682 眞子のマイクパフォーマンス・タイム

 ニルさんとの共演で三味線を演奏し、かなりの好評価を得た私。

そして、なにか思惑があるのか、演奏後『ステージに残れ』とニルさんに言われる。


当然観客は、そんな私に期待を寄せるのだが……どうしよ?( ;∀;)


***


「えぇっと、実は、まだ現状があまり把握出来てないんですよ。……居残りなんですかね?」

「「「「「ぷっ!!あっはははっはっははははは……可愛いなぁ!!」」」」」

「あっ、あっ、あっ、ありがとうございます……ははっ……」

「「「「「鞍馬ぁ、なんか日本の話をしてぇ」」」」」

「えぇっと、日本の話ですか?……えぇっと、そうですねぇ」


なに話したら良いの?


普通のパフォーマンス系は得意なんだけどさぁ。

マイクパフォーマンス系は、私、意外と苦手だったりするんだよね。


……って言うかね。

異国の地で、話がスベルのなんてメッチャ怖いじゃん。


ってか!!どんな話すれば良いの?


アメリカンジョークとかでも良い?



「あぁ、じゃあ、こう言う話はどうですか?」

「「「「「どんな話?」」」」」

「いえいえ、そんな期待される程の大層な話じゃないんですけどね。実は、私の実家って、凄く田舎なんですよ。それでですね。私の通う学校も、全生徒が6人ぐらいしかいない、所謂、過疎地なんですよ」

「「「「「ふんふん」」」」」

「それでですね。そんなド田舎に住んでるものだから、世間とは、結構ズレてる生活をしてまして、村自体にもキッチリした情報が余り入って来ないんですよ」

「「「「「あぁ……そんな田舎なんだぁ」」」」」

「あっ、はい、凄い田舎ですよ。……っで、ですね。そんなある日。いつもの様に学校に向かってテクテクと歩いてたら、クラスメイトの男の子が野良猫を沢山捕まえて、学校に連れて来てたんですね」

「「「「「それで?」」」」」

「でね。あまりにもそれが不思議な光景だったんで『そんなに野良猫を学校に連れて来て、どうしたの?』って聞いたらね。『馬鹿言うな。これは全部俺の飼い猫だ』って言い切るんですよ」

「「「「「ふんふん」」」」」


あぁ~~~凄い。

結構、皆さん集中して聞いてくれてるなぁ。


でもそれだけに、私が考えてる様なオチで大丈夫なのかなぁ?


この辺に関しては異様なまでに不安だ。



「でも、この言動に更に変だなぁって思って『なんで、そんなに猫を飼う気になったの?』って聞いたらですね。『いや、小遣いが欲しいからさぁ、猫飼う事にしたんだよ』っとか、また変な事を言うんですよ。……だって、そうでしょう。普通なら、猫を飼ったら自分の小遣いが減っちゃいますよね」

「「「「「そうだねぇ……って、まさか!!」」」」」

「はい。実は、そうなんですよ。どこで聞いたのかは知らないんですけど。……彼は『電子レンジで猫を殺せば、アメリカのメーカーから賠償金が貰える』って思い込んでたんですよ」

「「「「「ぷっ!!あはっははははっは……馬鹿だソイツ!!それ、完全にアメリカンジョークじゃん!!無い無い無い無い。幾ら訴訟大国のアメリカでも、そんな馬鹿は居ないって」」」」」

「……ですよね」


取り敢えず……丸々嘘の作り話なんだけどね。

なんとかかんとかトークで持ち堪える事も出来そうな雰囲気。


でも、まだこの話は終わりじゃないんですよ。

ちゃんと即興で、オチも考えて有るんだよ。



「あぁ、でも。この話には、まだ続きがあるんですよ」

「「「「「それ以上、なにがあったの?」」」」」

「いや、あのですね。……彼が使おうとしていた電子レンジ。アメリカ製じゃなくて『MADE IN JAPAN』だったんですよ」

「「「「「『MADE IN JAPAN』……ぷっ!!あはっははははっはは……それじゃあどうやってもアメリカのメーカーから賠償して貰えないじゃん!!」」」」」

「まぁ、そんな話です」

「「「「「そいつ、全然ダメじゃん!!」」」」」


あぁ、結構ウケてくれた。


でも、やっぱりマイクパフォーマンスは怖いね。


奈緒さんみたいに上手く出来無いや。



「えぇっと、さて、そんな私の友人の馬鹿な話は置いておいて。クリスさん達の『X-DESIRE』さんが準備出来たみたいなんで……私は一旦……」


……って、役目を果たしたので。

一旦、予定通り楽屋に引っ込もうと思ったら、クリスさんに手を引っ張られた。


あれ?なにこれ?


