第一話⑥
「クロワッサンにミートパイ。アップルタルト、カスタードプディング、それからパウンドケーキとスコーンも」
ブルーベリージャムを多めに
「そ、そんなには……食べれません……」
「私が食べる」
レオラートがなに食わぬ様子で返し、テーブルの向かいに座ったリルは借りてきた
馬車に描かれたグラウオール家の紋章が、あろうことか焼き
すっかり身をちぢこませたリルに、
「レディ、レモネードは? ここのは口当たりがいい」
主人、レモネードも追加してくれ、とレオラートが注文すれば、
ここは街角のカフェテラス【サロン・ド・モニカ】。
雨が降りそそぐガラス張りの店内。甘い
「どうぞ、
レオラートにご
「ゆっくり食べたらいい。気に入ったものがあれば追加で注文する」
レモネードのグラスを
「ここはマドレーヌもおいしい。帰りにテイクアウトするといい」
レオラートの提案にリルは上目だけでレオラートを見た。【パウラ・ポウラ】に現れたのは
──それほど
たしか、ネックレスの
「ではレディ。あの
レオラートは四角いガラスの
リルは「『レディ』はやめてください」と口を
「ではなんと呼べば? 『ミス・アレクシア』?」
カスタードプディングに
「『アレクシア』は先代の名で
二度目に会って初めて──レオラートはこの魔女の
ぱくりと
「いや、あれでいい」
それから、私のことは「レオ」と呼んでくれ、とレオラートは言った。
「雨で客が少ないとはいえ、外で『エクター公』と呼ばれるとなにかと人が集まってしまう」
──エクター公。領主様。閣下。そして『
さまざまな名で呼ばれる彼が王都エペとはいえ、こんな街中で食事をするなんて──王族に
──しかも得体もしれぬ
「私は
「
あえて言葉を
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