第2話 転生


 前世の俺はまぁ、可もなく不可もなく?

 ブラックな企業に勤めてる訳でもなく、不遇な幼少期やイジメにあったとかもない。

 極々普通に大学まで進学し、それなりの企業に勤めていた。

 結婚はしていなかったみたいだが、それなりに人生を謳歌していたと思っている。なんで転生したのかは謎。死んだのかね? 最後の記憶は良い感じに酔っ払って気持ちよくベッドに入ったところなんだけど。


 「特に主人公属性とかないと思うんだけど。異世界に転生するにしても、もっと面白い人材が居ただろうよ」


 体が全く動かないので、寝転がり空を見上げながら呟く。腹減ったなぁ。体痛いなぁ。


 「こういう時の定番はっと」


 前世で付き合い程度に読んでいた転生物の記憶を掘り返す。

 書籍を買って読む程では無かったけど、無料投稿サイトで毎日の更新を楽しみにしてるぐらいには読んでいた。


 「ステータス」


 ☆★☆★☆★


 『名 前』 レイモンド

 『年 齢』 12

 『種 族』 ヒューマン

 『レベル』 1/999 


 『体 力』 F/S

 『魔 力』 G/S

 『攻撃力』 G/A

 『防御力』 F/A

 『素早さ』 F/S

 『知 力』 G/S

 『器 用』 G/A


 『恩 恵』 鑑定 複職

 『職 業』 選択可 

 『属 性』 無 光 闇


 ☆★☆★☆★


 「ふむ。見れたな」


 ほえー。ファンタジー。まさか本当に出てくるとは思わなかったよ。少年の記憶にはステータスとか無かったからダメ元で言ってみたんだけど。


 「この少年の体の名前はレイモンド君か。中々かっこいい名前を頂いちゃって」


 中々不遇な少年時代を過ごしてるけど。

 日本でぬくぬくと育ってきた俺には考えられないぐらいハードモード。ボコボコにやられて道端で転がされるなんてありえない事だからな。

 貴重な体験させて頂いております。


 「このレイモンド君は強いのでは? ステータスを信じるのならばだけど」


 レベルは最低だけど、能力値はAとかSばっかりだし? 職業やら恩恵やら良く分からない事もあるからちょっと調べていこうか。

 どうせ動けないしね。




 「ふむふむ? 鑑定さん便利ですな。やっぱり異世界で一番のチートは鑑定さんだよ」


 ステータスを更に鑑定してみて、より詳細が分かるようになった。


 名前年齢はまぁ、飛ばすとして。

 まずはレベル。これは生物を殺すと魂の位階が上がるっていう、ありきたりな設定だった。

 これ、人間殺してもレベル上がるのかな? 俺が人を殺せるかは分からないけど。ただ、なんとなくやれそうな気はしてる。少年の記憶と混ざった結果だろうか。この少年、なかなか覚悟が決まっている。


 能力値は見たまんまだよね。

 レベルが上がると能力値も上がる感じ。今は雑魚同然のGとかFばっかり。

 正直調べるまでもなかったけど一応調べてみると、なんとSが上限じゃないらしい。

 EXってのがあるみたい。って事は俺はそんなに強くないのかも? ちょっとサンプルが欲しいですねぇ。


 恩恵。

 これは生まれた時点で持ってる人と持ってない人がいるらしい。

 確率はどれくらいか分からないけど、恩恵持ちは中々稀有な存在らしいね。

 異世界で良くあるユニークスキルとかそんなんだろうか?


 「鑑定が恩恵って事は、この世界に鑑定持ちは居ない? どうやってステータス確認してるんだろ?」


 俺だけが見れるとかなら、これは凄いアドバンテージだぞ。何処で役に立つかは現状分からないけど。


 「複職はレベルに応じて複数の職業につける恩恵か。今は一つだけど、これも凄いのでは? まさか俺、主人公なの?」


 俺ツエーハーレムとかしないといけないのかな?

 義務とかもあったり? 神様的なサムシングに会ってないんだけど。


 「最初につく職業は選べるのか。これも俺だけの特権かね? 転生特典ってやつか?」


 ちょっと誰か通りかかってくれませんかね。

 比較対象が欲しいです。強面のチンピラ以外の人でお願いします。


 最後に属性。

 これは自分が持ってる魔法の属性の事らしい。

 俺は光と闇。無属性はどんな人間でも魔物でも持ってるみたいだ。


 「光と闇か。光と闇が合わさると最強ってのは、どの物語でもお約束だよね」


 勝ったな。風呂入ってくる。

 あ、マジでお風呂入りてぇ。



 「確認が終わったら、まず俺がするのは何か」


 現状からの脱却だよな。とにかく動いて安全そうな所に行かないと。腹も減りすぎてやばいし、新しい生を得たというのにすぐくたばってしまう。


 「光属性があるって事は回復魔法とか使えるのでは?」


 そう思って、回復やらヒールやらをぶつぶつと唱えてみるけど何もない。


 「職業につくべきなのか? これ、何のために属性があるんだよ」


 職業につかないと、魔法とか使えないなら属性の意味が分からない。

 魔法使いって職につかないと魔法を使えないなら、どれだけ適性があっても宝の持ち腐れじゃん。


 「はいはい。魔法使いになりますよーって」


 俺はホログラム的に見えているステータスをなんとか手を動かして操作して、職業欄をタップする。

 すると、ズラリと色々な職一覧が出てきた。


 「これ、全部俺がなれるの? 最強じゃん」


 ここまで至れり尽くせりだと怖いんだけど?

 確かに今は絶賛ピンチ中だけど、成長したら中々の化け物になるのでは? 複職って恩恵があるんだし、レベルが上がると色々な職についちゃうよ。



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 丸々説明回みたいになっちゃった。

 もっと自然に導入出来るようになりたいぜ。

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