閑話 アリーナの御飯時 

 ストックが無いって言ってるのに、昨日間違えて2話更新してたみたいでー。

 今日の更新は無しにしようかと思いましたが、ギリギリ書き上がったので投稿。

 まだ見てない人は戻って確認してみてね。


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 「にゃーにゃーにゃー」


 アリーナはご機嫌だった。

 勉強は順調だし、レベルももうすぐ200を超える。日々の訓練はキツかったが、それも苦にならない。


 「今日は何を食べようかにゃー」


 何故ならここには美味しいご飯があるからだ。どれだけ勉強が面白くなかろうが、訓練が厳しかろうが、このご飯があれば耐えられる。


 アリーナにとって最高で至福の時間なのだ。


 「にゃにゃ! 今日はメニューにハンバーグがあるにゃ!」


 食堂で何を食べようかと、今日の提供料理を見てると、ハンバーグの文字が。

 『クトゥルフ』の食堂はその日によって、メニューが変わる。料理人が色々な練習をする為に、毎日メニューを変えるようにしてるのだ。


 毎日10個ぐらいのメニューがあるが、今日は大人気のハンバーグがある。

 アリーナはすぐさまカウンターに行って注文した。


 「ウルファー。アタシはハンバーグでお願いするのにゃ!」


 「はーい!」


 食堂で働いてるウルファは既に見習いを卒業して、普通に料理を作っている。

 まだ勉強は終わってないらしいが、既に食堂では戦力になってるのだ。


 アリーナは席で今か今かと料理の完成を待つ。本人は気付いてないが、尻尾がゆらゆら揺れて、落ち着きがないのが丸分かりだ。


 そして待つ事10分程。

 ウルファが席にハンバーグと付け合わせ。

 それに主食のふっくらパンを持ってやって来た。


 「お待たせしましたー!」


 「にゃ? 呼んでくれたら取りに行ったのにゃ」


 「僕も丁度休憩の時間だったので。ご一緒しても良いですか?」


 「もちろんにゃ」


 よく見るとウルファの手には自分用の料理も持っていた。アリーナは自分の前の席をペチペチ叩いてウルファを座らせる。


 「「いただきます(にゃ)」」


 お行儀良く手を合わせて挨拶をしてからアリーナは早速ハンバーグに手を付ける。ウルファはそれを少し気にしながら見ていた。


 「にゃー! 良い匂いだにゃ! この匂いだけでパンを食べられるにゃ!」


 レイモンドはハンバーグを食べるなら牛の鉄板は必要不可欠と、意味の分からない熱意を燃やして量産した専用の鉄板。


 ジュージューと肉が焼ける音、そしてタレとハンバーグが混ざり合った匂い。これは普通のお皿では決して感じれないモノだ。

 アリーナはボスの発明は世界一だにゃ! なんて思いながら、レイモンドの知らない所で忠誠を深めていた。


 「美味しいにゃ!」


 ナイフとフォークで丁寧に切り分けてパクりと食べたアリーナは満面の笑みである。

 それを見たウルファはホッと一息を吐きながら、自分も食べ始めた。


 「にゃ? これはウルファが作ったのにゃ?」


 「はい。最近ではメインの料理も作るようになってきまして。美味しく思って頂けてるようで良かったです」


 「ウルファも腕を上げたにゃ。食べると活力が湧いてくるのは恩恵のお陰にゃ?」


 アリーナはハンバーグを食べて、パンを食べて、付け合わせの野菜を食べてと、忙しなく腕と口を動かしながら、ウルファに問いかける。


 訓練と勉強で疲れた体から体力が湧いてくるような感じがしたのだ。


 「そうみたいです。作る料理によって、色々変わるみたいで。今はその法則性を探してるところですね」


 「食べたら強くなれるなんて最高だにゃ」


 アリーナは気付けばパンを三つも食べていた。このパンは一つ食べるだけでそれなりにお腹が膨れるような大きさなのだが、アリーナはペロリと平らげる。


 「後でボスにステータスを確認してもらうのにゃ。体力の能力値が上がってるのかもしれないにゃ」


 「お願いします。僕では感覚的な事しか分かりませんから。きちんと鑑定で効果を確認してもらった方が良いです」


 アリーナは胸の谷間からメモ帳を取り出して、予定表のところにボスの所へ行くと書き足す。ウルファは顔を真っ赤にして、視線を逸らしていた。


 因みにアリーナの胸の大きさはそこそこである。まあ、谷間が出来るくらいにはあると言っておこう。


 「にゃー。パンをお代わりするか迷うのにゃ」


 「でも食べ過ぎは体に良くないですよ」


 「美味しいハンバーグを作ったウルファが悪いのにゃ。こんなのを目の前に出されたら、アタシの手が止まる訳ないのにゃ」


 そう言ってアリーナは席を立ってカウンターにパンをお代わりしに行き、お皿にパンを二つ乗せて、更にもう一つ乗せようとした時だった。


 「はい。アリーナそこまで」


 「にゃ!?」


 三つ目のパンを横からヒョイと取り上げられる。突然の事に驚いたアリーナだが、隣には怒ってますよという顔をしたレイモンドと苦笑いしているアンジェリカが居た。


 「流石に食べ過ぎ。体壊すぞ」


 「にゃー。アタシは大丈夫だにゃー」


 レイモンドが手に持ってるパンを取り返そうと、腕を伸ばすがひょいひょいと避けられる。


 「無理に満腹まで詰め込もうとしなくて良いんだよ。腹九分目ぐらいまでで抑えとけ」


 「アタシは満腹で動けなくなるのが幸せなのにゃ」


 アリーナは諦めきれずにレイモンドに反抗するが、レイモンドはため息を吐いて残念そうにした。


 「そうか…。そろそろ新作料理を出そうと思ってたが…。アリーナはパンで我慢出来るって事だな」


 「アタシ、今日はもうお腹いっぱいだにゃ!」


 そう言ってアリーナはいそいそと自分の席に戻って行った。もちろんパン二つはしっかり確保済みである。


 レイモンドの新作料理。

 これは当たり外れはあるものの、基本当たりばかりで、どれもこれも美味しいのだ。

 それを食べさせてもらえないとなると、アリーナは一ヶ月ぐらい引きこもってしまうかもしれない。


 「にゃー。次の料理も楽しみだにゃー」


 

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