第196話 会議終了
長らくお待たせしました。更新再開です。
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「まあ、俺が魔王かどうかはさておきだ」
クロエから勇者と魔王の話を聞いて、またアーサー君に話を聞く事が増えたな、なんて思いつつ、会議を続ける。
今日はクロエやエスピノーザ達、ディエル組の顔合わせの意味もあるけど、これからの戦略を決める為でもある。
スラムはこの調子でどんどん支配下にしていくつもりだし、表の商会の方もクロエ達領主と契約した事によって、だいぶやりやすくなったはずだ。
「クロエ達はこれからホルトと話し合って良い感じに領地経営をして行ってくれ。ホルトはまだ子供だけど、俺なんかよりよっぽど賢いからな」
「分かったわ」
「かしこまりました」
「それと並行してディエルの騎士達も鍛えていくからな。この辺はローテーションして騎士達を秘密基地に連れて来てくれたら良い。ペテスの騎士達と同じ感じだな。ローザはやりすぎないように」
「承知した」
「分かったー!! よーし! 頑張るぞー!!」
クロエ、ホルト、エスピノーザ、ローザにそれぞれ顔を掛ける。みんな気持ちの良い返事をしてくれたけど、ローザだけは相変わらず心配だな。悪意のない罵倒的なのを平気で言っちゃう子だから。純粋故に。
なんでローザはこんなに純粋なんだろうね…。『クトゥルフ』で育ったらピュアっ子にならないはずなんだけど。
「スラムの方は引き続きマーヴィン達に頼む。俺もちょこちょこ顔を出すつもりだけどね」
「了解でさぁ」
特に『聖域』のキメラ研究所を一つ潰したんだ。教会サイドから誰かしらお偉いさんが派遣されてるくるかもしれないし『スティグマ』を送り込んでの調査をするかもしれない。
『スティグマ』がどれくらい強いのか確認したいし、出来れば送り込んできて欲しいところだな。今の俺とか『クトゥルフ』の恩恵持ちで対処出来るのか。出来なかったらちょっとお手上げなんだけど。
後は教会のお偉いさんから上限突破させる方法も聞きたいなぁ。『スティグマ』は明らかに後天的にカンストを突破してるらしいからね。
キメラにしなくても上限突破する方法があるのか。レイモンド君、気になります。
「こんなところかな。他に何か気になる事とかある?」
俺が言いたい事は大体言ったと思う。何か忘れてる事もありそうだが、それはまた思い出した時にでも聞けば良いだろう。
「私達はまだ教会と表向きは友好的に付き合った方が良いのよね?」
クロエがピシッと挙手して聞いてくる。なんかシュールで面白い。
「うん。敵はこの大陸に一つしかない宗教組織だしね。どれだけクズだろうが、宗教ってのは本当に厄介なんだ。俺の前世でも宗教関係は面倒だった。それに対抗するなら、生半可な組織じゃ無理だと思うんだよね」
「対立するのはもっと組織を大きくしてからって事かしら?」
「うん。この大陸中に『クトゥルフ』を広げて、情報操作して人心を掌握してようやく挑めるようになると思ってる」
「とっても先が長い話ね。私達が生きてる間に出来るかしら」
教会の実態がどれだけクズでも、この大陸の人達に信仰されてるのは間違いない。マッチポンプで神罰なんてのもやってるし、教会の意向に背いたらヤバいってのは、平民やスラムの孤児でも知ってるくらいだ。
そんな一大組織を潰すのは生半可な事じゃない。やろうとしてもまず民意が立ちはだかる。
やるなら地道に大陸中に教会アンチを作っていくしかない。流石に教会も数が少ないらしい『スティグマ』だけで対処出来るはずがないし、いずれ情報操作は成功すると思ってる。
まあ、その為には大陸中にもしくは別大陸にも『クトゥルフ』の勢力を広げて地道に力を蓄えていくしかない。
クロエが言ったようにかなり先の長い話である。エルフやドワーフじゃないと人間の寿命では一代でやれる事じゃないよね。
不老薬の材料も取りにいかないといけないんだよなぁ。ドラゴン…。果たして今の俺達で勝てるのかね。
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