686 最高のマネージャー

 24箇所目までのライブダイジェストや、そこで起こった眞子の心境の変化などを語っていました(笑)

(∀`*ゞ)テヘッ


***


 ……そんな訳でございまして。

私こと倉津眞子は、25箇所目のライブハウスのある『マイアミ』を目指し。

ニューオリンズからジャクソンビルを経由して、只今、マイアミ行きの電車に乗って居る訳なんですよ。


時刻は、えぇっと、PM12:23。


そして此処でも、いつも通りスケジュールに従って。

予定を崩さない為にも、マイアミ行きの電車内で勉強時恒例の『伊達眼鏡』を掛けながら黙々と勉強してたりしております。


カリカリ( ..)φ


う~~~ん、それにしても、ナンダカンダありつつも。

こうやって色々勉強してたら、毎日が凄く充実してる様に感じるなぁ。


こんな事なら……もっと早くから、勉強もやってれば良かったよ。


勿体無い時間を過ごしてたもんだ。


人生のロスタイムでしたよ。

なんて、偉そうな事を思っていると……



「眞子。……そろそろ、少し休憩を入れたら、どうだい?」


……っと、此処で、私の『マイアミ』『アトランタ』を担当してくれるマネージャさん、ジェフ=マクスエルさんが気を遣って声を掛けてくれた。


あぁ……このマネージャーさんはね。

ニューオリンズでお逢いした時から、ズッとお世話してくれてる方なんだけどね。

物腰が凄く柔らかく、凄い優しくも紳士的な雰囲気が全身から醸し出してる様な方なのよ。


まぁ如何にも、女の子や、叔母様方にモテそうなタイプの渋いオジ様。


だから一緒に居ると、他の女の人がチラチラ見て行くから、ちょっと優越感に浸ったりしております♪



「あぁ、そうですね」

「そうそう、勉強のしづめは、目にも、効率にも悪いよ。何事も程々にね」

「ははっ……そうですよね。じゃあ、少しだけ休憩させて貰いましょうかね」

「そうする?じゃあ、なにか飲む?」

「あぁ……じゃあ、出来れば『お茶』を頂きたいんですが」

「えぇっと、まさかとは思うけど。……それは紅茶じゃなくて『日本茶』の事かい?」

「あぁっと、そうか!!此処アメリカだったんですね。……ごめんなさい。つい……」

「ふふっ、そうそう此処はアメリカ。けど、少し冷えたので良かったら、実は日本茶も用意して置いたから、有ったりするよ」

「本当ですか♪……あぁっと、その前にですね。そんな風に、お気遣いさせちゃって、すみません。ありがとうございます」

「いやいや」


そう言いながらジェフさんは、保温出来る水筒から温かいお茶をコップに注いでくれる。


外気に触れて出る『湯気』と『お茶の香り』が堪らなく良い匂いだ。


う~~ん、それにしてもなんと言う『準備』の良さ。

まさか『玉露』まで用意してくれてるとは……なんと言う『心遣い』そして、なんと言う『贅沢』なんだろうか。

流石『亜米利加GUILD・HOTEL接客部門:第12位』の肩書きは伊達じゃないね。


うんうん!!この方に関しては、正にパーフェクトだよ。


GUILDランク、大したもんだ!!


あの~~……なんなら、ライブの最終地ニューヨークまで、ジェフさんに全部マネージメントして欲しい物なんですけどね。

って思う程、それ程までに完璧なんですよジェフさんは♪


あの……ところで『GUILDランキング』の投票って、どうやるんだろね?

実はさぁ、GUILDの設立当初から、これの存在は知ってるくせに、そう言う『投票』とか言う細かい点は、あまりと言うか……全然、知らなかったりするんだよね。


まぁ、ジェフさんには、なにがあっても必ず投票したいからマイアミに到着したらホテルで調べよ。



「それはそうと眞子。さっきから、なんの勉強をしてたんだい?」

「あぁっと、これですか?これは、ただの学校の勉強ですけど。……こうやってライブで50日も学校休んじゃうと、みんなに付いて行けなくなるんで。少しづつでも、やって置こうかと思いまして」

「そぉ、感心だね君は。仕事をしてても、学問は怠らないなんて、凄く自立した考えだよ」

「そうですかね?まぁ、なんと言いますか。あまり、勉強の事でも、人には笑われてくないもので」


……っと言っても、そう思い始めたのって極々最近なんですけどね。


それまでは、結構、酷い『自堕落ガール』だったんで……


遊んでばっかりいましたから……


ははっ……笑えない。



「はははっ。うん、眞子は、本当に自立してる。ウチの息子に『眞子の爪の垢を煎じて飲ませたい』よ」


えっ?嘘?

