第13話 アリシア、グレーゾーンを攻めていく
「というわけで全員分の制服とローラーシューズ納品でーす」
アリシアさんへとへとですよー。
さすがにMP切れですー。
でもでもでも、そんなの関係ねぇー!
まさに草の根を分けて探し出した伝説の雑草! これを良い感じに配合したMP回復ポーションが遂に完成したのですじゃ!
一口飲めばあら不思議! MPが満タンになっちゃいますのよーオホホホホ。……ち、違うから、合法なんちゃらとかじゃないから! 気持ちが上がるだけじゃなくてちゃんとMP回復するんだからね! というか、この世界に違法薬物なんてあるのかな? まああるかな? でもわたし幼女だからわかんにゃい♡
グビッ! ピカーン☆ ウィー!
「さて、次はVIPルームの建設ですねー」
「アリシア、そんなに働いて大丈夫なの? まだ子どもなんだから無理しちゃだめよ?」
ソフィーさんが心配そうに肩に手をかけてくる。
なんて常識的な方なの! 見た目は非常識極まりないのに……。さっすが元軍人さん。
「大丈夫ですよー。わたしが買い出しの指示とかしないと、天使ちゃんたちが困っちゃいますからね。資材購入の指示をしたら、チームドラゴンのほうの監督に回るので、そこからは楽させてもらいますからね。左団扇でイケメンたちを眺める仕事に就きますよ♪」
「まあそれならいいわ。でも無理して物を作ったりするのは控えなさいね。無理して途中で倒れられたらこのお店が傾いちゃうわ」
そうですねー。でも開店準備中は全力営業できなくなっちゃってますし。とくにVIPルームは客単価も高いから、早めに開けたいところ。下のフロアはこれまで通り、夜営業してもらってるから売上は落ちていないと思うけど、VIPルーム閉じている期間はなるべく短くしたいなー。
ソフィーさんと一緒に2階、3階のフロアを見て回って、部屋のレイアウトを検討していく。
「防音対策をしっかり入れれば、部屋同士が接していても大丈夫なので、2階は中くらいの部屋を3つ、3階はぶち抜きの超VIPフロアにしましょう」
「半個室はなしでいくのかしら?」
「なしで。すべて完全個室にします。とくに3階はフロア内でローラーシューズショーが開催できるように天井の飾りはなくして、照明関係もあらたに設置しましょう」
ソファもキャスターをつけて移動できるようにしておけば、ショーの準備に手間取らなくて済むかな。
「じゃあ、材料はこれでお願いします」
「OKよ」
「あ、お金。親方に聞いたら金貨じゃなくても大丈夫なんじゃないかって言われたんですけどどうですか? わたし、アイテム収納ボックスの関係で、資産は金塊にして保管してるんですよねー」
まあウソですけど。
街道という名の金庫から自由に引き出しているだけですけど。
「そうなの。めずらしいわね。でも、金は貴重だし、安定して換金できるからかまわないわよん。なんなら一緒に銀行で金貨に換えてもらってもいいわよん」
「それでもいいですね。あとでちょっと休憩がてらお願いしてもいいですか?」
「いいわよ。それじゃあ材料のメモもらっていくわね」
ソフィーさんがメモを片手に、天使ちゃんたちを集めて指示を出し始める。
おーし、じゃあわたしのほうも始めますかねー。手持ちの材料で照明類だけ作っちゃおうかなー。どうせクリアなガラスは『創作』スキルで創り出すしかないしー。
天井の照明は分解して、薄型の蛍光灯(魔力チャージ式)にしておけばジャンプ系の技でもぶつからないかな? まあ3階は天井高いし大丈夫かなー。
スポットライトは感知センサー付きで動く人を追尾するようにしよう。そうすればショーの時わざわざ照明の切り替えをせずにいけそう。普段の会合で使ってもらう時は人感センサーを切っておけば問題なーし。
あとなんかおもしろい仕掛けないかなー。
超VIPの内緒話……。何話すんだろ? 大人が集まると麻雀してるイメージあるけど、あとはカードゲームか。だいたいなんか賭け事してるよね、たぶん。そういうのを片っ端から置いておけば貴族様たちも満足してくれるかな?
麻雀、トランプ、ダーツ、ビリヤード、あとなんだろ……ああ、あれか。チンチロだ! 確か偉い人たちにはこれが一番人気だったはず!
あとは賭けるためのチップを……販売するか! よし、思い切ってカジノを経営しちゃおう♪ 儲けるぞー! 手先が器用な天使ちゃんを捕まえて、ディーラーに育てなきゃ!
「ソフィーさーん! やっぱり2階の半分はカジノにしようと思いまーす!」
国にバレたら怒られるかな?
まあ貴族様を抱き込めばきっと平気だよね!
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