第161話 到着
「はい、終わり」
「闇魔法ってほんと便利ね」
侍っていた見目麗しいお姉さん方と奴隷として雑に扱われていた馬車にいる奴らにつけられていた奴隷の首輪をサクッと解除する。
専用の鍵もあったけど、一々鍵でやるよりまとめて魔法で解除した方が手っ取り早い。
闇魔法の適性があってほんとに良かった。
「あ、あの私達は…」
解除した皆さんは契約の首輪が外れた事に安堵しつつも、俺とアンジーを見て怯えてる。ざっと見た感じ若い男女ばっかりだな。
「なんで奴隷になったの?」
とりあえずこれを聞いておこう。無理矢理攫われたとかなら、帰る場所とかがあるはずだ。出来れば『クトゥルフ』の人員にしてやりたいけど、待ってる人とかがいるならその場所に帰してやりたい。
そう思ってたんだけど。
借金のカタで売られた連中らしい。どうやら、教会から金を借りて返せなくなった親達が子供を売ったと。
中にはどうしようもなくなって、泣く泣く子供を売るしか選択肢がなかったような人達もいるっぽいけど、大体はクズ親だったらしいね。
「選択肢は二つ。一つはこのままどこかに逃げる。まあ、金も伝手もないなら遠からずくたばるだけだろうけど。もう一つは俺の部下になる事だな。奴隷より扱いが良い事は約束しよう」
泣く泣く子供を手放すしかなかった人達の親はこっちで回収してやっても良い。病気で薬が買えずにお金を借りたとかそんな感じらしいし、そんな話を聞くと普通に情が湧いちゃう。
甘々な人間だと自覚してますけどね。そういう話を聞いちゃうと、俺はダメだなぁ。
「よろしくお願いします」
そういう事になった。
「じゃあ悪いけど後よろしくね」
「かしこまりました」
奴隷達を全員秘密基地に転移。
そこから契約鑑定を済まして、カタリーナに後の事は任せた。徹夜での作業になって申し訳ない。カタリーナは平気そうな顔してたけど、ちゃんと寝てるんだろうか?
秘密基地に転移した時も普通に起きてたし。ブラックになってないか逐一確認しとかなきゃな。
全ての作業が終わった時は既に夜が明けようとしていた。俺以外の人間は寝るように言っておいたから、そこまで寝不足って感じじゃないだろうけど、移動中も交代で休むように言っておこうか。
「それにしても恩恵持ちがいないな?」
「ここまでが簡単に見つかりすぎてただけかもしれないわよ」
朝になって野営場所からさっさと出発。
馬車の中でアンジーに膝枕してもらいながら話し合う。
ペテス領やデッカー領ではポンポンと恩恵持ちが見つかったのに、この旅ではまだ一人も見つけられてない。
ゲームとやらでは、この辺は舞台になってないんだろうか? スパンダ帝国とか、フレリア王国が主な舞台で他はモブ国とか? だからこの辺とかは適当に設定されたりしてるんじゃないかって思っちゃう。
「周辺国で一番栄えてる港街を舞台に組み込まないとかあるのかなぁ。俺が制作者なら、こういうゲームで海って舞台は外せないと思うんだけど」
「その辺は私は何とも言えないわね」
まあ、メタみたいな話されてもアンジー達には理解し難いよね。海があるなら水着イベントとか絶対必要だと思うんだけど。硬派なRPGゲームだったのかね?
「港街に2.3人固まって居てくれたら良いんだけどなぁ」
「それよりも教会の事はどうするの? ここまで関わったなら、ちょっと無理してでもある程度情報を集めるべきだと思うわよ」
ああ、それもあったか。
マジでめんどくさいな。
出来ればお互い不干渉な感じでいきたいんだけど、避けてるのにこんなに連続で関わっちゃうとそういう訳にもいかないか。
「村の奴らを丸々攫っても神罰は今のところ無し。教会紐付きの奴隷商に手を出しても同じく。やっぱり教会の秘密部隊的なのが、自分達に都合の悪い人間を消してるってのが濃厚かな?」
「そうね。超常の力じゃなくて、人為的なものならいくらでも対抗のしようはあるわ」
どれくらいの強さなんだろ?
カンスト集団とかが襲ってくるのかな?
まさか恩恵持ち集団が高レベルで襲ってくるとか? それはそれで美味しいような…。
「いや、秘密部隊なんかやってる教会のお抱えとか、思想が終わってそう。仲間に引き入れるなら、性格を丸々変えるぐらいじゃないと厳しいか」
「そうねぇ。あの拝金主義の教会に染まってる人間は流石に味方にしたくないわ」
拷問とかで忠順になってくれたら良いけど。難しいかなぁ。むしろ神の試練だとか言って嬉々として耐えたりするまである。
まあ、そこまでいったらどうしようもないか。スパッと始末しよう。まだ勝てる相手なのか分かってないけどね。本当にそんな部隊があるのかも分からないし。
アンジーとかローザでも勝てない相手とか出て来たらどうしようもないな。
未だにゴドウィン以外はレベル300越えを野良で見た事ないけど。
戦争ばっかりの小国家群には猛者とかもいる可能性があるか。その辺も調査していかないとなぁ。
そんな事を思いながら二日経ち。
とうとう俺達は港街ディエルに到着した。
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