そんなに爪汚れてますか?


勉強してるとね。

どうしても気付かない内に、鉛筆のカスとかが、爪の中に入ってたりするからね。


そう言うの、ホント気を付けないとね。

気付いたら、爪の先が真っ黒になってたりするからね。


あぁ……序に手の汚れもチェックしとこ。


あの~~~……先に言って置くけど、ジェフさんの言った意味は、ちゃんと解ってるからね。


これは『身嗜み』の話ね『身嗜み』の。



「そんなそんな。私は元々ボケッとしてて、あまりなにもしない子ですよ」

「じゃあ、どうして今は、そんなに勉強しようと思ったんだい?」

「あの……それはですね。崇秀を見てて『このままの自分じゃあダメだなぁ』って思って。少しづつでも、なにか頑張ってみようかなって思い返してみただけなんですよ。だからこれも、偶々なんですよ偶々」

「そうかぁ。……じゃあ、ウチの息子にも、その偶々が起こってくれると良いんだけどね」

「あの~~~、大変失礼だとは思うんですが……ジェフさんの息子さんは、不良さんなんですか?」

「まぁ、不良と言うか、僕も、妻も、仕事で殆ど家に居ないからね。息子は、いつも好き勝手やってるみたいだよ」

「あの、ジェフさんは、息子さんに注意とかはされないんですか?」

「うん、殆どしないねぇ」


しないんだ……


なんか、ちょっとジェフさんのイメージと違うなぁ。


勿論、こう言う物腰の柔らかいタイプに方だから、別に『ガミガミ怒る』っとか言うキツイイメージでは無いんだけど。

そう言う事に関しては、結構、厳しそうな感じなんだけどなぁ。


ふむ……人は見た目に寄らないものなのかな?



「そう……なんですか?」

「ふふふっ……じゃあ、逆に聞くけどね、眞子。親に注意をされて、子供が言う事を聞くかい?僕は違うと思うけど」

「どうしてですか?親が言ってくれないと、子供は、なにも解らないものですよ」

「かも知れないね。けど、少しだけ違う。良いかい眞子?物事って言うのはね。今の眞子の様に、何事に対しても出来るだけ自分で自覚して、それに取り組むべきなんだよ。そうすれば、なにが良くて、なにが悪いのかの『善・悪』の区別も付くし、判断力も養える。……まぁ勿論、注意はしないと言っても、人様に迷惑を掛けた時は、壁に吹っ飛ぶぐらいの勢いで、容赦なくぶん殴るけどね」


……ですよね♪


なに勘違いしてたんだろ。

こんな良い人が、自分の息子さんには『興味が無い』とか思う訳ないよね。


なんか1人で心配して……馬鹿みたい。



「もぉビックリしましたよ。……ジェフさん、放任主義じゃなくて、一瞬、息子さんを見捨てられてるのかと思いましたよぉ」

「まさか、まさか。大事な息子を見捨てるなんて、そんな馬鹿な真似はしないよ。それにウチの妻は、そう言う『モラル』に関しては、かなりうるさい方だからね。多分、此処一番以外は、僕が言うまでも無いと思うよ」


そっか……旦那さんのジェフさんが、あまり怒らない分、奥さんがガミガミ怒る系なんだ。


でも確かに、普段からガミガミ怒るお父さんって、逆にあんまり威厳無いよね。

それに、此処一番で父親の本当の恐ろしさを見せつける方が、子供にはより効果的だしね。


そう考えるとジェフさんの家族は、実に上手く家族のバランスが取れて家族なんですね。


ちょっと羨ましかったりする。


それに、さっきジェフさんが言った『息子さんが好き勝手やってる』って言うのも、かなり軽い話だね。

どっかの真琴ちゃんみたいに、機嫌が悪いだけで、見知らぬ他人に意味無く『因縁』をつけたり、そのまま、問答無用で『暴力』を振るったり『カツアゲ』や『恐喝』紛いな馬鹿な真似はしていない。

