第5話

 面談は佐倉先生と同席してくれた校長先生の謝罪から始まった。


 朱璃唯は先生の顔を見たくないという理由で面談には来ず、私だけが学校の応接室に訪問した。放課後の学校は部活動をする生徒たちが駆けているグラウンドだけが賑やかで、校内は悲しくなるような静けさに包まれていた。

 

 朱璃唯も来ればよかったのに・・・。


 朱璃唯は被害者なのに不快であったという主張をなぜ思い切りできない立場に追い込まれているのか。大人に強いられて、できないことをさせられて恥をかかされるなんて虐待じゃないか。これをマスコミに伝えてみたりSNSで拡散させたら世間はどんな反応を示すことか。


 被害者である朱璃唯不在の面談に意味なんてあるのだろうか。


 何もわかっていない親が謝罪や説明を聞いたところで朱璃唯の今後のメンタルの回復にどんな効果があるというのか。


 面談前から不信感は募り、私は自分が期待しているような結果など得られない気がしていた。

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