったみたいね。ホント良かったわ。
「はいはーい。みんな注目! あと1時間半後、18時30分には夜営業が始まりますからね。各自1時間の休憩を取ったら、18時から準備に取り掛かってください。2階のカジノはまだオープンしませんが、1階は通常営業します。20時にはチームドラゴンによるローラーシューズショーがありまーす」
列の前のほうに立っているエリオット、セイヤー、エデンの3人を見る。
いけるわよね、みんな?
うんうん、気合入ってるね。揃いの衣装も似合ってるよ♪ でも着替えるの早過ぎない⁉
エリオットが黒色、セイヤーが水色、エデンが銀色。それぞれのステージ衣装を用意している。これがプレオープンセレモニーからの進化♪ 観客の視線は3人にくぎ付けになることでしょう!
「そして19時からVIPルームのご予約が1件入っています。コース料理の準備もしっかりお願いね? 21時からはVIPルームでのローラーシューズショーもありますからね」
VIP用の料理は特別ですからね。
注文はお任せとのことだったので、コカトリスのフルコースをご用意しました。
初回のお客様だからねー。奮発してお酒もいろんな種類を作ってみました♪ 他のお店との差別化として、当店オリジナルの日乃本酒をアピールしていこうと思っていますよー。それに合うように鳥料理も考えたので、全体的に和テイストなコースになったかな。
「ソフィーさんも解体ショー、気合い入れてくださいね」
「任せておきなさい! 筋トレもバッチリよ♡」
「あ、薬いります?」
映えのために筋肉増強ポーションを♪
「これ以上パワーアップして抑えきれなくなったら困るからやめておくわ♡」
小さくウィンク。
何を抑えられなくなるのかは……聞かないでおこう。
「はーい。じゃあ、一時解散! さっきアイテム収納庫のほうにわたしの新作の肉料理を入れておいたので、休憩時間にまかないとしてどうぞー。みんなで食べて後で感想を聞かせてくださいね。お疲れっしたー!」
天使ちゃんたちから歓声が上がる。
男の子はお肉が好きだから、いろんな種類のお肉料理を入れておいたよ♡ おすすめは牛丼と焼き鳥丼かな! お米は貴重だから争奪戦になるかもね。いっぱい食べていっぱい働こうね♡
それにしてもここまで順調だーね! ちょっと怖いくらいにうまくいってるねー。
「ロイス、ホントにありがとね」
「私? まだ何も貢献できてないわよ~。私に、ローラーシューズショーという目標をくれたアリシアにもっと恩返しをしたいわ」
つぶらな瞳でわたしを見つめてくる。
良い子やなあ。……そろそろちょっとくらいはチューしても許されるかな⁉
『無理やりはいけませんよ。相手の気持ちも考えて行動できるようになりましょうね』
あ、ミィちゃんだ♪ こんばんはー。
『はい、こんばんは。こんな状況でもちゃんと挨拶ができて偉いですね。今日はとてもがんばっているようですね』
がんばってるよー。めっちゃ働いてるー。でもみんなががんばってくれてるからわたしもがんばれるんだ。
『大切なことですね。仲間を大切に。人は1人だけでは生きられません。助け合って生きる仲間や家族の存在に感謝しましょうね』
はーい。仲間や家族かあ。
わたしも早く家族がほしいな。チラチラ。
『がんばって目標である玉の輿に乗ってくださいね』
ちぇっ。わたしも神殿に住もうかなー。ミィちゃんと暮らしたいなー。
『私はいつもあなたのそばにいます。安心して前に進んでください』
釣れない返事……。はーい。がんばりまーす。
さーて、夜営業のために、設備の最終チェックでもしてこようかなー。
配膳補助ロボットがうまく動くも入念にチェックしなきゃ。
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