……って事だよね。


はぁ~~~、こう考えると、ウチの親戚が馬鹿過ぎる。



「あの、ジェフさん」

「うん?」

「少し生意気な事を、お聞きますけど。……家族を愛されてますか?」

「勿論。掛け替えの無い存在だよ。それに妻も、息子も、僕にとっては『人生の最高のパートナー』でもあるね」

「ほわ~~~、なんか良いですね。そう言う深い信頼関係があって」

「普通だよ普通。最近の世間の親子関係が妙に冷めてるだけで、普通に考えれば、ウチなんて至って極普通の家族だよ。……っで、そう言う眞子の家族は、どうなんだい?ウチに似た関係かい?」

「はぁ、まぁ、そうだったんですけど。……去年の11月に交通事故で両親を亡くしてしまいまして、今は天涯孤独の身なんですよ」


実はね。

秋田に住んでいた私の両親って、もぉ2人共死んでるのよね。


だから、親戚の頼って、神奈川県に出て来たんだけど……

ほらほら、真琴ちゃんの実家が実家なだけに、お世話に成るのも……ちょっと、ねぇ。


まぁそれを真琴ちゃんに相談したら『奈緒さんって最高の人を紹介してくれた訳』だから。


うんうん!!真琴ちゃんは、そう言う所だけは良い親戚だね♪



「それは悪い事を聞いたね。申し訳ない」

「いえいえ、構いませんよ。両親は、今でも私の中で生きてますから……ご心配なく」

「君は、本当に、なにからなにまで強い子なんだね」

「いえいえ、奈緒さんや、崇秀が居てくれるからこそ、事実を受け入れられてるだけなんですよ。別に特別強い訳じゃないです」

「うん?仲居間さんは解るけど……その奈緒さんって子も、君の知り合いかい?」

「あっ、はい。向井奈緒さんは『日本GUILD・MUSICヴォーカル部門:第4位』の凄い人なんですよ。……私、今、その方の家に、お世話になってるんですよ」

「なるほど。ご両親は残念な事をしたけど……君は『人との出会いの運』を持ってるみたいだね。良い出逢いが出来てるみたいだ」

「あっ、はい。それだけが取り得なもんで……ははっ」


そうなんだよねぇ~~~。


私なんか、奈緒さんや崇秀に比べれば。

まだまだ、ただの雑魚にも達していない様な雑魚中の雑魚だもんね。


だからこそ感じられる『自身の運の強さ』


でもでも、その自覚があるからこそ。

その2人に置いて行かれない様にしなきゃいけないのも事実なので、人一倍ヤル気だけは有ったりして。


ははっ……この程度じゃダメかな?


全然足りてませんね。


はい、すんません。



「でも、それを自覚してるって言うのは、偉いね」


この人、本当に人を褒めるの上手いなぁ。

何を言われても、心が綺麗な人からの言葉だから、一切馬鹿にされてる気がしないんだよね。


褒めて伸ばす……こう言う理解力のあるお父さんって、ホント良いよね。



「まぁ自覚と言いますか。周りの知り合い方が凄い人バッカリなので、そう言う風に自覚せざるを得ないんですよ」

「でも、人との出会いはキッチリと有り難いと思ってると」

「はぁ、まぁ、なんと言いますか。こうやって、ジェフさんの様な素晴らしい方に出逢えたのも、崇秀のお陰ですからね。人との出会いに感謝しないと罰が当たりますよ」

「そう言ってくれると有り難いね。……あぁそうだ。そう言えば、人との出逢いの話で思い出したんだけど。眞子は、マイアミに『凄いGUILDランカーが居る』って噂を聞いた事はあるかい?」


なに?


急に、なんの話だろ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


ジェフさん、良い人ですよね♪

ぶっちゃけ眞子も、この方にマネージメントして貰えるのは光栄だと感じてるみたいですし。


でも、そんなジェフさんから放たれた、謎の最後の言葉。

『マイアミに『凄いGUILDランカーが居る』って噂を聞いた事はあるかい?』


この言葉が示す意味とは、一体、如何なるものなのか?

そして、その人物の正体とは!!


次回は、その辺を書いていきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾

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