第4話 アリシア、世界を狙う
馬以外が馬車を引いて走る……つまり馬車が自走すればいい!
馬車が勝手に走るとなると、イメージ的にはソリかな? 馬も馬車もぜーんぶ乗っかる大きなソリ。それで雪の上を滑っていけば、馬が走らなくても馬車を運べるよね。
でもここで大きな問題が……。まだ雪の季節じゃないのよねー。
んーと、自力で馬車の荷台部分が走る……となるとやっぱりエンジンが必要かなー。自動車のイメージ。
そうだ、ソリにエンジン付けちゃおっかな♪ 魔力のジェット噴射で石畳の上を滑っていくジェットスキーにしちゃお♡
あ、でも、石畳も砂利もごつごつしてるし、ここから先舗装されていない道も多いから、ジェット噴射だけじゃまっすぐ走れないかなあ。
問題なのは床のでこぼこだよね……。
そっか! 地面が雪みたいに平らで滑らかならいいんだ!
地面を魔力の波で覆って、そこを滑ればいいってことー。ジェットスキーの下にも魔力の膜を敷いて、魔力の波同士がそれぞれ反対方向に流れるようにしよう。どっちも同じわたしの魔力同士なら摩擦係数を限りなく下げられるはず?
わたし天才だわっ!
よーし、作らなきゃいけないもののイメージはできた!
ちょうどいい感じの倒木があるからこれを加工して使っちゃおう。ラッキー!
スキル:創作!
大きな音を立てないように、そっと倒木を加工して板にしてー。うーん、塗装にこだわってる時間はさすがにないよね。かわいくはないけど、実用重視で! 抵抗を減らす流線形のデザインと、魔力噴射器を取り付けられるように穴をあけてー。
うーん。穴開けちゃうと木材はさすがにちょっと強度に不安があるね……。魔力を流した途端にバラバラになっちゃいそう。
やっぱり金属で加工したいな。っていうか、魔力噴射器も金属で作らないとまずいよね。
えーと、金属金属……街道の石からまた金を取り出すかなー。ホントは強度的にはステンレスとかほしいところだけど、金のほうが魔力伝導率は高いし、とりあえず金でもいいかな。
というわけで完成しました!
見てください。まあ、なんて豪華なんでしょう!
全面を純金でコーティングして、美しさと強度を限界まで上げた、その名も『魔力・波乗り式ジェットスキー☆ゴールデンスペシャル』です。
限りなく抵抗をなくす目的でデザインされた流線形がとても美しいですね。そしてその隣には、純金製の周辺機器が大小合わせて8基も用意しました。うはー、金ピカでまぶしいっ!
うーん、たぶん完成かな?
よーし。さっそく馬車に設置だ!
馬車の車輪の下にこの巨大スキー部分を履かせてー。重い……けれど、わたしの腕力を舐めるなよっ。パワー! ヤーッ!
ふぃー、何とか持ち上がったわー。
あ、レベル上がった。
こういう感じに経験値って貯まるんだ。
ノータイムでLUK≪幸運≫に全振りだー。ポチポチポチポチッ!
ふっ、またもや他の追随を許さないラッキーガールになってしまったわ。
さてとー、あとは、荷台にあったロープを借りて、馬車とスキーをしっかり固定、っと。
次に周辺機器の取り付けね。
ソリの前の部分には、雪の代わりになる魔力の膜を噴射するスプリンクラーと、それを後ろに風で流す気流発生装置を取り付けまーす。
後ろの部分には、圧縮した魔力を爆発させてジェット噴射するメインエンジンくんを2基設置。キミたちが主役だ! がんばれエンジンくんたち!
左右には姿勢制御用のサブ噴射器を各2基ずつ設置。グリグリ動くよー。これの動かし方が一番難しそう。
これで『魔力・波乗り式ジェットスキー☆ゴールデンスペシャル』の取り付け、完成だ!
ひとまずためしに滑ってみようかな。
閣下とセルフィおねえさんは……木陰で休んでるから見てないね。ブレッシング効いてる。ヨシ。
スイッチオーン! 魔力充填開始。
おー、浮いた浮いた!
それじゃあまずはゆっくり滑ってみよう!
おおおおー! これは思ったよりもぜんぜん楽ー!
自分の魔力だから制御が自由自在だね。魔力噴射量で速度も自由に調節できるし、逆噴射すれば止まるのも簡単! ほらほら、トリプルアクセルも決められちゃう! からのステップシークエンス。軽快なリズムで観客を魅了するぅ。演技後半に4回転トーループ~トリプルトーループ! 見事に着氷! コンビネーション決まったー! くぅー、世界を狙える!
あとは噴射角度をいじって効率をあげて……。うーん、これくらいかな。これなら全速力を出してもMPが街まで持ちそうかな。
ああ、もう式典までけっこう時間がない!
ちょっと凝りすぎたかな。
ねえお馬さん、立てる?
うん、大丈夫よ。走らせたりはしないから、ゆっくりこの板の上に乗って。そうそう、良い子ね。一応ロープはつないで馬車を引いて見えるようにしておくから。
準備よしと。
急いで出発しないと!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます