第145話 やっぱり仲良く
「誰かアーサーと一緒に行動させたいな」
「アーサーが行こうとしてるところを先回りして、恩恵持ちとかアイテムを掻っ攫おうって事ね?」
「そういうこと」
会議は続く。
後はアーサーをどうするかって話なんだけど、話を聞く限り頭がお花畑そうなので、出来れば味方には欲しくない。契約で逆らえないようにしても、馬鹿な行動をして不利益を被る事になりそうだし。
でもアーサーがなんらかの知識を持ってるなら、それを有効活用したい。
恩恵を持ってる人間とか、特別なアイテムだったりとか。
「なんかマッチポンプでもするか? 魔物をけしかけて、それを救ってアーサーが感謝して一緒に行動するようになる的な」
「アーサーが感謝するような人間とは思えません」
サラが辛辣。
よほど腹を据えかねてるらしい。
まあ、お礼の言葉は忘れちゃいかんよね。
サラが方々に頭を下げて回って、減刑したのにそれに対して何もなしはやばいよ。
流石の俺でもお礼は言いますぜ。
「いや、今ならチャンスなんじゃないかと思ってるんだよね。頼りにしてたサラが居なくなって、アーサー君はピンチだろう。見張りをつけてる奴からの報告でも、毎日の生活でギリギリらしいし。そこに明らかに強い冒険者が味方になってくれたらどうだろう? なんとかなるんじゃないかなーって思うんだけど」
流石に安直すぎかな?
でもアーサーは馬鹿らしいし。
なんの疑いもなく、ホイホイ出来そうなんだけど。
「やるだけやってみれば良いのでは? 失敗しても特に痛手はありませんし」
「それもそうか」
じゃあ誰をアーサーにつけるか。
女はとりあえずやめておいた方が良さそうか。なるべく強面な男で、アーサーの馬鹿に耐えれそうな忍耐力を持った人間を選出しておこう。
「よし。じゃあ今日はこれで解散。アンジーはサラを部屋に案内してあげて」
秘密基地の岩山内は一応男と女で場所を分けてる。別に立ち入り禁止にしたりしてる訳じゃないけどね。
『クトゥルフ』内でカップルが出来てたりもするし。そういう場合は一緒の部屋に住んだりしてる。
そのうちサラもサッキと一緒に住んだりするようになるんだろうか。惚れてるのは一時の気の迷いなのか。その辺はこれから暖かく見守らせて頂こうかなと思います。
「てーい!!」
「ローザちゃん凄ーい!!」
「えへへ!」
サラがクトゥルフに加入してから1週間。
やっぱりローザとサラは仲良くなった。
加入した翌日から意欲的に勉強して、それが終わると訓練場に向かってたからな。
訓練場の主みたいになってるローザと仲良くならない訳がない。一気に意気投合して、今は深層に遊びに来てるくらいだ。
サラが一度深層の魔物を見ておきたいって言うから連れて来たんだよね。
これはサラを特別扱いしてる訳じゃなくて、『クトゥルフ』に入った奴は早めに深層の魔物を見せている。
勝手に壁の外を出歩いたりしたら危ないぞって事を周知するためだな。
で、俺ももう少しで300になるから一緒に来た。ローザだけだと心配だったってのもある。強さは申し分ないけど、いかんせん行動がお子ちゃまだからね。
「ローザちゃんはまだ成人してないんだよね? それなのにこんなおっきな魔物を倒しちゃうなんて」
「サラさんもすぐに倒せるようになるよー! 訓練頑張ろうね!!」
深層の森の中できゃっきゃする二人。
一応目的は深層は恐ろしい場所だぞって事を分かってもらうようになんだが、あの二人にはそんな事は無縁っぽい。
ちょっと危機感がなさすぎるかなと思わなくもないが、ローザとかアンジーと訓練してたら、嫌でも自分の無力さを思い知るだろう。後、カタリーナとも。あいつは淡々と理詰めで教育してくれるからな。
「ボスも強かったんですね」
「アンジーとかローザには負けるけどね」
俺もミスリルの棒を振り回したり、魔法でピュンピュンとレーザーを飛ばしたりして、サクッと恐竜を討伐している。
サラは俺が強いと思ってなかったらしい。
ちょっとショック。そりゃ『クトゥルフ』内での序列は4位ですけどね。
これでも5回やったら1回ぐらいはアンジーに勝てるようになってきたんだぜ。
昔はノーチャンスだった事から考えると少しは成長したと自負してますよ。
「サラも勉強にレベル上げにと、やる事は多いけど頑張ってくれたまえ」
「はい! 頑張ります!」
「ローザも手伝うからねー!」
とりあえずサラは普通に馴染めてるみたいで良かった。
そろそろ忍者猫娘のアリーナも外に出せるくらいの強さになってきたし、サラが育ったら深層の奥にチャレンジしてみるのも良いかもなぁ。
いや、その前に世界にある7つの迷宮を攻略する方が先か?
ここがゲームかラノベの世界として、大罪の名前になってる迷宮なんて、間違いなく有用なアイテムやらが眠ってるに違いない。
アーサー君もいずれは取りに行こうとするだろうし、先回りしておいた方が良いかも。
とりあえず転移出来るようにはしておいた方が良いかもしれんな。
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