あとがき



 コルヌレクス・サーガ。

 いかがでしたでしょうか?


 最初、ホラーファンタジーが書きたいと思い、『東堂兄弟の探偵録 出雲御子編 金星のラプソディ』のシチュエーションで書こうと思ってたんですが、いざ書き始めると、まったく違う話になってしまいました。つまり、村人のなかに一人だけ不老不死の御子を宿した人がいて、それが誰なのかわからない、という。それがやりたかったんですが。


 まあ、しょうがないですねぇ。これはこれで、なんとかまとまってくれたし。やっぱり魔法のあるなしが大きい。魔法という一言で、不可能が可能になってしまうので、本格ミステリーにはなりえなかった。あと、ホラーも不可能が起こることじたいが怖いので、魔法ですまされるとなんか怖くない……。


 ホラー風味まで持ってくるのがやっとだったよ。くすん。


 ただ、そのかわり、めっちゃ耽美にはできたと思う。この二人、友情と言いつつ、ほぼほぼセ〇クスしない恋人みたいなものですよね。BLは出せる賞が限られてるけど、なぜか世の中、ブロマンスの需要はけっこう高いみたいなので、今回は狙ってブロマンスにしてみました。


 そうは言っても、ごく最初のほうから、ケルウスがやけに「コルヌ、コルヌ」言ってますよね? 「必ず戻るとコルヌに約束した」とか。会ったばっかりなのに、さすがにそれは変じゃないかって?

 あれはですね。コルヌはコルヌでも、レクスのほうのコルヌなんです。ケルウスはコルヌのアレだったので。

 コルヌとコルヌレクスを同じ名前にしたのは、ミスリードの一種だったんですよね。へへへ。


 極世界の管理者という世界観(三千世界はワレスさんのシリーズでも使ってる。極世界、管理者はこのシリーズ初)は何年も前から思いついていて、コルヌレクスは書きたいキャラとして出番を待ってました。外見のイメージから浮かんできて、すごく書きたいんだけど、いかんせんストーリーが思いつかなかったというやつです。今回、ちょうどいいので、この世界観を持ってきたら、意外とメインストーリーがそれになりました。金星のラプソディ消えた……。


 ちなみに、コルヌレクスは名前も今回、書きだすために決めたんだけど、外見のモデルは、ほら、あの人ですよ。わかりますよね? 金髪に青い目で美青年——はい。ワレスさんでしたw

 ワレスさんをモデルにして、作りだされたキャラクターはけっこうたくさんいるんですよね。カザレンとか、エンデュミオンとか、ユスタッシュもだし。このなかでちょっとでもネット上で公開されてるのは、今のところ、エンデュミオンだけですね。ユスタッシュはなろうでは読める。近いうち、カクヨムにも持ってきますが。


 あっ、娼館のコルヌのほうは、新作を書こうと、この話についてアレコレ練りながら昼寝してたら、夢のなかに出てきました。そこが娼館で男娼だったんで、まんま使いました。


 今回はワレスさんの世界のユイラ皇帝国ではなく、もっと文化的に中世的な感じにしよう。なんなら、中世より古いふんいきということで、人や国の名前をすべてラテン語にしてみました。最後に出てくる次の目的地、ドルドーバ国だけてきとうに決めた。文体もちょっと古きよきサーガっぽく、大仰な言いまわしとか、古典的な語句をあえて使いました。

 昔のヒロイックファンタジーっぽいけど、描写そこまで厚くなく、サックリ読める今風ヒロイックファンタジーをめざして。


 文化的には、ワレスさんは18世紀くらいの暮らしをしてますが、このシリーズは12、3世紀くらいですかね? 中世くわしくないんですがw

 今ちょっとググってみたら、僕の感覚的には中世前期に該当するみたいです。10世紀ごろですね。


 なので、ケルウスは吟遊詩人。この商売がまだ成り立つ世の中だった、と。

 吟遊詩人なので、歌わないといけない。ひんぱんに歌うんですが、歌詞は著作権が厳しい。じゃあ、作るしかない。で、作詞するわけですが、あんまり歌詞っぽくないですよね?


 それはね。あれです。サーガです。ホメロス叙事詩を昔、中学生か高校生くらいのときに、読んでみようかと思い立ったことがありました。一瞬で「ムリ」とあきらめたけど。へへへ……。

 ただ、そのときに受けた印象が、詩というより、難解な言葉で綴った小説だな、だったんですよね。物語が短めの文章で書かれていると。まあ、叙事詩ですから。


 遠い記憶を呼びさましつつ、なんとなく叙事詩っぽいものにしたのが、今回のケルウスの歌です。ほんとの叙事詩だと、もっと誰がこうした、それがこうなったって状況描写が入るはずだけど、そこは小説の作中作なので、あんまり長々続くとダルイじゃないですか。小説映えを考えての内容になってます。


 もしもだけど、これがアニメとかになって歌ってくれたら、めちゃくちゃカッコイイだろうなぁ……。

 アコースティックギターとかで中世っぽい切なバラードにしてほしい。

 今回もデペッシュモード聞いて書いたので、そのへんのイメージです。


 ところで、この話。シリーズ化しましたね。えっ? しましたって、確定ですか? 確定なんです。もう、しました。すでにいくつか、シリーズのネタも思いついてます。二人で旅しながら、ちょっとホラーっぽい事件にまきこまれていく。戦闘になるとケルウスは歌うんで、一話ごとに一つ、詩を書かなきゃいけない。

 一度は二人が大ゲンカしても面白いですね。最後は仲なおりするんだけど。


 ラケルタとフィデスはもしかしたら、また出るかもです。使い勝手のいいキャラでした。

 途中、ラケルタが兵士と謎の会話をしてる(ウンブラにコルヌをさらわれて、助けを求めてラケルタの執務室に行ったとき)シーンがあるんですが、あれはほんとは、自分の政敵になりそうなコルヌを暗殺させる計画のつもりだったんですよ。けど、その伏線、途中でいらなくなってしまったので捨てました。しょうがないので、男子禁制の後宮に通してもらうために門番を買収してたってことにして、チョロっとそれらしきセリフを書いときました。まあ、これもミスリードってことで。


 シリーズ通してのメインストーリーは、今回もラストに出てきた、セルペンスプエルとの戦いになります。邪神を滅ぼす(または救う?)までの物語になるでしょう。今回は逃げていっただけですからねぇ。となると、ウンブラにかわる魔術師がまた出てくるでしょう。美形男、美少女あたり? このへんをからめた四角関係になっていく……僕の話でよくあるやつw


 セルペンスプエルじたいは、今回ほとんど描写してないけど、幼女の姿の神様です。七、八歳くらいですかね? 主役二人が男なんで、まわりに女を増やさないと。


 ちなみに極管理者はいわゆる獣人。羽や角や尻尾やケモ耳などのあるおおむね人間の姿をしてるんですが、ドラコレクスは完全な竜です。たまに獣形もいる。


 そんな感じです。

 カクヨムコン、出そうかと思ったけど、97000字弱で、10万字に足りてないので、いちおうオマケの短編をこのあと足しておこうかなと思ってます。

(短編書きましたが、だいぶコメディテイストになりました。宙夢のオマケみたいな感じ。イメージ壊したくないって人は読まないでください。まあ、大丈夫だとは思いますが。2023/11/26)


 ではでは、読んでくださった皆さま、ありがとうございます。評価もしてもらえると、さらに嬉しいなっ。

 またこのシリーズのどこかでお会いしましょう。意外と早いかもしれません。


 2023/11/23

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