今度は、なんですかね?



「鞍馬。悪いが、なにも言わずに、そのまま俺等が演奏する曲を全曲行ってくれ」

「えっ?えぇっと、それって、どういう事ですか?」

「いや、今此処で鞍馬に引っ込まれたら一気に会場の温度が下がる。それにウチは最初からベースが居ない。……だから、そのまま行って貰えないか?」

「えぇっと……あぁ、はい♪良いですよ。勿論、喜んで演奏させて貰います♪」


ヤタッ!!

この会場の熱気や、自分のテンションをキープしたまま演奏出来るなんて、なんて喜ばしい事なんだろう。

それに、お客さんのテンションも上がってるから、会場全体が良い雰囲気なんだよねぇ♪


だから後は、誰もが息苦しくなるまでの、もっと強烈な『熱気』を孕めば、この会場は完成!!


それにしても残りの4曲。

『DEI!! Die!! die!! fly』と『Spitfire』

それに『Eyes do`nt lie』に『ポンコツ』も、全部、演奏出来なんて超ラッキーだよ!!


やったね!!


ベーシストは話すのが仕事じゃなくて、楽器弾いてなんぼだもんね。


この後、私は『ミニスイッチ』ONにして、4曲を弾き切る。



えぇっと、只今、演奏しながらなんだけど。

ちょっと演奏する順番通りに新曲の内容を紹介するね。


まずは。


●『Eyes do`nt lie』(真実の目)


♪♪--♪-♪-♪-♪-♪--♪--♪♪-♪-♪♪--♪♪♪-♪-♪♪♪♪♪-♪-♪♪--♪-♪♪……


曲調はメタル系。


何事にも騙されずに生きて行く、真実の目を持った男の生涯を描いた曲。


前半パートでは、この男性の人生の快進撃を描いているんだけど。

後半パートに入ると、男は失敗しない人生を歩みすぎた為、全ての事柄に満足出来なくなり。


最後にはノイローゼになって……死を迎える。


そんなイヤな曲です。



●『Spitfire』(女性のヒステリー)


♪--♪--♪-♪-♪---♪♪♪--♪-♪-♪♪-♪--♪---♪♪--♪--♪--♪♪♪-♪--♪-……


曲調はオルタナティブ・ロック。


アチラコチラでヒステリーを起して、トラブルを撒き散らす女の子を描いた曲。


ややコミカル調な曲なんだけど。

何故、女の子がヒステリーを起すのかを上手く表現されているので、結構、女の子は『あぁ、そこは怒るよねぇ』っとか、変に共感出来るかも知れない。


まぁそんな曲。



●『DEI!! Die!! die!! fly』


♪♪♪♪♪-♪♪♪-♪-♪♪-♪♪♪-♪-♪♪♪♪♪-♪-♪♪♪♪♪-♪-♪♪--♪-♪♪……


曲調はメタル系。


ペンギンの様にピョンピョン飛び降り自殺をする人達への嫌味を込めた曲。


全体を通して、かなりハード系な曲なんだけど。

矢張り、全てが『嫌味』若しくは『社会批判』で構成されており。

面白く無い人生を歩んで死んで行く様は、なんとも馬鹿げた虚しさを感じる。


これもイヤな曲だね。



●『ポンコツ』


♪-♪-♪♪♪-♪--♪-♪♪♪-♪---♪♪♪-----♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪-♪♪♪♪♪……


曲調は日本のアニソン系。


多分、崇秀が、真琴ちゃんの人生を面白おかしく描いた曲で、奈緒さんの作った『Troubling』の第二弾って感じかな。


うん『もぉ本当に辞めてあげて、真琴ちゃんのライフは0よぉ』って感じの曲。

ってか!!マジで辞めなさいっての!!


まぁまぁ、なにわともあれ、そんな感じの曲を全力を持って演奏させて頂いた感じでございます。


なので後は、観客の皆さんの評価が楽しみな感じです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


マイクパフォーマンスは怖いですね(笑)

特に眞子自身は、倉津君の時から『演奏やパフォーマンス』がメインの演者だったので、こう言うトーク的な物をほぼした事が無かったですから、かなりのプレッシャーだったと思います。


でも、今回の一件で、バンドのフロントマンの仕事も少しは出来る事が明らかに成りましたので、これはこれで良かったのかもしれませんね♪


さてさて、そんな中。

マイクパフォーマンスも去る事ながら、もっと大切なのがベーシストとしての評価。


一体、オーディエンスは、どんな反応を示すのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

よかったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾

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